5分で読める法律の豆知識

テレビや新聞などで政治から芸能スキャンダルまで幅広いニュースを見ます。しかし、法律のことについて詳しく書かれたものはあまりみません。なので自分で勉強してみました。個人的に面白いと思ったものだけ書くのであまり網羅性はありません。なので暇つぶし程度に読んでいただければ幸いです。

刑事訴訟法第110条。知っておきたい令状呈示の考え方!

 

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 テレビドラマを見ていると、いわゆる「ガサ入れ」のシーンとかありますよね。

 

 この時に、「警察だ!」等と言って、警察官が被疑者の家の中に入って行きますが、これってそもそも適法なのでしょうか?

 

 そこで、今回は、刑事訴訟法第110条の令状呈示について検討をしてみたいと思います。

 

 

1 刑事訴訟法第110条の規定

 まず、刑事訴訟法第110条は、「差押状、記録命令付差押状又は捜索状は、処分を受ける者にこれを示さなければならない。」と規定しています。

 そして、捜査機関が捜査を行う場合の準用規定である同法222条も、上記条文を引用しています。

  

 そのため、捜査機関が、令状に基づき捜索差押をする場合には、被処分者に対して令状を呈示しなければなりません。

 

 では、捜査機関は、いつまでに令状を呈示しなくてはいけなのでしょうか?

 明文上の規定がなく、問題となります。

 

2 原則論の話

 この点について、最決平成14年10月4日は、「捜索差押許可状の呈示は、手続の公正を担保するとともに、処分を受ける者の人権に配慮する趣旨に出たものであるから、令状の執行に着手する前の呈示を原則とする。」と判示しました。

  

 つまり、同判例によると、捜査機関は、原則、捜索・差押に着手する前に、令状を呈示する必要があることとなります。

 

 

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3 例外論の話

 しかし、原則があれば例外があり、上記判例は、覚せい剤取締法違反の被疑事実の捜査差押で、差押対象物件が破棄隠匿される可能性があった事案でした。

 

 そこで、上記判例は、「警察官らが令状の執行に着手して入室した上その直後に呈示を行うことは、法意にもとるものではなく、捜索差押えの実効性を確保するためにやむを得ないところであって、適法というべき」と判示しました。

 

 つまり、具体的な状況下においては、着手後に令状を呈示することも許されることとなります。

 

 そして、その具体的な状況とは、上記判例が判示している「捜索差押えの実効性を確保するためにやむを得ない」場合であるか否かという点で判断することになります。

 

 

4 刑事訴訟法111条の「その他必要な処分」との違い

 テストの問題では、刑事訴訟法111条の「その他必要な処分」も絡む形で出題をされます。

 ここで、注意すべきなのは、令状呈示の時期の論点と、「その他必要な処分」の論点は別物だということです。

 

 令状呈示の時期の論点は、あくまでも、「捜索差押えの実効性」の観点から検討をすることとなるため、対象物の破棄隠匿、被処分者の逃亡のおそれ等が判断する上で、重要な要素となります。

 

 他方、「その他必要な処分」の場合には、上記捜索差押えの実効性の観点に加えて、その方法をとるべき必要性・相当性等が判断する上で、重要な要素となります(例えば、宅配便だと虚偽を述べること、鍵を壊すこと、窓を壊すこと等)。

 

 したがって、上述の論点を検討する場合には、どの要素がどちらの論点に影響を与えるのか、しっかり意識して論述をすることが大切です。

 

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エックス線検査。刑事訴訟法の強制処分の考え方

 

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 刑事訴訟法を勉強していると、一番最初に出てくる論点が、強制処分該当性と任意捜査の限界ですよね。

 特に、最決平成21年9月28日のエックス線検査の判例等については少し理解が難しいと思います。

 

 そこで、今回は、上記判例を含めて、強制処分と任意往査限界について少し検討してみようと思います。

 

 

1 そもそも、強制処分と任意捜査の限界とは?

