5分で読める法律の豆知識

テレビや新聞などで政治から芸能スキャンダルまで幅広いニュースを見ます。しかし、法律のことについて詳しく書かれたものはあまりみません。なので自分で勉強してみました。個人的に面白いと思ったものだけ書くのであまり網羅性はありません。なので暇つぶし程度に読んでいただければ幸いです。

「第三者」って何?民法第177条の第三者の意味

 

 1 法律の用語って難しい

法律を勉強していると色々と難しい言葉が出てきます。例えば、公序良俗違反、瑕疵、欠缺、詐害性などなど、挙げればきりがありません。しかし、日常的に使う言葉みたいなものもあります。

 

 その典型的な例が、「第三者」という言葉です。第三者と聞くと民法第177条を想起される方も多いと思います。ところが、ここで言う「第三者」とはどのような人なのでしょうか。法律を勉強すればするほどよく分からないですよね。

 そこで、今回は、民法第177条の「第三者」とはどのような意味なのか、軽く考えてみたいと思います。

 

 2 民法第177条の第三者

 まず、民法第177条は「不動産に関する物権の得喪及び変更は、不動産登記法(平成十六年法律第百二十三号)その他の登記に関する法律の定めるところに従いその登記をしなければ、第三者に対抗することができない。」と定めています。

 ここで重要なのは、「不動産に関する物権の得喪及び変更」とは、どのような場合を指すのかという点を押さえることです。この点、判例及び通説は、無限界説をとっています。つまり、民法第177条の想定している物権変動については、限界がない。そのため、いかなる物権変動についても、民法第177条の適用があるとことになります。

 物権変動という難しい言葉を使っていますが、要は、条文通り、物権を取得したり、喪失したり、変更したりする場合に、民法第177条が適用されますよという意味です。

 そして、判例及び通説は、これを前提として、「第三者」を制限的に解釈しています。すなわち、「第三者」とは、当事者又は一般承継人以外の者であって、登記の欠缺を主張する正当な利益を有する者と定義されます。

 例えば、売買の契約当事者であったり、売主の相続人については、登記をせずとも、自己の権利を主張することが可能であるということになります。

 所有権侵害を理由に、民法第709条に基づき損害賠償請求をする場合の侵害者や占有権限を有せず、土地を占拠していることを理由に所有権に基づく物権的返還請求としての土地明渡請求をする場合の不法占拠者については、そもそも、登記の欠缺を主張する正当な利益を有しないため、「第三者」に当たらないことになります。

 

3 善意であることは必要か

 民法第177条の「第三者」につき、善意であることが必要かについては議論がありますが、不要と解する見解が多いです。

*善意と悪意

 法律上、善意と悪意という言葉はよく出てきますよね。善意は知らないこと、悪意は知っていることと覚える人が多いですが、ここで重要なのは何を知っているのか知らないのかをしっかり意識することです。民法第177条で議論する場合は、登記がないことあるいは登記が不存在であることを知っているか知らないかです。

 

 ところで、素朴な疑問なのですが、例えば、甲が乙にA土地を売って登記をしていない状態で、丙が乙が未だ登記をしていないことを喜んで、丙が甲からA土地を買って所有権移転登記をした場合に、丙が正当に所有権を所得できるって違和感がありませんか。

 

 この点について、市場の自由競争から説明する見解が多いです。加えて個人的には、登記の機能に着目して考えるのも有益ではないかと思います。つまり、登記は日本では対抗要件に位置付けられています。一つの物権の所得につき争う様態が生じた場合に、登記を先に備えた者が物権の所有者であることを主張することができます。そのため、先に備えるという明確なルールが存在することになります。他方、登記は、公信力がないことはもちろん法律上の推定機能もありません。そうだとすると、登記自体によって権利者であるどうかを判断することは本来できません。それにもかかわらず、たまたま前主が所有権を譲渡していたが、いまだ買主が登記を備えていないという事情を知っていたとしても、それは登記制度が本来予定している枠外の話と考えられます。それにもかかわらず、「第三者」につき、善意であることを要件とするならば、それは本来登記制度が想定した枠外の事情を持ち込むことになります。さらに、権利を主張する者は自己が善意であることを主張立証できなければ、権利取得ができないとすると、折角、先に登記を備えれば良いと明確なルールを置いたにもかかわらず、個別事情が判断要素となってしまいます。

 そのため、善意を要件としないことは一応合理的だと思います。

*今回は背信的悪意者については触れません。

 

 4 結局のところ

 ここまで軽く考えてみましたが、色々と難しいですね。民法第177条自体は基本的な条文ですが、考えれば考えるほどよく分からなくなります。しかし、そもそも法律の学習自体がよく分からないことを色々な視点から見みて、考え抜くことなのかもしれません。