5分で読める法律の豆知識

テレビや新聞などで政治から芸能スキャンダルまで幅広いニュースを見ます。しかし、法律のことについて詳しく書かれたものはあまりみません。なので自分で勉強してみました。個人的に面白いと思ったものだけ書くのであまり網羅性はありません。なので暇つぶし程度に読んでいただければ幸いです。

「被疑者確保!!」刑事訴訟法の捜査とは?

 

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1 テレビなどを見ていて

 テレビドラマやドキュメンタリー番組で、警察官が「被疑者確保!!」とか、「ガサ入れだ!!」とか言いながら、被疑者の住居などに押し入って、色々と探したりやばい物が出てきたら押さえたりと、そういう場面ってよく見ますよね。

 でもその前に、そもそもこれって何をしているのでしょうか。

 今回は、警察官等が行う捜査について概観していきたいと思います。

 

2 捜査とは何か

 そもそも、捜査とは、捜査機関が公訴提起ないしは公訴維持のために、被疑者の身柄を確保したり、資料を収集する活動を言います。

 

 すごく当たり前のことのように思いますが、公訴提起ないしは公訴維持に向けられ活動のため、職務質問(警職法第2条1項)などの行政警察活動とは区別されます。

 

 ざっくり、捜査のイメージですが、ある犯罪が発生していることが分かった上で、それがどのような犯罪であり、その犯人が誰なのかを追跡していくことです。他方、職務質問の場合は、そもそも犯罪が発生しているのか否か不明な場合等に、道を歩いている人の中ですでに犯罪をしたかこれからする可能性がありそうな怪しい人などに声を掛けて、質問をするものです。そのため、捜査と職務質問では内容が異なる処分ということになります。

 

 そして、刑事訴訟法第197条1項は「捜査については、その目的を達するため必要な取調べをすることができる。但し、強制の処分は、この法律に特別の定めのある場合でなければ、これをすることができない。」と規定しています。同条項本文は、任意捜査の原則を規定し、ただし書きは、強制処分法定主義を規定しています。

 

 このような難しい単語がでてきましたが、内容はそれほど難しい話ではありません。というのも、捜査といっても、色々な種類があります。最近では、新しい手法でGPSにより位置情報を取得する方法が問題になっていますが、そのような新しい手法が日々捜査機関の努力により生まれています。

 

 また、被疑者の所在を掴むために、聞き込み調査をしたりするのも捜査活動ですよね。このように捜査活動には色々な手法がありますが、これを全部法律で規定して、できるかどうか逐一判断することは困難です。そうだとすると、原則的には、捜査活動は必要がある場合には、捜査機関の判断で行うようにできるようにしよう。これが任意捜査の原則の根本的な発想です。

 

 そうだとしても、人権に対する制限が強い活動もあります。このような活動を捜査機関の判断で行うことができるとすると、人権侵害を助長しかねません。

 そこで、類型的に見て、人権制約の強い活動ができる場合を、事前に法律に定めることとしました。これが強制処分法定主義です。

 

* 令状主義の強制処分法定主義の関係

 なお、令状主義(憲法第35条)と強制処分法定主義を同一のものと考える人もいますが、そもそも、強制処分法定主義は立法の問題であり、令状主義は司法審査の問題なので、機関が異なります。

 強制処分該当性の問題では、強制処分に該当するとした場合に、そもそも、法律上規定されている強制処分なのか(強制処分法定主義違反の審査)をし、強制処分に該当する場合に、令状が発付されているのか(令状主義違反の審査)をすることとなります。

 

 

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 3 捜査の具体的な種類

 では、捜査の根本的な理念はさておき、法律上、「強制の処分」とは、どのような捜査活動が規定されているのでしょうか。

 

 まず、逮捕(刑事訴訟法第209条以下)が規定されています。逮捕とは、強制的に被疑者の身体を拘束し身体の自由を奪う強制処分です。逮捕には、通常逮捕(第209条)、緊急逮捕(第210条)、現行犯逮捕(第212条)の三種類があります。

 

 次に、捜索(刑事訴訟法第102条第222条)が規定されています。捜査とは、人の管理する住居建物等の場所に対して、強制的に立ち入り、証拠物の発見を目的として探索活動を行う強制処分です。いわゆるガサ入れです。捜索の場合には、被処分者の住居に対して行う場合には、住居の平穏などを制約することとなります。

 

 また、差押え(刑事訴訟法第99条第222条)が規定されています。差押えは、人の所有する物を強制的に奪う強制処分です。例えば、覚せい剤自己使用の被疑事実で、住居内を捜索中に、注射器や覚せい剤が発見された場合にこれを強制的に捜査機関が取り上げるのが差押さえのイメージです。

 

 そして、検証(刑事訴訟法第129条第222条)も規定されています。検証は、捜査官が五感の作用により者や人の形状などを把握する処分です。強制的に行う場合には、検証といい、任意に行う場合を実況見分と言います。

 

 最後に、領置(刑事訴訟法第221条)というものもあります。領置は、任意に提出された証拠物等を押収して、これを保管する処分です。提出段階は任意であっても、返還せずに保管継続ができる点で、強制処分としての性質を有します。

 

 以上のような強制処分が法律上規定されています。ところで、逮捕は身体の自由、捜索は住居の平穏、差押えと領置は財産権、検証はプライバシー権を侵害します。

 

 これを踏まえる、最決昭和51年3月16日(刑集30巻2号187頁)で「ここにいう強制手段とは、有形力の行使を伴う手段を意味するものではなく、個人の意思を制圧し、身体、住居、財産等に制約を加えて強制的に捜査目的を実現する行為など、特別の根拠規定がなければ許容することが相当でない手段を意味するもの」と判示しているのは、現行法の強制処分の法益侵害の類型を想定しているものと考えられます。そのため、現行法に規定されている強制処分の内容や程度を基準とし、これとの類似差異を意識しながら強制処分該当性を判断するのも有益なアプローチだと考えられます。

 

 4 捜査って難しいですね

 以上、ざっくり捜査についてみてきましたが、捜査といっても、色々な種類や程度があり非常に難しいですね。しかし、捜査機関から何等かの捜査協力などの依頼がされた場合でも、それに従わなくても良い場合もあり、かつ、あまりにも捜査活動が行きすぎであれば、それについてしっかりと抗議をすることが大切です。

 

 

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