 まず、刑事訴訟第197条1項には、以下のとおり規定されています。

 「捜査については、その目的を達するため必要な取調べをすることができる。但し、強制の処分は、この法律に特別の定めがある場合でなければ、これをすることができない。」

 

 

 同法1項但し書きは、いわゆる強制処分法定主義を規定していると言われてます。

 ここで、間違えやすいので、令状主義との関係について簡単に説明します。

 

 そもそも、捜査機関は、原則、捜査の必要性がある限り、捜査を行うことができます。もっとも、人権侵害の程度が強い捜査手法については、予め国民の意思を反映し、法律上に規定しているものに限って、捜査を行うことができます。

 つまり、そもそも、人権侵害の程度が強い捜査については、法律上に規定がなければ行うことができません。

 これが、強制処分法定主義です。

 

 他方、令状主義というには、法律上の規定がある強制処分を行うためには、適切な裁判所のチェックを受けた上で、令状を発付(許可)してもらわなければならないという概念です。

 

 したがって、強制処分法定主義は立法上の問題で、令状主義は司法上の問題であると言えます。

 

 では、強制処分に当たるか否かは、どのように判断されるのでしょうか。

 

 これについて判示した有名判例が、最決51年3月16日判決です。

 同判決では、強制処分とは「個人の意思を制圧し、身体、住居、財産等に制約を加えて強制的に捜査目的を実現する行為など、特別の根拠規定がなければ許容することが相当でない手段を意味するもの」と判示しています。

 

 同判例の「身体」、「住居」、「財産」というのは、刑事訴訟法に規定されている逮捕、捜索、差押えの被対象者の法益を想定しているといわれていますが、ここでは説明を割愛します。

 

 以上の前提に、強制処分該当性を審査した上で、任意捜査の限界を判断していく流れになりますが、令状主義と強制処分法定主義の関係を考慮すると、以下の思考図で検討していくのが良いと考えられます。

 

 

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2 思考図式について

 強制処分該当性

     強制処分に該当する

     ①明文上の定めがない・・・・・・強制処分法定主義に違反する

     ②明文上の定めはある(例)捜索))・・・強制処分法定主義に違反せず

      しかし、令状がない・・・・・・令状主義違反

 ↓

任意捜査の限界

    必要性・緊急性VS権利侵害内容程度=全体として相当か?

 

3 最決平成21年9月28日について

 以上を踏まえて、エックス線検査についてはどのように考えるべきでしょうか?

 この点について、最決平成21年9月28日は、「その射影によって荷物の内容物の形状や材質をうかがい知ることができる上、内容物によってはその品物等を相当程度具体的に特定することも可能であって、荷送人や荷受人の内容物に対するプライバシー等を大きく侵害するものであるから、検証としての性質を有する強制処分に当たるものと解される。」と判示しました。

 

 そして、同判例では、検査許可状がなかったことから違法と判断しています。

 すなわち、検証である以上、強制処分法定主義には違反しませんでしたが、令状がないので令状主義に違反となると判断したと言えます。

 

4 注意点

 以上の判例では、エックス線検査の精度が高いことが判断要素として重視されています。

 そのため、エックス線検査であっても、精度の低い機器で行っていた場合には、強制処分に該当しない可能性があります(なお、任意処分の限界については論じる必要がありますが。)

 

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交通事故!経済的全損の落とし穴。解決方法

 

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 交通事故って辛いですよね。

 例えば、家族でお出かけしている時に、急に自動車にぶつけられて、警察と保険会社に電話しているうちに、何時間も経ってしまいました。自走不可能です。となり、大切な家族との休日が全てダメになってしまうなんてこともあります。

 

 幸い怪我がなくても後日相手の保険会社から電話が掛ってきて、修理費用が50万円もかかるのに、「経済的全損」と言われて、「新車価格の10%の20万円がお支払い額です」とか言われた日には、頭に来ますよね。

 

 そこで、今回は、交通事故に遭遇した時に聞く、車両損害の経済的全損とは何か?について少し検討をしてみたいと思います。

 

1 経済的全損って何?

