5分で読める法律の豆知識

テレビや新聞などで政治から芸能スキャンダルまで幅広いニュースを見ます。しかし、法律のことについて詳しく書かれたものはあまりみません。なので自分で勉強してみました。個人的に面白いと思ったものだけ書くのであまり網羅性はありません。なので暇つぶし程度に読んでいただければ幸いです。

家を買った。そもそも登記って何?民法第177条

 

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  夢のマイホーム。結婚をしたのを機に、マンションの購入や東京の郊外に一戸建てを買うのを検討している人も多と思います。

  ところで、一戸建て住宅を買うときに土地と建物に登記をしなくてはいけないという話を聞いたことがあると思います。

 そもそも、なぜ土地や建物を買うときに登記をしなくてはいけないのでしょうか。そこで、今回は登記が果たす役割をざっくり考えてみたいと思います。

 

1   民法第177条について

  まず、民法第177条は「不動産に関する物権の得喪及び変更は、不動産登記法(平成十六年法律第百二十三号)その他の登記に関する法律の定めるところに従いその登記をしなければ、第三者に対抗することができない。」と定めています。

 

 もう少し、分かりやすく条文は作ってもらいたいところですが、これが土地や建物を買うときにとても大切な条文になります。

 

 まず、「不動産」とは、日本では土地と建物を意味します。海外では、建物は土地の定着物であり、別個の不動産ではないとする国もあります。しかし、日本では、あくまでも建物も独立の不動産として扱われます。そのため、日本では、土地と建物について別々に登記をしなくてはいけません。

 

 そして、「不動産に関する物権の得喪及び変更」とは何でしょうか。

 

 ここでは便宜上、所有権を念頭に置きます。物権には、所有権以外にも、地上権、地役権、抵当権などがありますが、今回はあくまでも、所有権に沿って考えていきます。

 つまり、「不動産に関する物権の得喪及び変更」とは、土地や建物に関する所有権を取得する場合や失う場合、あるいは、変更をする場合ということになります。

 

 冒頭の例でいえば、家を買う時に、建売であれば、売買契約を締結することになりますが、この時に、売主から買主へ所有権移転登記(所有者が変更になりましたという登記)をします。逆に、建築会社と契約をして、家を建てる場合には、所有権保存登記(これからは私が所有者ですという登記)をします。

 

2   簡単な例で考えてみます

 そして、民法第177条は、このような登記をしなければ「第三者に対抗することができない。」と規定しています。では、この「第三者に対抗することができない。」というのはどのような意味なのでしょうか。

 

 例えば、AさんがBさんから建売の住宅(甲住宅)を購入しようとします。Bさんはとても愛想がよくAさんはBさんの人柄に惚れて住宅を購入することにしました。しかし、Bさんはとても腹黒い人でした。Bさんは、Aさんに甲住宅を売り、Aさんから代金5000万円をもらったにもかかわらず、すぐさま、甲住宅を6000万円でCさんに売ってしまいました。Aさんは甲住宅に引っ越し、奥さんと子供の3人で仲良く暮らしていました。しかし、Aさんは、Bさんから甲住宅を買って以降、所有権移転登記をしていませんでした。他方、Cさんは、Bさんから甲住宅を買ってからすぐに、所有権移転登記をしました。

 

 Aさんが、甲住宅を買ってから半年が経ち、Aさんはご近所の人とも仲良くなり、家族三人で幸せに暮らしていました。ところが、ある日、Cさんが甲住宅に来て、Aさんに「これは私の家だ。出て行ってくれ」と言われました。Aさんからすれば、寝耳に水の出来事ですが、この場合、Aさんは出て行かないといけないのでしょうか。

 

 答えは、そうです。

 

 この場合、出て行かなくてはいけません。つまり、AさんはBさんから先に甲住宅を購入をしていますが、登記をしていません。少しややこしい言い方になりますが、所有権は原則、売買契約の締結と同時に売主から買主に移転します。ところが、この買主が手に入れた所有権という権利は、売主及び相続人などに対しては、当然に所有権があることを主張できるのですが、この状態のままでは、所有権があることを原則、他の人に主張することができません。

 

 そのため、Aさんのように先に甲住宅を購入したとしても、後で買ったCさんに自分自身が甲住宅の所有者であることを主張できません。さらに、このように同一の不動産について二回売買(譲渡)された状況をそのままの通り、二重譲渡といいます。この二重譲渡があった場合には、先に登記を具備した方が、確定的に所有権を取得することになります。

 

 先のAさんBさんCさんの事案で考えると、Bさんを売主として、AさんとCさんに甲住宅は二重譲渡されています。そして、Cさんは先に所有権移転登記を備えているため、Cさんが甲住宅の所有権を確定的に取得することになります。

 

 その結果、Aさんは所有者ではなく無権利者となり、所有者であるCさんから、「出ていってくれ」と言われたら、出て行かざるを得ない状況になります。

 

