5分で読める法律の豆知識

テレビや新聞などで政治から芸能スキャンダルまで幅広いニュースを見ます。しかし、法律のことについて詳しく書かれたものはあまりみません。なので自分で勉強してみました。個人的に面白いと思ったものだけ書くのであまり網羅性はありません。なので暇つぶし程度に読んでいただければ幸いです。

知っておきたい!保釈制度の概要

1 ニュース番組を見ていて

 覚せい剤自己使用の罪で逮捕された後、しばらして、有名人が、保釈されて出てくる様子をテレビで見たことがありますよね。

 また、テレビや新聞等では、「保釈金推定○○〇万円」というように報道されることもあります。

 このようなニュースや記事等見ていると、逮捕されても直ぐに出られると思っている人が多いかと思います。

 

 しかし、実際のところは遠からず近からずというような感じです。

 そこで、今回はあまり知られていない保釈制度について少し考えてみたいと思います。

 

2 そもそも保釈って何?

 保釈とは、簡単にいうと、公訴提起後の被告人の身体拘束を解く方法です。

 この点、よく間違えられるのですが、逮捕勾留中に保釈はありません。

 そもそも、通常、逮捕されると3日間、勾留決定がされ、なおかつ勾留延長がされると、20日間、逮捕と勾留を合わせて最長23日間は、警察署内にある留置施設で身体拘束をされます。

 

 この点、勾留決定及び勾留延長決定に対しては、準抗告の申立てで、勾留に理由がないことが認められた場合等には、晴れて留置施設から出ることができます。しかし、このような準抗告の申立てが認められるケースはかなり少ないと言えます。

 したがって、最大23日間は、警察署の留置施設で生活をせざるを得ないことになります。

 

3 どうしたら保釈されるの?

 では、検察官が公訴提起した後、弁護人が保釈請求をするとして保釈は認められるのでしょうか。

 

 保釈には、必要的保釈(刑訴法第89条)、職権保釈(刑訴法第90条)、不当に長い拘禁の場合の保釈(刑訴法第91条)の3つがありますが、中でもよく使用されるのが、必要的保釈と職権保釈です。

 

 まず、必要的保釈については、原則、保釈請求があった場合には、それを許さなくてはならず、刑訴法第89条1号から6号までの事由に該当する場合に限り、保釈が許されないこととなります。 

 

 具体的には、以下のとおりとなります。

1号「被告人が死刑又は無期若しくは短期一年以上の懲役若しくは禁錮に当たる罪を犯したものであるとき」

2号「被告人が前に死刑又は無期若しくは長期十年を超える懲役若しくは禁錮に当たる罪につき有罪の宣告を受けたことがあるとき」

 3号「被告人が常習として長期三年以上の懲役又は禁錮に当たる罪を犯したものであるとき。」

 4号「被告人が罪証を隠滅すると疑うに足りる相当な理由があるとき。」

 5号「被告人が、被害者その他事件の審判に必要な知識を有すると認められる者若しくはその親族の身体若しくは財産に害を加え又はこれらの者を畏怖させる行為をすると疑うに足りる相当な理由があるとき。」

 6号「被告人の氏名又は住居が分からないとき。」

 

 必要的保釈の場合によく問題となるのは、4号から6号までの規定です。

以下これらにつき少し検討してみたいと思います。

 

 まず、4号は、簡潔にいうと、被告人が証拠を隠滅する場合です。

 

 刑事訴訟法の目的とは、真実の発見にあります。公訴提起がなされ判決が出るまでの間に、証拠が隠滅された場合には、同目的を達成することはできず、罪を犯した者をみすみす、無罪とせざるを得ない事態が生じます。

 そのような事態を回避するために、罪証隠滅のおそれがある場合には、保釈は認められない可能性があります。

 

 次に、5号については、4号の理由に加えて、いわゆる二次被害が発生する可能性がある場合等を想定しています。

 すなわち、被害者や目撃者を脅して、同人らに危害を及ぼす危険がある場合には、証人としての証拠隠滅を防止し、同人らの身体・生命等に対する危険を防止するために、保釈が認められない可能性があります。

 

 最後に、6号ですが、被告人の住所や氏名が分からない場合、公判廷期日への出頭を確保することが難しいため、同号事由に当たる場合も保釈が認められない可能性があります。

 

 なお、逃亡のおそれが保釈が認められない事由として規定されていないことに疑問を持った人もいるかもしれませんが、この点については、保釈金で一応担保されており、規定はされていません(もっとも、次の職権保釈では考慮要素になります。)

 

 以上のとおり、上記各号に該当する場合に、一切保釈が認められないのか?

 というと、そうではありません。

 刑事訴訟法第90条に定める職権保釈で、保釈が認められる場合があります。

 

 刑事訴訟法第90条は、「裁判所は、保釈された場合に被告人が逃亡し又は罪証を隠滅するおそれの程度のほか、身体の拘束の継続により被告人が受ける健康上、経済上、社会生活上又は防御の準備上の不利益の程度その他の事情を考慮し、適当と認めるときは、職権で保釈を許すことができる。」と規定しています。

 

 同規定は、裁判所の職権保釈を認める場合ですが、この規定に基づき保釈がなされることが非常に多いです。

 そして、具体的に考慮される内容としては、前科の有無、常習性、予想される量刑の程度、監督者の有無、同居者の有無、反省の程度等が挙げられます。

 

 

4 おわりに

 以上が保釈制度の概要となりますが、現行法上1つ気になる点があります。

それは、職権保釈において、被告人が否認している事実が消極的事由として考慮されていることです。

 

 そもそも、真実無罪の者が、無罪である旨を供述している場合に、身体拘束から解放するか否かの判断でマイナスとして捉えることが必ずしも適切であるとは言えないと考えられます。 

 

 そこで、裁判所においては、個別事情に照らし、無罪である可能性が高いとの心証を抱いたとするならば、職権による保釈の審査においても、消極的事由として考慮すべきではないと考えます。