 まず、「全損」という言葉を聞いたことがあると思いますが、「全損」には物理的全損と経済的全損の2つの種類があります。

 

 簡単に説明しますが、物理的全損というのは、いわゆる「おしゃか」の状態です。つまり、現在の技術を駆使して、車を修理することができない場合です。

 

 他方、経済的全損は、修理自体はできますが、修理額が車両時価額を著しく上回る場合こ経済的全損とされ、修理金額を相手方は賠償すべき法律上の義務を負わないこととなるため、車両損害額は、車両時価額等を基準に算定されることとなります。

 

 つまり、冒頭の例では、相手方保険会社が、経済的全損=(車両価額が車両修理費を著し上回っている)ので、新車価格の10%(車両時価額)をお支払いしますと提案してきたことになります。

 

 

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2 この場合どうするべきか?

 実は、これ、相手方の保険会社の要求をのむしかないように見えますが、大きく分けると、2つの争う方法?があります。

 

 まず、1つ目は、相手方が対物超過保険に加入しているか確認することです。

 経済的全損となった場合に、相手方は法律上の義務としては、車両時価額のみを賠償すれば足ります。当たり前ですが、被害者とかなり揉めます。

 

そこで、保険会社は対物超過保険という商品をつくり、前記車両時価額、つまり、法律上の賠償額を超えて、保険会社がお支払するという商品を作っていることが多いです。

 しかも、対物超過保険は、保険会社にもよりますが、千円以下の保険料で入ることができるので、相手方が付けていることが多いです。

 

 ただし、保険を使用するか否かについては、相手方の意思によるものなので、相手方が

 同意しない限り保険会社もこの保険を使ってお支払をすることができません。

 

 したがって、相手方の保険会社から経済的全損だと言われた場合には、まず、相手方が対物超過保険に加入しているか否か、また、加入している場合には、対物超過保険を使用してもらうように交渉をすることが大切です。

 

 

 他方、2つ目の方法は、車両時価額を争う方法です。

 

そもそも、車両時価額とは、簡潔にいと、事故にあった車と同じ車を中古車市場で取得するのに必要な金額を言います。

 また、同じかどうかについては、車種・年式・方、同程度の使用状態・走行距離等により判断をします。

 

 そして、その算定方法については、色々な考え方があり、例えば、ネット上の中古車販売サイトに載っている車両平均額で割り出すという手法も使われています。

 

 ところが、保険会社の多くは、初度登録から10年以上経過していた場合、新車価格の10%を車両時価額だと認定した上で、お支払をしますと言ってきます。

  

 保険会社のこの計算方法自体も間違っているものではなく、車両時価額を算定する一つの方法ではあります。

 

 しかし、大切なのはそれ以外の算定方法もあるということです。

 

 例えば、相手方保険会社から新車価格200万円の10%=20万円が車両時価額ですのでこれをお支払しますと提案されても、ネット上の中古車販売サイトを見ると、40万円くらいで取引されているならば、相手方保険会社に対して、40万円で認定をするべきである提案することもできます。

 

 

 

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3 最後に

 以上のように検討をしてきましたが、大切なことは、経済的全損ですので、車両時価額の10%を損害金としてお支払しますと言われて、直ぐに合意をしないことです。

 

 対物超過保険の加入の有無、中古車市場価格の調査をしっかり行い、適切な解決にむけて話し合うことが大切です。

 

 

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株主招集通知漏れてる!株主総会決議の取消事由

 

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 会社の方の勉強って大変ですよね。

 条文を読んでも、基本書やテキストを読んでいても、なかなか頭に入ってこないです。

 

 組織再編の章はもちろんのこと、株式の章も機関の章も難しいです。

 

 今回は、会社法上の有名論点である株主総会決議取消しの訴えにおいて、他の株主への招集通知漏れがあった場合にこれを取消し事由として主張することができるか?

