5分で読める法律の豆知識

テレビや新聞などで政治から芸能スキャンダルまで幅広いニュースを見ます。しかし、法律のことについて詳しく書かれたものはあまりみません。なので自分で勉強してみました。個人的に面白いと思ったものだけ書くのであまり網羅性はありません。なので暇つぶし程度に読んでいただければ幸いです。

民事訴訟法上の既判力。根本的な視点

 

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 民事訴訟法を勉強していると、「既判力」という言葉がでてきますが、この既判力とは何でしょうか?

 今回は、既判力の概要について少し考えてみたいと思います。

 

1 既判力とは?

 そもそも、既判力とは、簡単に言うと、前訴判決で確定した内容について、当事者等がこれと矛盾する主張を後訴で行うことを阻止し、また裁判所も後訴で、同判決を前提とした上で、審理判断を行わなければならないという効力です。

 

2 なぜ既判力は必要なのか?

 まず、民事訴訟法の目的は、現在の権利義務又は法律関係の有無を確定させることで、現在の法的紛争を解決することにあります。

 

 そして、当事者は、同権利義務又は法律関係の有無を裁判所に認定してもらうために、訴訟活動を遂行していき、事実審の口頭弁論終結時点までに、主張・立証活動を完結させ、裁判所は、これを前提に、判決を行うこととなります。

 

 以上の民事訴訟法の目的及び当事者の訴訟活動に照らすと、判決が出て確定した後も、後訴において、両当事者が同じ現在の権利又は法律関係について再度争うことができるとするならば、紛争がいつまでも終結せず、民事訴訟制度自体が無意味なものとなります。

 

 そこで、両当事者に適切な手続保障を与えて上で、裁判所が判決を出し、それが確定したならば、既判力という効力を認め、紛争の蒸し返しを防止することを現行の民事訴訟法は採用しました。

 

 

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3 既判力の範囲

 以上のとおり、既判力の趣旨が、紛争の蒸し返しを防止するという点にあるのであれば、現在の権利義務又は法律関係を確定させ現在の紛争を解決させる限度で、認めれば足ります。

 

 逆に言えば、過度に広範な範囲で既判力を認めてしまうと、当事者等の適切な権利行使を不当に制限することになってしまい、権利実現を不当に害することとなります。

 

 そこで、既判力については、いわゆる基準時が事実審の口頭弁論終結時点とされ、判決主文に包含されるもの、すなわち、訴訟物を基準に生じ、また、既判力に拘束される主観的範囲については、民事訴訟法第115条第1項に規定された者と規定されています。

 

4 総括

 以上のとおり、既判力については、あくまでも現在の紛争解決のためという視点が重要となり、過度に広範な範囲で及ばないように条文上ないしは解釈上制限をされています。

 

 そもそも、実体法上の権利は、終局的には訴訟を通じて実現される性質を一般的に有していますので、その実現をする機会が不当に制限されることはあってはならないことであると言えます。

 しかし、それと同時に、適切な権利実現の機会を保障し、裁判所が判断をして確定したにもかかわらず、何度も何度も争う期間を与えてしまうならば、紛争解決を目的とする裁判制度が無意味なものとなってしまいます。

 

 このような2つの観点から既判力を考えることがとても大切であり、内容の理解がすすむと思います。

 

 

 

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