5分で読める法律の豆知識

テレビや新聞などで政治から芸能スキャンダルまで幅広いニュースを見ます。しかし、法律のことについて詳しく書かれたものはあまりみません。なので自分で勉強してみました。個人的に面白いと思ったものだけ書くのであまり網羅性はありません。なので暇つぶし程度に読んでいただければ幸いです。

知っておきたい2つの養子制度!~普通養子と特別養子~

 近年児童虐待の問題が注目されています。児童虐待は社会的害悪性が強く、子供にとってトラウマとなる親の行為です。またそれだけではなく、ある統計によれば、虐待を幼少期に受けた子供が成人して子供を持った際に、虐待をする率があがるとされています。

 

 すなわち、児童虐待は世代を超えて受け継がれ、不の連鎖を生じさせる危険があります。今回は、虐待を受けていた子供の里親となる場合に、どのような養子制度があるのか検討していきたいと思います。

 

 そもそも養子縁組とは

 養子縁組とは、血縁関係にない者の間で法律的に親子関係を形成させる行為です。養子縁組の効果として、養子は養親の嫡出子たる身分を取得します。

 

 また、抑えておきたいポイントとして、年長者を養子にすることはできません。そのため、20歳の人が50歳の人を養子にすることはできません。この場合は、20歳の人が養子になり50歳の人が養親になります。

 

 そして、もう一点、養子縁組をした日に養子に子供がいた場合、養親と養子の子供は、親族関係が生じません。具体的にいうと、先に20歳の人に2歳の子供がいたとします。その後、20歳の人が50歳の人と養子縁組をしても、この2歳の子供と50歳の人との間には親族関係は発生しません。

 

  他方、養子縁組をした後に養子に子供が生まれた場合は、養親と養子の子供の間には親族関係が生じます。具体的にいうと、最初に20歳の人と50歳の人が養子縁組をしたとします。

 

 その後数年して、20歳の人に子供が生まれた場合、50歳の人とその子供の間には親族関係が生じます。この違いは、20歳の人が先に死亡して、50歳の人がその後死亡した場合に、養子の子供に相続権があるか否か(これを代襲相続と言います)で大きな違いを生むので、注意が必要です。

 要するに、

 先>養子の子供出生――後>養子縁組=養子の子供に相続権なし

    

 先>養子縁組――後>養子の子供出生=養子の子供に相続権あり

 

                  

 養子縁組の制度

 民法には、養子縁組の制度として、普通養子と特別養子という二つの制度を設けています。

 そこで、順番に検討したいと思います。

 

 普通養子制度について

 普通養子制度は、一般的な養子縁組の方法です。テレビや映画で出てくるやつです。この普通養子制度は、色々な目的で使用されています。例えば、終活の一環で不倫相手を相続人にするために養子縁組をする場合や知人の生活保護のために養子縁組をする場合です。

 

 また、今回のテーマである虐待を受けている児童を保護するために養子縁組をする場合もあります。

 

 では、虐待を受けている児童と養子縁組をする場合には、どのような方法を用いるのでしょうか。

 未成年者を養子にする場合には、原則、家庭裁判所の許可が必要です。また、結婚をしている場合には、配偶者と共に養子縁組をしなくてはいけないのが原則です。

 

 この要件自体はさほど厳しいものではありません。要するに、虐待を受けている子供がいてこれを保護する場合に養子縁組をするときは、通常家庭裁判所の許可が認められます。

 

 また、配偶者が同意していれば共に養親になることに障害はありません。加えて、民法797条では、15歳未満の未成年者を養子にする場合には、法定代理人の承諾が必要とされていますが、これは養子縁組をする上で障害にはあまりなりません。

 

 つまり、法定代理人は、通常の場合、親ですが、親が子供を虐待していた場合、民法834条で親権喪失の審判がなされて、新たに未成年後見人が選定されているので、未成年後見人の同意があればよいことになります(親権の停止の場合は除かれますが、民法797条2項)。

 

 要するに、虐待を受けていた子供を保護するために養子縁組をするには、養育環境が整っていればさほど難しいことではありません。

 

 しかし、この普通養子には重大な問題点がありました。まず、一つ目は、養子縁組をしても、従前の親子関係は終了しません。そのため、虐待をしていた親の扶養義務等は理論上残ることになってしまいます。また、戸籍簿にも従前の親子関係や養子縁組の事実が記載されてしまいます。そのため、虐待を受けた子供が将来戸籍をとる度に自分が虐待を受けていたことや養子であることを知り精神的なダメージを負ってしまうことになります。

 

 特別養子制度について

 このような普通養子の問題点を克服すためたに、特別養子制度が設けられるようになりました。特別養子制度とは、虐待等の父母が監護することができない一定の事由がある場合に、従前の親子関係(「実方」と言います)を終了さて、養子縁組を行う制度です(民法817条の2以下参照)。

 

 この特別養子縁組がなされた場合、従前の親子関係は終了し、かつ、戸籍簿上も一見しては自身が養子であることがわからないように記載されます。

 

 問題は解決したのか?

 このように特別養子縁組制度を用いた場合、児童虐待という辛い過去を捨てて新たな人生を子供が歩むことができます。そのため、問題は解決したかに見えますが、個人的にはまだまだ不十分な気がします。

 

 というのも、特別養子縁組は例外を除いて、子供が6歳未満でなければ行うことができません。そのため、イメージとしては小学校への修学が開始した場合、特別養子制度を用いることはできません。したがって、この場合、普通養子制度を利用することになります。

 一つの意見としては、子供が小学校への修学を開始すれば子供は物事をある程度理解しているので、過去を完全に消し去ることはできない。そのため、特別養子制度を用いる必要がないというものがあると思います。

 

 ですが、それは法が判断することではなく、子供及び養親が判断するべき事柄だと思います。そのため、特別養子縁組の年齢については、6歳未満ではなく可能な限り引き上げて、例えば、虐待を受けた11歳の子供が養子縁組をする際に、普通養子縁組をするのか、または特別養子縁組をするのか、選択の自由を法が保障することが大切だと思います。