 

 という問題について少し検討してみたいと思います。

 

 

1 株主総会決議取消しの訴えとは?

 まず、会社法831条1項では、各号に取消事由を規定しています。

 ①株主総会等の招集の手続又は決議の方法が法令若しくは定款に違反し、又は著しく不公正なとき

 ②株主総会の決議の内容が定款に違反するとき。

 ③株主総会の決議について特別の利害関係を有する者が議決権を行使したことによって著しく不当な決議がされたとき

 

 また、株主総会を開催する場合には、取締役は、株主に対して、原則、2週間前までに招集通知を送らなければならないとされています(会社法299条)。

 

 では、株主総会が終わった後に決議取消しの訴えを提起する際に、自分とは直接関係がない他の株主に対して、上記招集通知を送っていなかったことを取消事由として主張することができるのでしょうか?

 

 

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2 判例及び考え方

 この点について、最判昭和42年9月28日は「株主は自己に対する株主総会招集手続きに瑕疵がなくとも、他の株主に対する招集手続に瑕疵のある場合には、決議取消の訴を提起し得る」と判示しました。

 

 この判例の判示については、しっくりこない人もいるか思います。

 

 ざっくり説明します。

 

 この点、決議取消しの訴えって、他の法律と比較してかなり特殊ではあります。

ご存じのとおり行政訴訟の場合、手続き違反は原則、取消事由にならないですよね。その理由は、取消しても手続充足すれば行政処分ができるので、意味ないからです。

 

 ただ、会社法では、上記のとおり、①及び③のとおり、手続の違反を取消事由として規定しています。

 

 その趣旨は、株主総会は株式会社の最高の意思決定機関であり、同機関における意思決定プロセスを担保する点にあります。

 簡単にいうと、手続違反が取消事由にならなかった場合、取締役は手続き守らなくても、総会決議取消されないので、法令自体守らなくなり、引いては、会社の最高意思決定機関の決定プロセスが阻害され、その結果、株主が害されてしまうので、これを防止しようということです。

 

 そのような理由から、会社法では手続違反についても取消事由として規定しました。

 

 この点、他の株主への招集通知漏れについては、提訴する株主からすると一見自身と関係がないように見えますが、株主総会全体で見たときに、公正な決議が妨げられたという意味では、提訴する株主も関係があります。

 

 また、そもそも、上記訴訟自体が株主の共同意思の実現のためにやるという性質もあることに鑑みると、取消事由として主張できるというのは妥当な結論だと言えます。

 

3 最後に

 以上のように検討してきましたが、自分自身と直接関係がない手続違反について、いかなる事由であっても当然主張することができるかというと何とも言えません。

 

 また、手続違反については、取消事由とはなるとはなりますが、裁量棄却される(会社法831条2項)可能性が高いです。

 

 したがって、現実問題として、取消事由を理由に決議取消し訴訟をやる実益がある場合は限られますので、提訴する前にしっかり考えることが大切です。

 

 裁量棄却については、また別の機会に検討してみたいと思います。

 

 

 

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刑事訴訟法256条3項 訴因の特定について

 

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 刑事訴訟法の公判手続きって難しいですよね。刑事訴訟手続き自体あまり馴染みがなく、どのようなものであるかイメージが湧きにくいかと思います。

 

 そこで、今回は、公判手続きの中でも最初に出てくる、訴因の特定について少し検討してみたいと思います。

 

1 訴因とは?

 まず、訴因とは何でしょうか?

 訴因とは、刑事訴訟における審判対象となる具体的な犯罪事実を言います。

 

 そもそも、刑事訴訟手続きは、ある特定の人物が罪を犯したか否かを判断する手続きです。そのため、特定の人物がどのような犯罪を行ったのかを起訴状に記載し、これにつき裁判所が判断をするため、訴因は、上記の定義となります。

 

 また、上記の理由から、訴因は、裁判所に対して、審判対象を示すという機能があります。他方、訴因が設定されると、被告人からすれば、自分が犯したとされる罪の内容が明確となり、これに対して防御をすれば良いということになるため、第2次的に被告人の防御対象を示すという機能もあります。

 

2 刑事訴訟法256条3項の訴因の特定とは?

