5分で読める法律の豆知識

テレビや新聞などで政治から芸能スキャンダルまで幅広いニュースを見ます。しかし、法律のことについて詳しく書かれたものはあまりみません。なので自分で勉強してみました。個人的に面白いと思ったものだけ書くのであまり網羅性はありません。なので暇つぶし程度に読んでいただければ幸いです。

不倫相手が家に来た!住居侵入罪では?

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 最近不倫がブームになっている現代日本ですが、不倫相手がお家に来たらどう思いますか?

 例えば、私が結婚をしていたとします。私が会社に行っている時に妻の不倫相手が我が家で逢引していました。妻の昼顔はあまり見たくありませんし、すごくむかつきますよね。

 特に人が一生懸命働いている時に、自分がいつも座るリビングのソファーや寝室のベッドで妻と不倫相手がいちゃいちゃしていることを考えると。。。。。。。

 

 突然ですが、この場合住居侵入罪は成立するでしょうか?

 

 たぶん賛否両論あると思います。「いやいやアウト。アウト。完全に犯罪だろ」と当事者だったら言うと思います。

 

 ですが犯罪とまで言えるのでしょうか。そこで、今回は住居侵入罪について検討したいと思います。

 

 住居侵入罪

 そもそも、住居侵入罪は、刑法130条前段に規定されています。条文を見ますと、「正当な理由がないのに、人の住居若しくは人の看守する邸宅、建造物若しくは艦船に侵入」することを住居侵入罪等として規定しています。

 

 少し難しいですが、入った場所によって罪名が異なります。例えば、住居に侵入すれば、住居侵入罪、建造物に侵入すれば、建造物侵入罪という感じになります。

 

 正当な理由

 では、具体的に見ていきましょう。

まず、「正当な理由がないのに」と規定されていますが、この部分は通常問題が起きません。つまり、ここでの正当な理由とは、法的に家屋に強制的に入ることができる権限を有している場合等を言います。

 

 例えば、ドラマとかで強面で筋肉ムキムキの刑事が「がさいれじゃ」と叫んで、複数人で乗り込んでいくシーンありますよね。このような場合、捜索差押許可状という令状が出ています。そのため、住んでいる人が「ダメよダメダメ」と言っても、刑事が「やかましいわ」と言って入って行っても良いことになります。

 

 逆にいうとこのような場合以外には、「正当な理由」というのは基本問題となりません。

 

 客体

 次に、客体についてですが、条文上「住居」「人の看守する邸宅」「建造物」「艦船」を規定います。難しい定義とか言いません。

「住居」=自宅とか

「人の看守する邸宅」=マンションの共用部分とか別荘とか

「建造物」=「住居」

「人の看守する邸宅」以外の建物で、会社とかデパートとか

「艦船」=軍艦とか船舶とか

 

です。

 ここでよく間違えるのですが、「住居」と条文上書いてある以上、人の家の庭に勝手に入るのはセーフだと思いませんか。

 

 当然アウトです。

 

 このでの「住居」とは、いわゆる囲繞地も含みます。囲繞地って、民法だと袋地を意味しますが、刑法だと、建物の周りを囲んでいる土地を指します。

 

 そのため、庭は住居を囲っている土地に含まれるので、囲繞地に当たり、「住居」となります。ゆえに、人の家の庭に勝手に入れば、住居侵入罪ということになります。

 

 侵入

 では、最後に「侵入」について検討しましょう。

この「侵入」の意義については、争いがあります。住居権説、平穏説という争いです。

 

 住居権説は、住居侵入罪は、住居権を保護法益とする犯罪だと考えます。そのため、「侵入」とは、住居権者の意思に反する立入ということになります。

 

 そして、住居権説の中にも新旧があります。旧住居権説は、家父長制を前提としており、家父長のみに住居権があると考えています。そのため、旧住居権説からすると、「侵入」とは、家父長の意思に反する立入ということになります。

 

 一方、新住居権説では、家族全員に管理県があるということになります。そのため、「侵入」とは、家族の意思に反する立入ということになります。

 

 他方、平穏説は、住居侵入罪は、生活の平穏を保護法益とする犯罪だと考えています。そのため、「侵入」とは、生活の平穏を害するような立入ということになります。

 

 と言ってもかなり分かりにくいので、冒頭の不倫事例に沿って検討します。

 

 例えば、私が結婚をしていて、会社に出勤している時に、妻が男性を連れ込んで、家で楽しく過ごしていたとします。この場合、男性は、住居侵入罪、つまり、私の家に「侵入」したことになるのでしょうか。

 

 旧住居権説の場合、家父長は私であり、私の断りなしに男性が家に入ることはできません。そのため、この立場からは、男性は家父長である私の意思に反して家の立ち入っているため、「侵入」に当たる可能性が高いです。

 

 ですが、家父長制は戦前のものであり、現代では廃止されています。そのため、このような立場をとる人はほとんどいません。

 

 他方、新住居権説というものがあります。この説では、住居の場合家族の構成員がそれぞれ管理権を有しているため、誰かが立入りを同意していれば、家に入ることは適法な行為となります。

 

 つまり、家族である妻が男性の立入を許している以上、住居権者の意思に反した立入ではなく、「侵入」には当たらないということになります。

 

 他方、平穏説から行くと、かなり微妙だと思います。平穏説は、住居侵入罪は生活の平穏を害するような立入をすることが、「侵入」だとしています。

そうだとすると、妻の不倫相手が家に入ることは私の立場からすると、生活の平穏を害されていると言えるようにも思えます。

 

 しかし、ここでの生活の平穏とは妻を始めとする家族全体で醸成されるものであり、いかに私が不愉快な気持ちになったとしても、それは私個人の感情が害されているだけで、生活の平穏が害されたとまでは言えないと思います。

 

 その結果、不倫相手の立入は、生活の平穏を害する立入とまでは言えず、「侵入」に当たらず、住居侵入罪は成立しないことになります。

(もっとも、民事的にみれば妻の不倫相手に対して損害賠償請求をすることは当然可能です。)

 

 総括

 以上検討した結果、現行法では不倫相手が家に入ってきた場合でも、住居侵入罪として処罰することはできないと言わざるをえません。ですが、当然、民事上の損害賠償請求を不倫

相手に行うことはできます。

 

 また、妻と不倫相手が不仲な時に、妻が「いやだ」と言っているにもかかわらず、不倫相手が立ち入りことは、妻の意思に反する立入になるため、「侵入」にあたります。そのため、この場合には、住居侵入罪が成立します。

 

 ゆえに、ケースバイケースということになります。

 

 人生いろいろありますが、そもそも自分も配偶者も不倫をしないような家族生活を構築できるように頑張りましょう。