 この場合、AさんはBさんに対して債務不履行に基づき損害賠償請求をすることができます。しかし、このような腹黒いBさんは逃亡して、行方不明になっていたり、支払った代金を使い込んでいたりと、お金が返ってこないという事態になる可能性があります。

 

 

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3   登記をしましょう

 夢のマイホーム。家を買うのは人生で一回しかないです。大切な人生の買い物絶対に失敗をしたり、トラブルに巻き込まれたくありませんよね。幸せな生活の第一歩は登記からかもしれません。

 

 

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「第三者」って何?民法第177条の第三者の意味 登記等

 

 

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 1 法律の用語って難しい

法律を勉強していると色々と難しい言葉が出てきます。例えば、公序良俗違反、瑕疵、欠缺、詐害性などなど、挙げればきりがありません。しかし、日常的に使う言葉みたいなものもあります。

 

 その典型的な例が、「第三者」という言葉です。第三者と聞くと民法第177条を想起される方も多いと思います。ところが、ここで言う「第三者」とはどのような人なのでしょうか。法律を勉強すればするほどよく分からないですよね。

 そこで、今回は、民法第177条の「第三者」とはどのような意味なのか、軽く考えてみたいと思います。

 

 2 民法第177条の第三者

 まず、民法第177条は「不動産に関する物権の得喪及び変更は、不動産登記法(平成十六年法律第百二十三号)その他の登記に関する法律の定めるところに従いその登記をしなければ、第三者に対抗することができない。」と定めています。

 ここで重要なのは、「不動産に関する物権の得喪及び変更」とは、どのような場合を指すのかという点を押さえることです。この点、判例及び通説は、無限界説をとっています。つまり、民法第177条の想定している物権変動については、限界がない。そのため、いかなる物権変動についても、民法第177条の適用があるとことになります。

 物権変動という難しい言葉を使っていますが、要は、条文通り、物権を取得したり、喪失したり、変更したりする場合に、民法第177条が適用されますよという意味です。

 そして、判例及び通説は、これを前提として、「第三者」を制限的に解釈しています。すなわち、「第三者」とは、当事者又は一般承継人以外の者であって、登記の欠缺を主張する正当な利益を有する者と定義されます。

 例えば、売買の契約当事者であったり、売主の相続人については、登記をせずとも、自己の権利を主張することが可能であるということになります。

 所有権侵害を理由に、民法第709条に基づき損害賠償請求をする場合の侵害者や占有権限を有せず、土地を占拠していることを理由に所有権に基づく物権的返還請求としての土地明渡請求をする場合の不法占拠者については、そもそも、登記の欠缺を主張する正当な利益を有しないため、「第三者」に当たらないことになります。

 

 

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3 善意であることは必要か

 民法第177条の「第三者」につき、善意であることが必要かについては議論がありますが、不要と解する見解が多いです。

*善意と悪意

 法律上、善意と悪意という言葉はよく出てきますよね。善意は知らないこと、悪意は知っていることと覚える人が多いですが、ここで重要なのは何を知っているのか知らないのかをしっかり意識することです。民法第177条で議論する場合は、登記がないことあるいは登記が不存在であることを知っているか知らないかです。

 

 ところで、素朴な疑問なのですが、例えば、甲が乙にA土地を売って登記をしていない状態で、丙が乙が未だ登記をしていないことを喜んで、丙が甲からA土地を買って所有権移転登記をした場合に、丙が正当に所有権を所得できるって違和感がありませんか。

 

 この点について、市場の自由競争から説明する見解が多いです。加えて個人的には、登記の機能に着目して考えるのも有益ではないかと思います。つまり、登記は日本では対抗要件に位置付けられています。一つの物権の所得につき争う様態が生じた場合に、登記を先に備えた者が物権の所有者であることを主張することができます。そのため、先に備えるという明確なルールが存在することになります。他方、登記は、公信力がないことはもちろん法律上の推定機能もありません。そうだとすると、登記自体によって権利者であるどうかを判断することは本来できません。それにもかかわらず、たまたま前主が所有権を譲渡していたが、いまだ買主が登記を備えていないという事情を知っていたとしても、それは登記制度が本来予定している枠外の話と考えられます。それにもかかわらず、「第三者」につき、善意であることを要件とするならば、それは本来登記制度が想定した枠外の事情を持ち込むことになります。さらに、権利を主張する者は自己が善意であることを主張立証できなければ、権利取得ができないとすると、折角、先に登記を備えれば良いと明確なルールを置いたにもかかわらず、個別事情が判断要素となってしまいます。

 そのため、善意を要件としないことは一応合理的だと思います。

*今回は背信的悪意者については触れません。

 

 4 結局のところ

 ここまで軽く考えてみましたが、色々と難しいですね。民法第177条自体は基本的な条文ですが、考えれば考えるほどよく分からなくなります。しかし、そもそも法律の学習自体がよく分からないことを色々な視点から見みて、考え抜くことなのかもしれません。

 

 

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ちょっと魔がさして。万引きジーメンと窃盗罪の成立時期

 

 

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 日本で一番多い犯罪は何だと思いますか。

 

 最近、暴力団の抗争が激化しているから傷害罪とかでしょうか。

 

 違います。

 

 じゃぁ、殺人罪?

