サマージャンボやロト6を見ると買いたくなる時がありますよね。私の場合人生で宝くじを買っても今までの最高額は1000円でした。でも、買ってから発表まで、「3億円当たったら何しようかな!海外旅行に行きたい!マンション欲しい!」と考えるのは、すごく楽しいです。ある意味プライスレスの楽しみですね。まぁ想像だけじゃお金にはならないですけどね。ある意味プライスレスです(笑).
ごめんなさい本題に入ります。今回は、このような宝くじのように昔から伝承されている話である「知らない親戚のオジサンの遺産が舞い込んだ」というものが実際にあり得るのかどうか、相続の観点から法律的に検討してみたいと思います。
そもそも相続って何?
相続とは、自然人(法人ではない人=人間)が持っている権利義務を包括的に承継することを言います。つまり、人間が死んだときに、死亡時点で有していた財産を親族等が貰い受けることです。
ここでの財産は、預金や不動産等のプラスの財産のみならず、借金などのマイナスのものも含まれます。そのため、借金の方が多い場合には、相続放棄をすることになると思います。
ここでの注意点は二つあります。相続放棄は、「相続が開始」つまり、被相続人(遺産を持って他界した人)が死亡してから3か月以内に家庭裁判所に申し立てなければなりません。
そのため、親が事業等に失敗して借金が多く残っている場合で、親が他界したときは、3か月以内に財産関係を整理して、家庭裁判所で申述をしなくてはいけません。なので、このケースでは直ぐに行動をしましょう!(詳しくは民法915条以下を参照して下さい)
もう一点さらに重要です!そもそも、親の財産状況って詳しく知っていますか?私は知らないです。実は親の財産が不動産や預金・有価証券あるいは借金等どのような種類でどの程度あるのか把握していない方は非常に多いです(「仲間を増やそう作戦!」)
この場合、遺産の中で預金とかプラス資産が多い場合は、欲しいですよね。私は、欲しいです!逆に、借金が多い場合は、背負いたくないですよね。私は、背負いたくないです!(なんだか自己主張が強い人になってしまいごめんさない)。
実は、これは法律で認められています。つまり全体財産がプラスの場合だけ相続することが可能です。これを限定承認と言います(民法922条)。正確には、借金がある場合には、遺産の限度で支払うことを承認することですが、逆に言うと、借金を支払ってプラスなら、貰いますよという意味になります。
この場合も、相続放棄と同様に3ヶ月以内に家庭裁判所で申述をすることが必要になります。なので、親の遺産の内容が不明なときは、限定承認をするのが妥当です。
相続人と相続分は?
では、このような遺産を貰える相続人は誰なのでしょうか。
まず、結婚をされている場合には、配偶者は除外事由がない限り、絶対的に相続人となります。また、子供も同様に除外事由がない限り絶対的に相続人となります。
他方、子供がいない場合には、親・兄弟が相続人になります。
具体的な相続分については、相続人が誰かで大きく異なります。
そこで、Aさんが1000万円の遺産を残して死亡した場合という例を使って具体的に検討してみたいと思います。
- 子供のみのケース
まず、配偶者がおらず、子供のみが相続人となる場合です。この場合、子供が全ての財産を相続します。
そのため、1000万円の遺産は全て子供が相続します。
- 配偶者と子供のケース
次に、配偶者と子供が相続人となる場合です、この場合、配偶者と子供で2分の1ずつ相続します。
そのため、配偶者が500万円を相続し、子供が500万円を相続することになります。
- 配偶者と親のケース
さらに、配偶者と親が相続人となる場合です。この場合、配偶者が3分の2、親が3分の1を相続をします。
そのため、配偶者が約666万円、親が約333万円を相続することになります。
- 配偶者と兄弟姉妹のケース
配偶者と兄弟姉妹が相続人となる場合です。この場合は、配偶者が4分の3、兄弟姉妹が4分の1を相続します。
そのため、配偶者が750万円、兄弟姉妹が250万円を相続します。
- 今回は、寄与分などは全く考慮しないことを前提に書いています。
代襲相続って何?
