5分で読める法律の豆知識

テレビや新聞などで政治から芸能スキャンダルまで幅広いニュースを見ます。しかし、法律のことについて詳しく書かれたものはあまりみません。なので自分で勉強してみました。個人的に面白いと思ったものだけ書くのであまり網羅性はありません。なので暇つぶし程度に読んでいただければ幸いです。

株主総会の決議取消しの訴えにおける追加主張の可否(会社法831条)

 

 会社法を勉強していると、主要な論点として出てくのでが、株主総会の決議取消しの訴えですよね。この決議取消の訴えは、無効・不存在確認の訴えと同様に、かなり分かりにくい分野です。

 

 今回は、株主総会の決議取消の訴えの中でも、特に難しい取消事由の追加について少し考えてみたいと思います。

 

1 株主総会の決議取消しの訴え

 まず、株主総会の決議取消しの訴えを規定した会社法第831条第1項をみてみましょう。

 

 会社法第831条第1項は、「次の各号に掲げる場合には、株主等(・・・・)は、株主総会等の決議の日の3箇月以内に、訴えをもって当該決議の取消しを請求することができる。」

 ① 「株主総会等の招集の手続又は決議の方法が法令若しくは定款に違反し、又は著しく不公正なとき。」

 ② 「株主総会等の決議の内容が定款に違反するとき。」

 ③ 「株主総会等の決議について特別の利害関係を有する者が議決権を行使したことによって、著しく不当な決議がされたとき。」

 以上のとおりの概要が規定されています。

 

2 取消事由の追加について

 では、株主総会の決議取消しの訴えを適切に提起した後、総会決議から3箇月の出訴期間が経過した後に、提訴した取消し事由とは異なる取消し事由を主張することはできるのでしょうか?

 

 この点について、判例はできないと判断しています(最判昭和511224日)。

 

 その理由について、同判例は、「取消しを求められた決議は、たとえ瑕疵があるとしても、取り消されるまでは一応有効なものとして取り扱われ、会社の業務は右決議を基礎に執行されるのであって、その意味で、右規定は、瑕疵のある決議の効力を早期に明確にさせるためその取消の訴えを提起することができる期間を決議の日から3カ月と制限するものであり、また、新たな取消事由の追加主張を時機に遅れない限り無制限に許すとすれば、会社は当該決議が取り消されるか否かについて予測を立てることが困難となり、決議の執行が不安定になるといわざるを得ないのであって、そのため、瑕疵のある決議の効力を早期に明確にさせるという右規定の趣旨は没却されてしまうことを考えると、右所定の期間は、決議の瑕疵の主張を制限したものと解すべきであるからである。」と判示しています。

 

 要するに、会社の活動は、株主総会決議を前提として行われており、同決議が取り消されれば、会社の活動が支障をきたすことは明らかです。もっとも、瑕疵ある決議をそのまま残し、絶対に取り消せないとすると、株主を初めてとする会社の関係者の利益を害することは明らかです。

 

 そこで、訴訟という方法で、3カ月以内に訴えを起こす方法を、会社法は選択したと解釈することができ、同期間を過ぎて、新たに取消事由を主張することは、会社法のかかる制度設計に反するものであり認められないということになります。

 したがって、判例の判示内容はある程度適切であると言えます。

 

3 結局のところ

 しかし、講学上は、実質的に同一事由を主張することは、新たな取消し事由を主張するものではないため、認められるべきとの説が有力に主張されています。

 

 この点については、実質的に同一との判断はどのようなものかが問題となりますが、上記判例の判示内容を考慮しても、裁判上は、事実関係が同じとき、取消事由として1号該当性を主張していたものの、2号ないしは3号該当性も主張するというような場合には、実質的にみて別の事由を主張するものではないため、認められる可能性はあると思います。