 

 それも違います。

 

 日本で一番多い犯罪は、窃盗罪です。

 

 窃盗罪は守備範囲が広く、万引き空き巣ひったくり等、犯罪の典型例的な事件が窃盗罪で処理されます。窃盗罪は、刑法における守護神といっても過言ではありません。

 

 特に万引きは、老若男女を問わず、気軽な気持ちでやってしまう人が多いです。

 「ついつい魔が差して」や「興味本位で」なんて言い訳も良く聞きますが、窃盗罪であることに変わりがありません。

 

 ところで、たまにテレビ番組で万引きジーメンの特集が放送されているときがあります。

「あっ。あの人やりそう」と思った主婦にふんした万引きジーメンが陳列棚の陰から、被疑者を監視する様子は、ドキドキしてしまいます。

 

 ですが、一つ気になるのですが、万引きジーメンは必ず、店を出るまでは犯人をただただ監視して、店を出た後に、

G>「お母さんちょっといいですか。」

犯人>「なんですか。急いでいるんですけど」

G>「そのお刺身とシャンプーレジ通してないですよね」

犯人>「通したから。あんたに関係ないでしょ」

G>「私お店の中からずっとみてました」

 警備員登場

警備員>「ちょっと。事務所の方まで来てもらっていいですか」

犯人>「もうしません。堪忍して下さい」

 

 的なやり取りをしていると思います。

  

 つまりですね。万引ジーメンはほぼ確実に犯人が店を出るまで、存在を気づかれないように監視するだけです。

 

 これはなぜでしょうか。

 

 そこで、今回は、万引きジーメンが店の外まで待つ理由について、窃盗罪の成否と共に検討をしてみたいと思います。

 

 窃盗罪

 まず、窃盗罪は、刑法235条に規定されています。条文をみてみましょう。

 

刑法235条は「他人の財物を窃取した者は、窃盗の罪とし、十年以下の懲役又は五十万円以下の罰金に処する」と規定しています。

 

・他人の財物

 「他人の財物」とは、一般的なイメージと同じで、原則、他人が所有している物をいいます。

 

 また、これ以外にも刑法242条に規定されている物も、「他人の財物」に当たります。

 すなわち、刑法242条は「自己の財物であっても、他人が占有し、又は公務所の命令により他人が看守するものであるときは、この章(第36章窃盗及び強盗の罪)の罪については、他人の財物とみなす」と規定しています。

 

 要するに、他人に賃貸して、他人が占有している物や差押されている財産は、自分が所有する物であっても、「他人の財物」に当たります。

 

 そのため、私が他人に貸して他人が占有している本を、その人の家に行って勝手に持って帰って来てしまうと、窃盗罪が成立することになってしまいます。

 

・窃取

 次に、「窃取」の意義について検討します。

 窃取とは、他人が占有する財物を、当該占有者の意思に反して、自己又は第三者の支配下に移す行為を言います。

 

 小難しい言い方をしていますが簡単です。

 例えば、友達がアクセサリーをカバンの中に入れていて持ち歩いていたとします。その際に、私が、友達が読書をしている最中に、友達のカバンの中にあるアクセサリーを抜き取り何食わぬ顔で、自分のカバンに入れたとします。

 

 この場合、友達がアクセサリーを占有しています。そして、当然友達は私のこのような行為を容認するはずがありません。

 

 そのため、私の行為は、他人が占有する財物を、占有者の意思に反して、自己の支配下に移す行為と言え、「窃取」に該当します。

 

・未遂罪

刑法243条は「第235条・・・・の罪の未遂は、罰する」と規定しています。

つまり、窃盗未遂罪には刑罰が科されます。

 

窃盗未遂罪とは、窃盗の実行に着手をしたが目的を達成できなかった場合です。

先ほどの例で言えば、私が友達のカバンの中に手を入れた時点で友達にばれて「あんた!何してるの?」的な感じになり、アクセサリーを抜き取って、私のカバンに移せなかった場合がこれに当たります。

 

 実行の着手という言葉を使っていますが、窃盗罪における実行の着手とは、簡単にいうと、被害者から見れば盗まれる危険性が具体的になった時点を言います。

 

 私の例では、カバンの中に手を入れた時点で友達からすれば、アクセサリーを盗まれる具体的な危険性が生じたと言え、この時点で実行の着手が認められます。

 

