5分で読める法律の豆知識

テレビや新聞などで政治から芸能スキャンダルまで幅広いニュースを見ます。しかし、法律のことについて詳しく書かれたものはあまりみません。なので自分で勉強してみました。個人的に面白いと思ったものだけ書くのであまり網羅性はありません。なので暇つぶし程度に読んでいただければ幸いです。

しっかり押さえたい!窃盗罪の窃取と占有概念

 刑法を勉強していると最初に思いつく犯罪ってなんでしょうか?

 

 殺人罪と答える人も多いと思いますが、窃盗罪と答える人も多いですよね。

 

 実際に一番多い犯罪は、窃盗罪です。

 というのも、窃盗罪って成立する範囲が広いんですよね。

 

 例えば、スリ、空き巣、万引き、これらは全て窃盗罪です。

 

 そこで、今回は、窃盗罪の「窃取」、特に他者の占有とは何かについて少し考えてみたいと思います。

 

 

1 窃盗罪の概要

 まず、窃盗罪は刑法235条に規定されている犯罪です。

 窃盗罪の構成要件は、故意、不法領得の意思、財物、窃取です。

 

 そして、窃取とは、他者が占有する財物を他者の意思に反して、自己の占有に移すことだとされています。

 

 つまり、占有をしている他者が占有移転を承諾している場合には、単なる譲渡等となるため、窃取に該当しません。

 

 また、他者の占有とはあくまでも事実上の占有のため、間接占有や法律上の占有等の概念は含みません。

 

 冒頭で挙げたスリの例だと、人込みで、他者のポケットの中に入っている財布を同人の意思に反して抜き取って、自分のポケットの中に移すというような場合に「窃取」に該当します。

 

 では、例えば、空き巣が自宅に入り、自分が存在自体を忘れていたヘソクリを盗み出した場合はどうでしょうか、また、電車の中にバッグを置き忘れて、下車後、振り返ると扉が閉まり、そのまま電車が発進してしまい次の駅に到着するまでの間に、バッグを取られてしまたった場合はどうでしょうか?

 

 すなわち、他者の占有の有無はどのように判断するべきかが問題となります。

 

2 占有の判断方法

 この点、他者の占有、すなわち、事実的支配があるか否かについては、客観的な支配の事実と、支配の意思によって判断すると言われています。

 しかし、この基準、分かるようでいまいちよく分からない基準ですよね。

 

 この2つの要素は、実際のところ等しい価値をもったものではないと思われます。

 第1次的には客観的な支配の有無程度が重要なのであり、第2次的に支配の意思が重要となります。

 

 先ほどの存在を忘れていたヘソクリを空き巣に取られた場合、結論としては、窃盗罪が成立します。

 

 というのも、自宅の中にヘソクリがある以上、客観的支配は明らかにあり、たとえ、忘れていたことで、支配の意思がない、あるいは著しく減退していても、強固な支配領域内に存在する以上、他者の占有は認められることとなります。

 

 他方、電車の中にバッグを置き忘れて電車が発車してしまい第三者に窃取された場合には、おき忘れた時点場所と第三者が窃取した時点場所との接着性がどの程度あるかによって、客観的な支配の程度がまず変わります。

 

 また、おき忘れたことを全く気付かない場合には、支配の意思自体が否定される可能性があります。

 例えば、電車を降りた瞬間におき忘れに気が付いて、後ろを振り返った時にドアが閉まってしまい、かつ第三者がその時に、そのバッグを奪ったというような場合には、バッグに対する客観的支配及び支配の意思があるため、他者の占有を認め「窃取」に当たると判断してもよいと思います。

 

 他方、電車を降りて、改札を出ようとした時に、電車内にバッグを置き忘れたことに気が付き、かつ、電車は次の駅の間近まで迫っていた時に第三者がバッグを奪取した場合には、時間的場所的に隔離があり、客観的な支配が否定されるため、支配の意思が戻ったとしても、他者の占有は否定されることになると考えられます。

 その他にも、結局、電車の扉が閉まった時点で、客観的な支配が無いと考えるのも十分に合理性があると思います。

 

3 最後に

 以上のように検討をしてきましたが、基本的には他者の占有引いては「窃取」に該当するか否かは、ケースバイケースと言わざるを得ません。

 

 しかし、基本的な考え方としては、先に挙げたとおり、客観的支配に重点をおいて検討をすることが大切です。