上記に書いたことが原則です。そうだとすると、自分はオジサンから見て甥や姪に当たりますよね。なので、先の相続人ではなく、オジサンの遺産は自分に舞込むことがないように思いますよね。「なんだ都市伝説だったのか!世の中そう上手くはいかないよな」と落胆すると思います。
ところがどっこい!(死語)実は遺産が入ってくる場合があります。これが代襲相続と言われているものです。
代襲相続とは、簡単に言うと本来の相続人がいない場合に、一定の者を相続人として扱う制度です。「ん?何のことだ?」と思いますよね。
民法887条2項本文を見てみましょう。
「被相続人の子が、相続の開始以前に死亡したとき、又は第八九一条の規定(欠格事由)に該当し、若しくは廃除によって、その相続権を失ったときは、その者の子がこれを代襲して相続人となる」と規定しています。
さらに、同法889条2項は、兄弟姉妹が相続人になるケースでは、「第八八七条二項(代襲相続)の規定は、・・・準用する」と書かれています。
なるほど!・・・・・・・・・・よくわからない!
なので、具体的に検討します。
まず、民法887条1項では、相続人が死亡又は、欠格事由、廃除があった場合に、相続人の子供が代襲相続できると規定しています。
欠格事由とは、相続人を殺した等です。廃除とは、被相続人を虐待等しており、被相続人が相続人の相続権を生前にはく奪しておく行為です(家庭裁判所に行けば手続きできます!)
要するに、おじいちゃんが死亡した時に、すでにお父さんが死亡していた等の場合には、子供がお父さんに代わっておじいちゃんの遺産を相続しますよと民法887条1項は書いています。(もっと、解りやすく書いてよ!)
そして、889条2項は、兄弟姉妹が亡くなっていた場合には、その兄弟姉妹の子供が兄弟姉妹に代わって相続をするということを規定しています。
これが「知らないオジサンの遺産が舞い込んだ!」という場合です。
どういうことかというと、自分のお父さんが亡くなっていたとします。葬儀を終えて悲しみが癒えた3年後、突然○○市役所から1本の電話が来ました。その電話で、市役所の職員が××さんという方がなくなりました。××さんには配偶者も子供もいません。また、××さんのご両親(自分から見て祖父母)も他界されています。そして、二人兄弟の兄であるあなたのお父さんも三年前に亡くなっていますね!そのため、あなたが××さんの遺産10億円を相続する権利を有していますという風になるわけです。
図にすると、こな感じです。
祖父(死亡)ーー―祖母(死亡)
↓ ↓
父(死亡)叔父(死亡)
↓
私
総括
ということで、知らないオジサンの遺産は舞込むことがあるんです!
兄弟仲が悪かったりすると、自分の父親に兄弟がいることを知らずに過ごしていることってたまにありますよね。なので、もしかしたら皆さんにも資産家のオジサンが実はいるかもしれません。そのため、ある日「10億円の資産が舞い込んだ!」なんてことが起こるかもしれません。
素晴らしいですね!今日は「もし10億円手に入ったら何に使おうかな♪」というプライスレスな想像をしながら寝たいと思います。
ちょっとプラス
代襲相続は、相続人が相続放棄をした場合を含みません。これは相続放棄が、当該系別が相続をしない旨の意思表示を含んでいると考えられているからです。そのため、父親が相続放棄をした場合にその息子が代襲相続をすることはありません。具体的に言うと、長男に全財産を承継させるために、他の兄弟が相続放棄をするという方法がとられています。相続放棄によって代襲相続が生じるなら、兄弟の子供が権利主張できることになります。しかし、それは認められておらず、兄弟の子供が相続権を主張して遺産を頂戴ということはできません。
また、これは各種資格試験の短答式問題で頻出なので試験勉強をされている方はしっかりとおさえておくのが得策です。