 万引きジーメンの場合

 では、本題に戻ります。

 冒頭の例で万引きジーメンが店を出るまで待つのは、理由があります。

 

 まず、窃盗罪が成立する。言い換えると、完成する時期は店を出た時点です。

つまり、店を出た時点で、店が占有している商品を、店の意思に反して、自己の支配下に移したと言えるため、「窃取」となり、窃盗罪が晴れて完成することとなります。

 

 ですが、先ほども述べたように、窃盗未遂罪も犯罪として刑を科すことができます。

 

 窃盗未遂罪は、犯人が万引きをしようと思い、商品を自分のカバンの中に入れた時点で成立します。

 

 つまり、店の中でカバンに入れた時点で、窃盗未遂罪は成立します。

 

 しかし、この時点で万引きジーメンは犯人を制止することがありません。

 

 それはこの時点で言い逃れされる危険性が高いからです。

 例えば、「かごに入れようとしたら間違ってバッグに入ってしまった」とか「エコバッグの代わりに自分のバッグを使用しているだけ」とかそういう具合で言い逃れされてしまえば、確実に逮捕立件することができません。

 

 そのため、店を出るまで万引きジーメンは待っています。

 

 

 

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 総括

 このような万引きジーメンの動きは、犯罪を未然に防ぐことをあえて放棄し、まるでおとり捜査のようです。

 

 しかし、小売店にとって万引きは最大の敵だと言えます。また、万引きをする人の中には常習者が多いです。

 

 そのため、確実にこのような常習者を排除する必要があります。

 ゆえに、このような万引きジーメンの手法もやむを得ないと言えます。

 

 

 

 

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落とし穴がある。建造物等以外放火罪における公共の危険の認識!

 

 

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 司法試験や公務員試験等の勉強をしていると刑法の放火罪は、重要なテーマになります。短答式・論述式試験でも放火罪は頻出なため、入念に勉強をする必要があります。

 

 ですが、放火罪は刑法総論等に比べて比較的に理解しやすい論点が多いため、暗記中心の勉強になることが多いです。

 

 建造物等以外放火罪における公共の危険の認識の要否というと、「はいはい。出ました典型論点」とか思う人が多いです。

 

 ですが、この公共の危険の認識の要否については、意外に知られていない落とし穴があります。

 

 あえて言いませんが、過去の司法試験でもこの論点について出題されたことがあります。

 

 そこで、落とし穴に落ちないために、今回は公共の危険の認識の要否について検討してみたいと思います。

 

 

 

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 そもそも、「公共の危険」とは

 まずは、建造物等以外放火罪について条文を確認します。

 

刑法110条です。

 同条1項は「放火して、前二条に規定する物以外の物を焼損し、よって公共の危険を生じさせた者は、一年以上十年以下の懲役に処する」と規定しています。

 

 そして、同条2項は「前項の物が自己の所有に係るときは、一年以下の懲役又は十万円以下の罰金に処する」と規定しています。

 

 では、「公共の危険」とは、どのような内容なのでしょうか。典型論点ですが確認します。

 

最決平成15年4月14日刑集57・4・445です。

「同法110条1項にいう『公共の危険』は、必ずしも同法108条及び109条1項に規定する建造物等に対する延焼の危険のみに限られるものではなく、不特定又は多数の人の生命、身体又は前期建造物等以外の財産に対する危険も含まれる」と判旨しました。

 

 

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 公共の危険の要否

 では、このような「公共の危険」を行為者は認識している必要があるのでしょうか。

 この点について、最判昭和60年3月28日刑集39・2・75は、以下のように不要としています。

 

「刑法110条1項の放火罪が成立するためには、火が放って同条所定の物を焼燬する認識のあることが必要であるが、焼燬の結果公共の危険を発生させることまでを認識する必要はないものと解すべきいである」と判旨しています。

 

 この理由については、色々ありますが代表的なものとしては、「よって」という結果的加重犯的な規定になっていること、そして、焼損の時期と公共の危険が発生した時期の違いです。つまり、焼損時点で既遂に達しますが、公共の危険が発生した時点が焼損の後の場合も当然にあります。つまり、犯罪が完成した後の事情を認識の対象とすることを要求するのは無理であることがあげられます。

 

 落とし穴

 ここまでは典型論点の説明ですが、ここからはあまり馴染みがない話だと思います。

 

 例えば、AがBに対して、自分が所有する車を燃やして廃棄するように依頼をしました。その場所は人里離れた1000台収容できる廃坑の駐車場で、周りには建造物もなく、通常車が駐車してあることはないような場所だとします。

 

 Bは依頼された通りにその廃坑の駐車場に行きました。ですが、その日は運悪く、他に3台3メートル間隔で駐車されていて、Bは三台目の隣にAの車に駐車をしました。そして、BはAの車を放火したところ、風の影響で三台目の車に火が燃え移ってしまい、三台目の車は、全焼してしまいました。