 まず、刑事訴訟256条3項は、以下のとおり規定しています。

 

 「公訴事実は、訴因を明示してこれを記載しなければならない。訴因を明示するには、できる限り日時、場所及び方法を以て罪となるべき事実を特定してこれをしなければならない。」

 

 上記条文は、訴因の明示及び特定について定めたものです。

 

 この点、上述した訴因の機能からすれば、公訴事実に訴因を明示して、できる限り日時、場所及び方法等で特定しないさいといのは、当然の帰結であると言えます。

 

 

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3 「できる限り」の意味とは?

 裁判例等では、具体的な捜査状況等を考慮し、「できる限り」特定されていればよく、ある程度幅広、日時、場所及び方法を公訴事実に記載することも認められています(最判昭和56年4月25日等参照)。

 

 では、刑事訴訟法256条3項違反する場合とはどのような場合でしょうか?

 

 この問題については、2つの視点から分析することが大切です。

すなわち、そもそも、訴因として、「明示」されているのか?という視点と、明示されているとして特定ができているのか?という視点です。

 

 例えば、●●公園でAが死体で発見されたとします。その後、捜査上浮上したBが犯人であると捜査機関が判断し、Bを殺人罪の被告人として起訴したとします。

 この場合、「Bが、何らかの器具を使用して、Aを殴打し、死亡さた」と公訴事実に記載していた場合、2つの問題があります。

 

 すなわち、上記公訴事実の内容だけだと、傷害致死罪であるのか殺人罪であるのか判別できません。すなわち、「殺意があった」事実についての訴因の明示がないこととなります。

 したがって、この観点からは、訴因の明示がないという理由により刑事訴訟法256条3項に違反することになります。

 

 また、上記公訴事実は、「日時、場所」について記載していませんし、方法についても、「何らかの器具を使用して、Aを殴打し」としか記載されていません。

 

 この記載部分については、「日時、場所及び方法」ができる限り特定されていないと判断され、刑事訴訟法256条3項に違反する可能性があります。

 

 もっとも、あくまでも日時、場所及び方法は、具体的な捜査状況を考慮し、できる限り特定されていれば良いので、前記記載が直ちに、刑事訴訟法256条3項に違反するとまでは言えませんが、通常、日時については例えば、「令和●年12月1日から同月15日までの間に」等、幅を設けた上で記載され、かつ場所につても「東京都●区から区において」においてと、これも幅を設けた上で記載されることが多いです。

 

 したがって、誇張していうならば、記載があればできる限り特定しているとされ、刑事訴訟法256条3項に違反しないと判断される可能性が高いです(もっとも、覚せい剤自己使用罪等が公訴事実となっており、1回の使用のみが起訴されているものの、使用を複数回行っていた場合には、別途考慮が必要となります。)

 

4 最後に

 訴因は、公判手続きの一番最初に勉強する部分ですが、あまりイメージが湧かず、理解をするのが大変だと思います。

そのような場合は、判例の事案等を読んでみると学習が進むと思います。

 

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憲法13条 プライバシー権?その内容と対象情報の重要性の程度

 

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 憲法13条後段の幸福追求権って自己決定権とかプライバシー権とか色々な権利がありますよね。

 特に、プライバシー権ってどのような情報をどのような範囲で保護しているのか、考え出すときりがありません。

 

 そこで、今回は、プライバシー権により保護される対象ついて、少し考えてみたいと思います。

 

1 プライバシー権って何?

