5分で読める法律の豆知識

テレビや新聞などで政治から芸能スキャンダルまで幅広いニュースを見ます。しかし、法律のことについて詳しく書かれたものはあまりみません。なので自分で勉強してみました。個人的に面白いと思ったものだけ書くのであまり網羅性はありません。なので暇つぶし程度に読んでいただければ幸いです。

職務質問に附随する所持品検査!違法になる場合とは?警察官職務執行法(警職法)2条1項の話

 

 

www.houritunomametaro.com

 

 自分や友人が道を歩いている時に、警察官に呼び止められて職務質問をされた経験がある人はいると思います。

 

 警察官は、何食わぬ顔で、「ちょっと質問したいことがあるんですけど良いですか?」等と言い、私たちを停止させ、質問をします。場合によっては、私たちが所持しているバッグの中を見せて欲しいとか言ってくることもあります。

 

 しかし、そもそも、警察官は、私たちに対し、いかなる根拠法に基づいて、職務質問及び所持品検査をしているのでしょうか。

 

 そこで、今回は、職務質問と所持品検査について少し検討してみたいと思います。

 

1 そもそも職務質問とは?

 まず、職務質問については、警察官職務執行法(警職法)2条1項に規定されています。

 

 すなわち、同法条項は、「警察官は、異常な挙動その他周囲の事情から合理的に判断して何らかの犯罪を犯し、若しくは犯そうとしていると疑うに足りる相当な理由のある者又はすでに行われた犯罪について、若しくは犯罪が行われようとしていることについて知つていると認められる者を停止させて質問することができる。」と規定しています。

 

 上記根拠法から明らかなとおり、警察官は、異常な挙動などの客観的事情から判断し、何らかの犯罪を犯そうとしていると疑うに足りる相当な理由のある者等を停止させ、質問することができるだけであり、このような要件を満たさない場合には、そもそも、職務質問を行うことができません。

 

 また、職務質問は、任意処分であるため、警察官は、理論上、職務質問を受ける人の意思に反して、プライバシー権等の重要な権利を実質的に侵害するような方法で、職務質問を行うことはできません。

 

 そのため、職務質問を受ける際には、そもそも、職務質問をすることができる状況か否か、また、警察官の行為が、過剰なものとなっているか否かをしっかりと考える必要があります。

 

 ところで、職務質問と一緒に行われる行為として所持品検査がありますが、所持品検査については、警察官職務執行法上、明示的に規定した条文がありません。

 

 そこで、所持品検査は、どのような根拠法に基づき行われているのか、また、警察官が行う所持品検査が過剰なものとなった場合に違法となることはあるのかが問題となります。

 

 この点について、最高裁昭和53年6月20日判決は一定の基準を示しています。

 

 

 

www.houritunomametaro.com

 

2 所持品検査が違法となる場合

 まず、上記判例は、所持品検査の根拠法について、「口頭による質問と密接に関連し、かつ、職務質問の効果をあげるうえで必要性、有効性の認められる行為であるから」警察官職務執行法(警職法)2条1項による職務質問に附随して所持品検査を行うことができる場合があると判示しました。

 

 すなわち、所持品検査は、警察官職務執行法2条1項の職務質問に附随して行うことができる場合があるだけであり、所持品検査単体で行うことはできず、根拠法としては、同法条項となります。

 

 そして、上記判例では、所持品検査が違法になるか否かの基準について、以下のとおり判示をしました。

 

 すなわち、上記判例は、「所持品検査は、任意手段である職務質問の附随行為として許容されるのであるから、所持人の承諾を得て、その限度においてこれを行うのが原則であることはいうまでもない。」と判示し、その上で、「捜査に至らない程度の行為は、強制にわたらない限り、所持品検査においても許容される場合があると解すべきである。」と判示し、そして、「所持品検査の必要性、緊急性、これによって害される個人の法益と保護されるべき公共の利益との権衡などを考慮し、具田的状況のもとで相当と認められる限度においてのみ、許容されるものと解すべきである。」と判示しました。

 

3 具体的な判断

 以上のとおり、判例は、一定の場合に、所持品検査が違法になる可能性があることを判示した点で意義を有しますが、具体的に、どのような場合に所持品検査は違法となるのでしょうか?

 

 そもそも、判例が示した判断基準は、強制処分該当性及び任意捜査の限界の基準に類似していると言えます。

 

 しかし、職務質問は、あくまでも行政警察活動であり、捜査機関が、公訴提起及び維持のために行う証拠収集活動である捜査と状況下は異なります。

 

 そのため、必要性及び緊急性が強いと言える場合は、さほど多くはないと考えられます。そして、所持品検査を行う場合には、当然、被処分者のプライバシー権等を侵害するため、必要性及び緊急性と被処分者の権利利益を天秤にかけた場合、警察官は、捜査の場合よりも強制度が高い態様で所持品検査を行うことはできず、強制度が高い態様で行った場合、違法と認定されるケースが結果的に多くなる可能性があると考えられます。

 

 もっとも、ケースバイケースであるため、一概には言い切れませんが、当然のことながら、職務質問も所持品検査も被処分者の権利利益を制限する可能性がある以上、警察官は、むやみやたら職務質問も所持品検査も行うことはできません。

 

 そのため、職務質問及び所持品検査を受ける場合には、警察官職務執行法の要件を充足しているか否か、また、態様として過剰であるか否かをしっかり見極めることが大切です。

 

 

 

 

www.houritunomametaro.com

www.houritunomametaro.com

www.houritunomametaro.com

www.houritunomametaro.com

 

 

www.houritunomametaro.com