 

 この場合、Aの車を焼損させたことにつき、Aは建造物等以外放火罪の罪責を負うのでしょうか。

 

 これは正直即答するのが難しい問題だと思います。

 つまり、このケースでは、公共の危険は発生しています。また、判例の判旨を前提とすれば、当該公共の危険の発生の認識は不要なため、AもBと共に建造物等以外放火罪の共謀共同正犯(60条)の罪責を負うとするのが、原則です。

 

 ところが、公共の危険の発生の認識がない場合でも、責任主義の観点から、当該認識をすることがおよそ不可能な事情があれば、犯罪の成立が否定されるべきだとする考え方も主張されています。

 

 個人的にはこれは期待可能性の一種だと思います。そのため、この見解を採用するか否かについてまずは持論を展開し、その上で、この見解を取るならば、如何なる場合に責任阻却がされるのか検討をする必要があります。

 

 先ほどの例の場合には、そもそも、Aはわざわざ公共の危険が発生しない場所を選んでいます。そして、その場所は、通常、自動車が停車していない場所だったと言えます。

 

 他方、他の自動車が侵入できないような防護柵等があったのか否か、そもそも、その駐車場はAが所有する不動産ではなかったこと。言い換えるなら、Aが指示をしてBがなした自動車での侵入は単なる他人の土地に不法に入る行為であること(建造物侵入罪が成立するかどうかは不明ですが)。

 

 以上の事情を考慮して、公共の危険の認識が不可能であったと言えるのか否かを検討することになります。

 

 当然結論はどちらでも良いですが

 

 総括

 以上のように検討してきましたが、公共の危険の認識可能性の有無については、知らなかった人も多いと思います。

 

 「そんなのわからない。考えたくない!別にどうでもいい」

 

 という人も当然いると思いますが、考えてみること、数行でもいいので書いてみること、それがとても重要なことだと思います。

 

 

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それ死刑になるかも。現住建造物等放火罪

 

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 最近近隣トラブルが増えているらしいです。

 

 近隣トラブルで代表的なものは、騒音被害や異臭被害だそうです。

 

 正直、近隣トラブルが一番困りますよね。賃貸マンション等の場合は、引っ越したり大家さんに頼んでその迷惑な近隣に退去して貰うように頼んだりして、問題を解決することができるかもしれません。

 

 しかし、マイホームで一戸建てを購入したり、分譲マンションを購入したりした場合は、簡単に引っ越すことはできませんよね。

また、近隣住民もマイホームや分譲マンションを購入している場合には、退去を強制したりすることもできません。

 

 その結果、何年にも渡って、ストレスのかかる環境で生活をしなくてはいけないことになります。

 

 そして、怒りが頂点に達して近隣住民に対してやり返すことを考える人もいます。

 

 例えば、近隣住民の家が焼けてしまえば、その人たちが居なくなり平穏な生活を獲得できるのではないかと考えて、近隣住民の家に放火をしてしまう人もいるかもしれません。

 

 気持ちはわかります。

 

 ですが、絶対にやめた方が良いです。

 

 そこで、今回は、近隣住民の家に火をつけた場合に成立すると考えられる現住建造物放火罪について検討したいと思います。

 

 

 

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 そもそも、現住建造物等放火罪とは?

 現住建造物等放火罪は刑法108条に規定されています。まずは、条文を確認してみましょう。

 

 刑法108条は「放火して、現に人が住居に使用し又は現に人がいる建造物・・・を焼損した者は、死刑又は無期もしくは五年以下の懲役に処する。」と規定しています。

 

 具体的に検討していきます。

 

 放火

 まず、「放火して」とは、その文言の通り、火をつけることです。

 基本的には、媒体物に火をつけた時点で放火行為と認めることができます。

例えば、新聞紙に火をつけて、近隣の家のごみ置き場のところに放り込んだら、当然家が燃える可能性がありますよね。

 

 そのため、新聞紙に火を付けた時点で、「放火して」に該当することとなります。

 

 

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 対象物件

 まず、現住建造物等放火罪の対象は、「現に人が住居に使用し又は現に人がいる建造物」を言います。

 

 住居とは、難しく言うと、人が出入りをすることができ起臥寝食の場所として使用されている建物を言います。

 具体的にいうと、普段住んでいる家です。それ以上でもそれ以下でもなく、寝て起きて食べて生活する建物です。

 

 「現に人がいる建造物」とは、住居として使用されていない倉庫や店で、放火をした時に、人が実際にいる場合の建造物を言います。

 

 そもそも、現住建造物等放火罪は、放火罪の中で最も重い刑を定めています。これは、住居や人が現在いる建物が放火された場合に、家という経済的な財産のみならず、多数の人の身体及び生命が危険に晒されることになるからです。

 

 そのため、住居と現在人がいる建造物に対象が限定されています。

 

