5分で読める法律の豆知識

テレビや新聞などで政治から芸能スキャンダルまで幅広いニュースを見ます。しかし、法律のことについて詳しく書かれたものはあまりみません。なので自分で勉強してみました。個人的に面白いと思ったものだけ書くのであまり網羅性はありません。なので暇つぶし程度に読んでいただければ幸いです。

刑事訴訟法第110条。知っておきたい令状呈示の考え方!

 

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 テレビドラマを見ていると、いわゆる「ガサ入れ」のシーンとかありますよね。

 

 この時に、「警察だ!」等と言って、警察官が被疑者の家の中に入って行きますが、これってそもそも適法なのでしょうか?

 

 そこで、今回は、刑事訴訟法第110条の令状呈示について検討をしてみたいと思います。

 

 

1 刑事訴訟法第110条の規定

 まず、刑事訴訟法第110条は、「差押状、記録命令付差押状又は捜索状は、処分を受ける者にこれを示さなければならない。」と規定しています。

 そして、捜査機関が捜査を行う場合の準用規定である同法222条も、上記条文を引用しています。

  

 そのため、捜査機関が、令状に基づき捜索差押をする場合には、被処分者に対して令状を呈示しなければなりません。

 

 では、捜査機関は、いつまでに令状を呈示しなくてはいけなのでしょうか?

 明文上の規定がなく、問題となります。

 

2 原則論の話

 この点について、最決平成14年10月4日は、「捜索差押許可状の呈示は、手続の公正を担保するとともに、処分を受ける者の人権に配慮する趣旨に出たものであるから、令状の執行に着手する前の呈示を原則とする。」と判示しました。

  

 つまり、同判例によると、捜査機関は、原則、捜索・差押に着手する前に、令状を呈示する必要があることとなります。

 

 

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3 例外論の話

 しかし、原則があれば例外があり、上記判例は、覚せい剤取締法違反の被疑事実の捜査差押で、差押対象物件が破棄隠匿される可能性があった事案でした。

 

 そこで、上記判例は、「警察官らが令状の執行に着手して入室した上その直後に呈示を行うことは、法意にもとるものではなく、捜索差押えの実効性を確保するためにやむを得ないところであって、適法というべき」と判示しました。

 

 つまり、具体的な状況下においては、着手後に令状を呈示することも許されることとなります。

 

 そして、その具体的な状況とは、上記判例が判示している「捜索差押えの実効性を確保するためにやむを得ない」場合であるか否かという点で判断することになります。

 

 

4 刑事訴訟法111条の「その他必要な処分」との違い

 テストの問題では、刑事訴訟法111条の「その他必要な処分」も絡む形で出題をされます。

 ここで、注意すべきなのは、令状呈示の時期の論点と、「その他必要な処分」の論点は別物だということです。

 

 令状呈示の時期の論点は、あくまでも、「捜索差押えの実効性」の観点から検討をすることとなるため、対象物の破棄隠匿、被処分者の逃亡のおそれ等が判断する上で、重要な要素となります。

 

 他方、「その他必要な処分」の場合には、上記捜索差押えの実効性の観点に加えて、その方法をとるべき必要性・相当性等が判断する上で、重要な要素となります(例えば、宅配便だと虚偽を述べること、鍵を壊すこと、窓を壊すこと等)。

 

 したがって、上述の論点を検討する場合には、どの要素がどちらの論点に影響を与えるのか、しっかり意識して論述をすることが大切です。

 

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