 プライバシー権ってよく耳にする言葉ですが、結局のところどのような権利であるかについては、講学上様々な見解の対立があります。

 しかし、簡潔に述べるならば、プライバシー権とは、自らの私的事項をみだりに公開されないことを中核としつつ、同私的事項に関する情報の収集管理等を行うことを根拠付ける権利であると言えます。

 

 もっとも、私的な事項に関する情報といっても、病歴やDNA情報などの自らの人格に直接かかわる秘匿性の高い情報から、氏名、住所、電話番号等の日常よく自らが開示している情報まで様々なものがあります。

 

 そこで、このような氏名・住所・電話番号等の情報がプライバシー権により保護されるかが問題となります。この点につき判示したのが最判平成15年9月12日です。

 

2 最判平成15年9月12日判決

 同判決は、氏名、住所、電話番号等の個人情報について「本人が、自己が欲しない他者にみだりにこれを開示されたくないと考えることが自然なことであり、そのことへの期待は保護されるべきものである」と判示し、同個人情報が法的保護の対象となること、及び慎重な取り扱いが要求され、みだりにこれを他者に開示することは許されない旨を判示しました。

 

3 対象情報の重要性

 以上のとおり氏名、住所、電話番号等の情報は、プライバシー権により保護されます。

 

 これって一般的な感覚だと当たり前の様な気がしますが、憲法の学習においては、重要な視点があります。

 

 いわゆる三段階審査を採用した場合、保護範囲または保護領域を論ずることになりますが、そもそも、保護されるかという問題と、保護されるとしてどの程度保護されるのかという視点が重要となります(審査密度の権利の重要性とリンクしてくる話しでもあります。)

 

 ここで、重要なのは、最判平成15年9月12日は、上記個人情報について「単純な情報であって、その限りにおいては、秘匿されるべき必要性が必ずしも高いものではない」と判示して、上記のとおり「期待は保護されるべき」と判示しています。

 

 つまり、上記情報がプライバシー権により保護されるとしても、その保護の程度は、病歴やDNA等の情報と同程度保護されるわけではないと考えられます。

 

 したがって、憲法の答案を書く際には、対象となる情報が何であるか、またその情報がどの程度保護されるのかを意識しながら論ずることが大切であると言えます。

 

 

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知っておきたい!刑訴法89条。保釈制度の概要

 

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1 ニュース番組を見ていて

 覚せい剤自己使用の罪で逮捕された後、しばらして、有名人が、保釈されて出てくる様子をテレビで見たことがありますよね。

 また、テレビや新聞等では、「保釈金推定○○〇万円」というように報道されることもあります。

 このようなニュースや記事等見ていると、逮捕されても直ぐに出られると思っている人が多いかと思います。

 

 しかし、実際のところは遠からず近からずというような感じです。

 そこで、今回はあまり知られていない保釈制度について少し考えてみたいと思います。

 

2 そもそも保釈って何?

 保釈とは、簡単にいうと、公訴提起後の被告人の身体拘束を解く方法です。

 この点、よく間違えられるのですが、逮捕勾留中に保釈はありません。

 そもそも、通常、逮捕されると3日間、勾留決定がされ、なおかつ勾留延長がされると、20日間、逮捕と勾留を合わせて最長23日間は、警察署内にある留置施設で身体拘束をされます。

 

 この点、勾留決定及び勾留延長決定に対しては、準抗告の申立てで、勾留に理由がないことが認められた場合等には、晴れて留置施設から出ることができます。しかし、このような準抗告の申立てが認められるケースはかなり少ないと言えます。

 したがって、最大23日間は、警察署の留置施設で生活をせざるを得ないことになります。

 

 

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3 どうしたら保釈されるの?