 ここで注意が必要なのは、住居等は、どの範囲まで住居と言えるかという点です。

例えば、木造建築の家屋で、門と渡り廊下がつながっているような構造をしている場合に、門に放火した場合は、住居に放火したと言えるのでしょうか。

 

 この問題は難しいです。

 一般的には、延焼可能性、物理的機能的一体性等を基準に判断することになります。

 

 このケースでは、木材を使っているため延焼可能性が高いと言えます。さらに、門と家屋が渡り廊下で繋がっているのであれば、物理的機能的一体性も認められることが多いです。

 

 その結果、このケースでは、門に放火した時点で、住居に放火したと言えます。

 

 

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 「焼損」

 最後に、焼損の意義について検討します。

 

学説上対立がありますが、独立燃焼説というものが判例通説になっています。

 つまり、火が媒体物を離れて独立燃焼作用を継続することができる状態に至っていれば、「焼損」に該当することになります。

 

 具体的にいうと、近隣住民の家屋の壁の前にガソリンをまき、火の付いた新聞紙を置いたとします。この場合、新聞紙からガソリンに引火して火が大きくなります。そして、その火が近隣住民の家屋の壁に燃え移り、自然鎮火する可能性がなくなった時点で、火が媒体物を離れて独立燃焼作用を継続することができる状態になったと言えます。

 

 よって、この時点で「燃焼」と認めることができます。

 

 総括

 以上が、現住建造物等放火罪の概要です。細々検討してきましたが、近隣住民に頭にきて、家を燃やしてやろうと思い立ち、家屋に火を付け半焼でもすれば、確実に現住建造物等放火罪が成立することになります。

 

 確かに、近隣トラブルの原因を作っているその住民が家を失えば、その人は引っ越すかもしれません。

 

 しかし、現住建造物放火罪を犯せば、「死刑又は無期もしくは五年以下の懲役に処する。

」とあるので、あの世へ引っ越すか、長期間刑務所に引っ越すことになってしまいます。

 

 誰も得しない!

 

 それが答えです。なので、近隣住民にどんなに頭にきても、絶対に近隣住民の家に放火をするのはやめましょう。

 

 

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警察相手のいたずら動画!公務執行妨害罪と偽計業務妨害罪の成否

 

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 最近、ニュースにもなりましたが、砂糖を小袋に入れて警察の前でわざと落とし、それを拾い上げ、逃走し警察と鬼ごっこをする動画が話題になりました。

 

 個人的にいたずら動画は好きです。

 

 ですが、このような警察と鬼ごっこ動画は、いたずらの域を超えています。

 

 人それぞれいたずらの線引きは違いますが、共通認識として犯罪に該当するいたずらはしてはいけないと皆が考えていると思います。

 

 しかし、そもそも、犯罪に該当するとはどういうことでしょうか。

 

 そこで、今回は、警察に対して覚せい剤と誤信させる物をわざと落として拾い逃走した場合に、公務執行妨害罪と偽計業務妨害罪のいずれが成立するのか検討してみたいと思います。

 

 公務執行妨害罪

 まず、公務執行妨害罪は、刑法95条1項に規定されています。まずは条文をみましょう。

刑法95条1項は「公務員が職務を執行するに当たり、これに対して暴行又は脅迫を加えた者は、三年以下の懲役若しくは禁固又は五十万円以下の罰金に処する」と規定しています。

 

 公務員とは「国又は地方公共団体の職員その他法令により公務に従事する議員、委員その他の職員をいう」と刑法7条1項で定められています。

 

 要するに、市役所の職員から警察官、消防士まで私たちが思う公務員が全て対象になります。

 

 また、注意が必要なのは「職務を執行するに当たり」と規定していることです。

 例えば、警察官が休みの日にスーパーで買い物をしていたとします。この時に、警察官が昔逮捕をした犯罪者で刑務所を出所後、恨みを持っていて、警察官をナイフで刺したとします。

 

 この場合、警察官は、休みであり、私用で買い物をしていて刺されているので、「職務を執行するに当たり」に該当せず、公務執行妨害罪は、成立しません。

(もっとも、警察官が死亡すれば、殺人罪や傷害致死罪が成立しますが)

 

 そして、冒頭の問題を考える上で、一番大切なのが、公務執行妨害罪が成立するためには「暴行又は脅迫」を行うことが必要だということです。

 

 例えば、取調べ中に被疑者が警察の顔面を殴る行為や、捜索差押中に被疑者が「さっさと出て行かないとぶん殴るぞ」などと警察官に言う行為が「暴行又は脅迫」です。

 

 では、冒頭のケースのような場合は、どうでしょうか。

 

 この場合、覚せい剤のように偽装した砂糖を警察の前で単に落とし、警察に覚せい剤であると誤信させているにすぎません。

 つまり、偽計を用いていることになります。そのため、「暴行又は脅迫」に当たらず、公務執行妨害罪は成立しないことになります。

 

