5分で読める法律の豆知識

テレビや新聞などで政治から芸能スキャンダルまで幅広いニュースを見ます。しかし、法律のことについて詳しく書かれたものはあまりみません。なので自分で勉強してみました。個人的に面白いと思ったものだけ書くのであまり網羅性はありません。なので暇つぶし程度に読んでいただければ幸いです。

許せないひったくり!でも。。。そもそも何罪?

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 ひったくり事件のニュースを見かけることがあるのですが、そもそもひったくりって何罪になるのでしょうか?実は、ひったくりには二つの犯罪があります。

 

 そもそもひったくりとは

 ひったくりとは、他者が保持している財物をかすめとる社会事象を言います。例えば、おばちゃんが道路を歩いているときに、後ろからバイクで接近してハンドバッグをかすめ取る場合などが、いわゆるひったくりと言われているものです。

 

 犯罪の種類

 ひったくりは大きく分けると、窃盗罪に該当する場合と強盗罪に該当する場合の二つがあります。

 

 まず条文を見てみます。窃盗罪については、刑法235条に規定されています。同条は「他人の財物を窃取した者は、窃盗の罪とし、十年以下の懲役又は50万円以下の罰金に処する」と規定しています。

 

 他方、強盗罪は、刑法236条に規定しています。同条1項では、「暴行又は脅迫を用いて他人の財物を強取した者は、強盗の罪とし、5年以上の有期懲役に処する」と規定しています。

 

 二つ並べてみても何をいっているのかよく分らないですよね。簡単に説明します。窃盗罪と強盗罪は、他人が占有している財物を奪って自分の物にする。つまり、物取りの犯罪であることは共通しています。その上で、窃盗罪については、物をとる方法は、基本的には何でもいいです。空き巣も窃盗罪ですし、万引きも窃盗罪になるように色々な物取りが窃盗罪になることをイメージすればわかると思います。

 

(なお、ウソを付いて財物を取る方法は詐欺罪に当たるので、ウソを付く方法は窃盗罪の行為からは除かれています。)

 

 では、強盗罪はどのような犯罪でしょうか。強盗罪の場合手段が条文にも書かれていますが、「暴行又は脅迫」と限定されています。つまり、強盗罪の場合「暴行又は脅迫」という手段を使って財物を奪取しないと成立しないことになります。

 

 その上で、さらに注意が必要なのは、強盗罪は罪がかなり重いです。有期懲役の上限は原則20年とされています。なので、上記強盗罪の「5年以上の有期懲役」とは、5年から20年の間でとい意味になり、判決で決められた年数刑務所に入ることになります。具体的には5年間や10年間刑務所に入ることになります。(ちなみに執行猶予は3年以下の懲役の判決をするときにしか付けられないので、強盗罪の場合、原則、執行猶予がつけられません。つまり、ほぼ確実に刑務所に入ることになります。)

 

 一時の出来心で刑務所に確実に入るとか人生を棒に振ることになってしまいますよね。そのため、強盗罪の「暴行又は脅迫」とは、軽微なものは除かれています。というのも、ちょっと後ろから押して相手を転倒させて財物奪ったら「強盗だ!」とすると、窃盗罪の3割ぐらいは強盗になってしまいますよね。そして、少なくとも5年は確実に刑務所に入って下さいとすると、やったことと責任のバランスが釣り合わないので、軽微な「暴行又は脅迫」は除かれています。この基準について専門的にいうと、相手方の反抗を抑圧する程度の「暴行又は脅迫」が強盗の手段として必要だということになります。

 

 ひったくりの場合

 以上から、窃盗罪と強盗罪の違いは、手段として相手方の反抗を抑圧する程度の「暴行又は脅迫」が用いられたか否かで区別することがわかりました。では、ひったくりの場合は、窃盗罪?それとも強盗罪?どちらに当たるのでしょうか。

 

 これはかなり難しい問題なのですが、原則は、窃盗罪ということになます。先ほどの例で考えればわかると思いますが、おばちゃんが道路を歩いていて後ろからバイクで接近してハンドバッグを奪う場合、かすめ取ってそのまま逃げられることが多いと思います。この場合、おばちゃんは「泥棒!誰か捕まえて!」などと大声で叫ぶかもしれませんが、おばちゃんは反抗を抑圧されていないですよね。

 

 なので、相手方の反抗を抑圧する程度の「暴行又は脅迫」は行われておらず、強盗罪ではなく窃盗罪ということになります。

 

 では、おばちゃんが「何するのよ!私のバッグに触らないで!」などと言いながらバッグを離さず、そのまま引きずられた場合はどうでしょうか。この場合、おばちゃんがバッグをがっちり握っている状態ですよね。これは、言い換えると反抗をしている状態と言えます。この反抗状態を排除するために、バイクでおばちゃんを引きずっていることになるので、相手方の反抗を抑圧する程度の「暴行又は脅迫」をしていることになります。ゆえに、強盗罪が成立します。

 

 このようにひったくりは、原則窃盗罪になります。窃盗罪の懲役10年以下なので、もしかしたら懲役2年等の判決が出れば、執行猶予がつくかもしれません。しかし、被害者が反抗をしてそれを勢いで排除しようとすると、強盗罪になり少なくとも5年は刑務所に入ることになります。なので、ひったくりは自分の人生を狂わせるので絶対にやらない方がいい犯罪です。