 では、検察官が公訴提起した後、弁護人が保釈請求をするとして保釈は認められるのでしょうか。

 

 保釈には、必要的保釈(刑訴法第89条)、職権保釈(刑訴法第90条)、不当に長い拘禁の場合の保釈(刑訴法第91条)の3つがありますが、中でもよく使用されるのが、必要的保釈と職権保釈です。

 

 まず、必要的保釈については、原則、保釈請求があった場合には、それを許さなくてはならず、刑訴法第89条1号から6号までの事由に該当する場合に限り、保釈が許されないこととなります。 

 

 具体的には、以下のとおりとなります。

1号「被告人が死刑又は無期若しくは短期一年以上の懲役若しくは禁錮に当たる罪を犯したものであるとき」

2号「被告人が前に死刑又は無期若しくは長期十年を超える懲役若しくは禁錮に当たる罪につき有罪の宣告を受けたことがあるとき」

 3号「被告人が常習として長期三年以上の懲役又は禁錮に当たる罪を犯したものであるとき。」

 4号「被告人が罪証を隠滅すると疑うに足りる相当な理由があるとき。」

 5号「被告人が、被害者その他事件の審判に必要な知識を有すると認められる者若しくはその親族の身体若しくは財産に害を加え又はこれらの者を畏怖させる行為をすると疑うに足りる相当な理由があるとき。」

 6号「被告人の氏名又は住居が分からないとき。」

 

 必要的保釈の場合によく問題となるのは、4号から6号までの規定です。

以下これらにつき少し検討してみたいと思います。

 

 まず、4号は、簡潔にいうと、被告人が証拠を隠滅する場合です。

 

 刑事訴訟法の目的とは、真実の発見にあります。公訴提起がなされ判決が出るまでの間に、証拠が隠滅された場合には、同目的を達成することはできず、罪を犯した者をみすみす、無罪とせざるを得ない事態が生じます。

 そのような事態を回避するために、罪証隠滅のおそれがある場合には、保釈は認められない可能性があります。

 

 次に、5号については、4号の理由に加えて、いわゆる二次被害が発生する可能性がある場合等を想定しています。

 すなわち、被害者や目撃者を脅して、同人らに危害を及ぼす危険がある場合には、証人としての証拠隠滅を防止し、同人らの身体・生命等に対する危険を防止するために、保釈が認められない可能性があります。

 

 最後に、6号ですが、被告人の住所や氏名が分からない場合、公判廷期日への出頭を確保することが難しいため、同号事由に当たる場合も保釈が認められない可能性があります。

 

 なお、逃亡のおそれが保釈が認められない事由として規定されていないことに疑問を持った人もいるかもしれませんが、この点については、保釈金で一応担保されており、規定はされていません(もっとも、次の職権保釈では考慮要素になります。)

 

 以上のとおり、上記各号に該当する場合に、一切保釈が認められないのか?

 というと、そうではありません。

 刑事訴訟法第90条に定める職権保釈で、保釈が認められる場合があります。

 

 刑事訴訟法第90条は、「裁判所は、保釈された場合に被告人が逃亡し又は罪証を隠滅するおそれの程度のほか、身体の拘束の継続により被告人が受ける健康上、経済上、社会生活上又は防御の準備上の不利益の程度その他の事情を考慮し、適当と認めるときは、職権で保釈を許すことができる。」と規定しています。

 

 同規定は、裁判所の職権保釈を認める場合ですが、この規定に基づき保釈がなされることが非常に多いです。

 そして、具体的に考慮される内容としては、前科の有無、常習性、予想される量刑の程度、監督者の有無、同居者の有無、反省の程度等が挙げられます。

 

 

4 おわりに

 以上が保釈制度の概要となりますが、現行法上1つ気になる点があります。

それは、職権保釈において、被告人が否認している事実が消極的事由として考慮されていることです。

 

 そもそも、真実無罪の者が、無罪である旨を供述している場合に、身体拘束から解放するか否かの判断でマイナスとして捉えることが必ずしも適切であるとは言えないと考えられます。 

 

 そこで、裁判所においては、個別事情に照らし、無罪である可能性が高いとの心証を抱いたとするならば、職権による保釈の審査においても、消極的事由として考慮すべきではないと考えます。

 

 

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