 

 

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 偽計業務妨害罪

 では、偽計を用いている以上、偽計業務妨害罪が成立することが明らかだと言えるのでしょうか。

 

 事はそう単純ではありません。

 

 偽計業務妨害罪は刑法233条に規定されています。

同条は「偽計を用いて、・・・その業務を妨害した者は、三年以下の懲役又は五十万円以下の罰金に処する」と規定しています。

 

ですが、ここでの「業務」の内容については、警察などの活動が含まれるか否かが争われています。

 

この点について判例は「強制力を行使する権力的公務」であるか否かを持って判断していると言えます(威力業務妨害罪の事例ですが、最判昭和62年3月12日刑集41・2・140参照)。

 

少し詳しく説明すると、そもそも、公務執行妨害罪は「暴行又は脅迫」と手段を限定していますが、偽計業務妨害罪については、「偽計」という手段も処罰対象としています。

 

警察の捜索差押等の強制処分を行う際には、偽計によって公務の執行が害されることはなく、この場合、被疑者が警察官に何を言おうとも、警察は対象物を押収することができます。

 

 つまり、強制力を行使する権力的公務は「業務」に含まれません。

 

 そのため、このような「強制力を行使する権力的公務」に対して偽計を用いても、偽計業務妨害罪は成立しないことになります。

 

 では、冒頭のケースではどうでしょうか。

 この場合、かなり難しいです。というのも動画では、偽計であるいたずらがどのような警察官とのやり取りの中で行われたか不明だからです。

 

 ちなみにここはかなり間違えやすいのですが、警察の活動の中には、強制力を行使する場合とそうではない場合があるので、警察活動に対して偽計を用いた場合に、偽計業務妨害罪の成否は直ちに決まりません。そのため、具体的にいかなる警察活動が行われていたのか詳細に検討をする必要があります。

 

 その上で、強制力を行使する権力公務としては、職務質問も含まれると考えられます。そのため、職務質問中に冒頭のいたずらがなされたら、偽計業務妨害罪は成立しません。

 

 しかし、道を聞いていた際や落し物が届けられていないか等の質問は、強制力を行使する権力的公務とは言えません。

 

 そのため、このような最中に上記いたずらをすれば、偽計業務妨害罪が成立することになります。

 

 総括

いずれにしても、このようないたずらは犯罪に抵触する可能性があります。言い換えると黒かグレーの危ないいたずらです。

 

 私は、いたずら動画自体は好きです。ですが、このような黒かグレーの動画はあまり見ていて面白くないし楽しくないです。

 

 このような意見は、あくまでも私の個人的な意見に過ぎませんが、いたずら動画を作る人は本来発想力が豊かなので、もっと面白い動画を作って頂けると嬉しいです。

 

 

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体罰絶対禁止!それ違うかも。学校教育法11条の本当の意味

 

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 昨今、学校教育における体罰の問題が注目を集めています。

 

 自分も昔、体育会系の部活に入っていました。数十年前なので、時代が時代と言ってしまえばそれまでですが、顧問が部員に手を挙げる姿を見たことがあります。

 

 しかし、顧問はその暴力行為に対して責任を追及されることはありませんでした。

 

 個人的に顧問が指導の一環として生徒に手を挙げることは、極力避けるべきだと思います。

 

 例えば、練習中にミスをした生徒への暴行は、はっきり言って無意味です。

 

その生徒のプレーをただただ萎縮させてしまいます。

 

 全く生産性のない単なる暴力です。

 

 ですが、悪い事をした生徒への指導の最中に手を挙げざるを得ない事態があることも綺麗事ではなく存在します。

 

 例えば、ある生徒が他の生徒をカツアゲなどをしているシーンを目撃し、注意をしたにもかかわらず、その生徒がカツアゲを継続したような場合です。この場合、被害者の生徒を守るために、やむを得ずに手を挙げることは、許されるのではないでしょうか。

 

 昨今、体罰は全ての暴行。言い換えると、教師の有形力の行使を全面的に禁止しているという風潮があります。

 

 そこで、今回は、体罰を禁止する学校教育法11条の意味について本当にそうなのか検討したいと思います。

 

 学校教育法11条

 まず、学校教育法11条は以下のように規定しています。

 

「校長及び教員は、教育上必要があると認めるときは、文部科学大臣の定めるところにより、児童、生徒及び学生に懲戒を加えることができる。ただし、体罰を加えることはできない。」

 

 この条文を解釈すると、学校の校長と教員は、文部科学大臣が事前に定めている指導指針に則って、生徒に対して懲戒を加えることができます。すなわち、生徒が悪いことをしたら先生はその生徒に指導として罰を加えることができます。

 

 典型的な例は、廊下に立たせる場合や、部活に遅刻をした生徒を試合に出さない等の措置です。

 

