5分で読める法律の豆知識

テレビや新聞などで政治から芸能スキャンダルまで幅広いニュースを見ます。しかし、法律のことについて詳しく書かれたものはあまりみません。なので自分で勉強してみました。個人的に面白いと思ったものだけ書くのであまり網羅性はありません。なので暇つぶし程度に読んでいただければ幸いです。

会社法429条 取締役の第三者に対する損害賠償責任についての検討

 

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 取締役は、会社の事業執行を行うことを目的とする機関ですが、事業執行をする過程において、第三者に損害を生じさせることがあります。

 

 そこで、今回は、会社法429条所定の取締役の第三者に対する責任について検討していたいと思います。

 

1 会社法429条の規定

 まず、会社法429条1項は、「役員等がその職務を行うについて悪意又は重大な過失があったときは、当該役員等は、これによって第三者に生じた損害を賠償する責任を負う。」と規定しています。すなわち、取締役等が職務執行を行っているときに、第三者に損害を生じさせた場合に、取締役が同損害を賠償しなければならない可能性があることを会社法は規定しています。

 

 もっとも、上記条文からは、例えば、第三者の損害とは直接損害(取締役の行為によって第三者が直接受けた損害)のみをさすのか、それとも間接損害(会社に損害が生じた結果、第三者に生じる損害)も含むものであのかについて定かではありません。

 

 また、会社法429条1項では「その職務を行うにつき悪意又は重大な過失」としか規定されていませんが、この「悪意又は重大な過失」とは、単に取締役が会社に対して任務懈怠を行ったことにつき必要な要件であるのか、第三者への加害について必要な要件であるのかも定かではありません。

 

 この点につき、一定の見解を示したのが、最高裁昭和44年11月26日判決です。

 

2 判例の見解

 上記判例では、現行会社法429条の規定と同じ改正前の規定の趣旨について、要約すると、株式会社が、経済社会の中で重要な地位を占めており、そして、株式会社の事業活動が取締役等の職務執行にかかっていることを考慮して、第三者保護の立場から、取締役が重過失または悪意により善管注意義務または忠実義務に違反し、これにより第三者に損害を生じさせた場合に、取締役に損害賠償義務を負わせることにあると判断しました。

 

 そのため、取締役の任務懈怠の行為と第三者の損害と間に相当因果関係があるかぎり、直接損害または間接損害を問わず、取締役は、賠償すべき責任がある旨を判示しました。

 

 したがって、会社法429条1項の損害には、直接損害のみならず間接損害も含まれることとなります。

 

 また、上記の趣旨から、会社法429条1項の「その職務を行うにつき悪意又は重大な過失」とは、第三者への加害については、もちろんのこと、単に取締役等が、会社に対し任務懈怠を行った場合も含むことが明らかとなりました。

 

 

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3 実際に問題となる場面

 以上のとおり、判断が示されていますが、実社会上、会社法429条に基づき損害賠償請求がなされる場合とは、例えば、取締役が、法令違反行為等を行い会社が倒産し、株主の所有する株式が無価値となった場合や食品衛生法に違反し、商品を購入した人が食中毒を引き起こし、株式会社のみならず同会社の取締役等の役員に対しても損害賠償請求をするような事案です。

 

 昨今、株式会社の活動は複雑化しおり、それに伴い、取締役等に求められる業務遂行能力及びコンプライアンスの質範囲も高くなっていると考えられます。

 

 したがって、今後、会社法429条に基づき、取締役の責任が追及される場面も増えていくと考えられます。

 

 

 

 

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