5分で読める法律の豆知識

テレビや新聞などで政治から芸能スキャンダルまで幅広いニュースを見ます。しかし、法律のことについて詳しく書かれたものはあまりみません。なので自分で勉強してみました。個人的に面白いと思ったものだけ書くのであまり網羅性はありません。なので暇つぶし程度に読んでいただければ幸いです。

国家を騙して不正にお金を受取った。国家に対する詐欺罪の成否

 

1 映画やドラマなどで

 ドラマや映画を見ていると、ときどき国家に対して犯罪を行う物語がありますよね。例えば、大臣や首相を誘拐したり、はたまた、警察幹部を監禁するなどのストーリーの映画です。このような悪人に対して、警察官や諜報部員が果敢に挑み、悪人を倒すというお話は、見ていて気分が爽快になります。

 

 ところで、ドラマ等の重大な事件だけでなく、例えば、国の公共事業などを請け負って、不正に報酬を請求する事案や、架空請求をするような事案もありますよね。このような事案の場合、詐欺罪は成立するのでしょうか。

 

 そこで、今回は、国家を騙して不正にお金を受取った場合に、詐欺罪が成立するのか少し考えてみたいと思います。

 

2 詐欺罪って何?

 そもそも、詐欺罪は刑法246条1項に規定されています。同条は、「人を欺いて財物を交付させた者は、十年以下の懲役に処する。」と規定し、詐欺罪の成立要件及び処罰を規定しています(いわゆる1項詐欺罪)。

 

 詐欺罪は、他人の財物権を保護法益とする犯罪です。

 

 例えば、相手に嘘をついて、相手が嘘を信じ、金銭を交付する場合が典型的な詐欺罪です。特に有名な詐欺罪の類型としては、振り込め詐欺、結婚詐欺等があります。

 

 詐欺罪が成立するための具体的な構成要件としては、詐欺行為、錯誤、交付行為、財物移転、因果関係、故意等が挙げられます。

 この点、国家が行う政策等は、国益のために行われているため、国家に対して詐欺行為を行った場合に、他人の財物権を侵害したといえるのか、すなわち、詐欺罪が成立するのかが問題となります。

 

 この問題について、詐欺罪の成立を認めたのが、下記の最高裁昭和51年4月1日決定です。

 

3 判例等の考え方

 最高裁昭和51年4月1日決定では、「欺罔行為によって国家的法益を侵害する場合であっても、それが同時に、詐欺罪の保護法益である財産権を侵害するものである以上、当該行政処罰法規が特別法として詐欺罪の適用を排除する趣旨のものと認められない限り、詐欺罪の成立を認めること」はできる旨の判示をしました。

 

 すなわち、最高裁は、国の財産権が保護法益になることを前提とした上で、国の国益実現の場合の国家事業等に関連して詐欺行為を行ったときであっても、国の財産権を侵害し、詐欺罪の構成要件を満たすのであるならば、詐欺罪が成立することを明示的に認め、上記最高裁決定の後も、この考え方を維持しています。

 

4 最後に

 以上のとおり、国家に対して詐欺行為を行えば、詐欺罪が成立することが明らかです。

 また、このような場合には、現場の公務員等に対して、賄賂等を交付していることが多いと思われるので、詐欺罪とは別途に贈賄罪等も成立することとなります。