 その上で、懲戒をする際には、体罰という方法を取ることができない。

 

 これが学校教育法11条の意味です。

 

 文部科学省のガイドライン

 では、学校教育法11条で禁止している「体罰」とは何でしょうか。

 この点について文部科学省のガイドラインでは、以下のように示しています。

 

懲戒と体罰の区別について>

「(1)教員等が児童生徒に対して行った懲戒行為が体罰に当たるかどうかは、当該児童生徒の年齢健康心身の発達状況当該行為が行われた場所的及び時間的環境懲戒の態様等の諸条件を総合的に考え個々の事案ごとに判断する必要がある

 

 この際、単に、懲戒行為をした教員などや、懲戒行為を受けた児童生徒・保護者の主観により判断するのではなく諸条件を客観的に考慮して判断すべきである。」

 

 と定めています。

 

 これがかなり重要です。

 

 つまり、教員が生徒を殴ったことをもって直ちに体罰に当たるとはしていません。

 

 あくまでも被害者加害者の主観にかかわりなく、当時の状況等を総合考慮して、教員の行った暴行が体罰に当たるかどうかを判断することになります。

 

 分析

 では、具体的に許容される懲戒と体罰の境目はどこにあるのでしょうか。この点について、文部科学省ガイドラインは以下の例を挙げています。

 

(1)体罰(通常、体罰と判断されると考えられる行為)

 身体に対する侵害を内容とするもの

 ・体育の授業中、危険な行為をした児童の背中を足で踏みつける。

 

 ・帰りの会で足をぶらぶらさせて座り、前の席の児童に足を当てた児童を、突き飛ばして転倒させる。

 

・授業態度について指導したが反抗的な言動をした複数の生徒の頬を平手打ちする。

 

 被罰者に肉体的苦痛を与えるようなもの

 ・放課後に児童を教室に残留させ、児童がトイレに行きたいと訴えたが、一切、室外に出ることを許さない。

 

 ・別室指導のため、給食の時間を含めて生徒を長く別室にとどめ置き、一切室外に出ることを許さない。」

 

 という例を挙げています。

 

 これは文部科学省のガイドラインにある総合考慮の結果、体罰に当たるとされる例として挙げたものです。

 

 このような例からわかることがあります。

 

 まず、身体に対する侵害を内容とするものについては、口頭等での注意により指導をすることができたという事案です。

 

つまり、指導の必要性が認められるものの、暴力等の有形力により指導すべきで必要性がないというケースだとわかります。

 

 他方、被罰者に肉体的苦痛を与えるようなケースの場合には、指導の必要性がないか、あるいは、殊更に嫌がらせをする悪意が感じられる事案だと言えます。

 

 結局どういうこと?

 多くの体罰で問題となるのは、暴力を振るった場合です。このケースでは、基本的に体罰であると認められることになります。

 

 ですが!

 

 体罰該当性はあくまでも総合考慮により判断されます。そのため、暴力を振るっても指導をすべき必要性がある場合には、暴力を振るっても体罰に当たらないと言えます

 

 例えば、卒業式の式典中に複数の生徒が大声で奇声を発し、式典の進行が著しく困難になったとします。この際に、先生が駆け付けていきなり、生徒の顔面を殴ったら、当然体罰に当たります。

 

 しかし、先生が再三にわたり、口頭で奇声を止めるように指導したにも関わらず、生徒が大声で奇声を継続したとします。

 

 この時に、先生が生徒を退場させることは必要な指導として、体罰に当たりません。また、その際に生徒の身体を拘束し、強制的に会場から連れ出す行為も体罰には当たらないでしょう。

 

 さらに、身体拘束をしようとした生徒が暴れだし、いすなどを蹴って応戦してきた場合には、先生が生徒の顔面を殴ったとしても体罰には当たらないと思います。

 

 他にも、文部科学省のガイドラインで、先生自身あるいは他の生徒に危害が及ぶようなケースでは、先生が暴れている生徒を殴ったとしても体罰にならないことがあることを明示しています。

 

 以上から、体罰が許される状況とは、先生が暴行等を行って指導をすることがやむえない状況であることが必要だと言えます。

 

 私は、暴力を振るった教員を擁護するつもりはありません。ですが、暴力を振るわざるを得ないという場合も教育現場には当然あると思います。

 

 昨今のニュースでは、暴力を振るった一事をもって、体罰であると即断をする傾向があります。「体罰は学校教育法11条で禁止されていますからね」と教員が生徒を殴ったワンシーンを見て、声高々に主張するコメンテーターもいます。

 

 しかし、本当に前後の様子も見ないで体罰に当たると断言できるのでしょうか。

 

 そのような短絡的な一辺倒の報道を行うこと自体が、モンスタースチューデントとモンスターペアレントを増殖させるのではないでしょうか?

 

 

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