5分で読める法律の豆知識

テレビや新聞などで政治から芸能スキャンダルまで幅広いニュースを見ます。しかし、法律のことについて詳しく書かれたものはあまりみません。なので自分で勉強してみました。個人的に面白いと思ったものだけ書くのであまり網羅性はありません。なので暇つぶし程度に読んでいただければ幸いです。

会社法第310条第1項。押さえておくべき株主総会の議決権行使の代理人資格制限の話

 会社法の中でも、株主総会の議決権行使の代理人資格制限の論点は有名ですよね。

 今回、その概要及び判断方式について確認してみたいと思います。

 

1 会社法第310条第1項

 まず、会社法第310条第1項は、「株主は、代理人によってその議決権を行使することができる。この場合においては、当該株主又は代理人は、代理権を証明する書面を株式会社に提出しなければならない。」と規定しています。

 

 すなわち、株主は、代理人を使って議決権を行使することができるのが原則であり、明文上、その例外的に制限できるとの規定は置かれていません。

 

 そもそも、株式の権能としては、大きく分けると共益権と自益権の2つがありますが、このうち共益権の代表的な権利が、株主総会の議決権ということになります。

 

 そして、株主総会の議決権は、株主が会社の所有者として最高意思決定機関である株主総会に参加するための権利であるため、極めて重要な権利であり、株式の中核的な要素と言えます。

 

 そのため、株主の権利行使の機会を広く確保するために、代理人による議決権の行使を認める必要があり、会社法第310条第1項が存在します。

 もっとも、代理人として不適切な者が代理人となり、株主総会に出席することで、株主総会の運営が妨げられることもあり得ます。

 

 そこで、株主総会の議決権行使を代理人が行うことが認められているとして、代理人資格を制限することができるのか、また、できる場合があるとするならば、どのような場合であるかが問題となります。

 この点について、最高裁は、以下のとおり判断を示しています。

 

2 判例の考え方

 最高裁昭和43年11月1日判決は、現行の会社法第310条1項に相当する規定について、「代理人資格を制限すべき合理的な理由がある場合に、定款の規定により、相当と認められる程度の制限を加えることまでも禁止したものとは解され」ない旨を判示しました。

 

 つまり、判例は、合理的な理由があり、相当な範囲の制限を定款で定める場合には、代理人の資格を制限できると判示しました。

 

 具体的には、総会屋等により株主総会の開催や運営が妨害される可能性がある場合には、株式会社は、これを排除すべき合理的な理由があるため、定款に、株式会社の株主を代理人資格として設けることは相当と認められるので、定款は、会社法第310条第1項に違反せず、有効ということになります。

 

 その結果、株主が株主会社の株主ではない者を代理人として指名し、議決権を行使しようとした場合に、株式会社は、これを拒否したとしても、会社法310条に違反せず適法ということになります。

 

 もっとも、裁判例や講学上では、会社が株主となっている場合に、会社の従業員が議決権を行使する場合や、弁護士が行使する場合には、前記の合理的理由の観点から、株主総会の開催や運営が妨害される危険は少ないと判断し、同人らによる議決権行使は定款により制限することはできず、同人らの議決権行使を認めなかったのは、会社法310条に違反するとするものがあります。

 

3 今後考えるべきこと

 以上のとおり検討してきましたが、現在総会屋はほとんどいません。また、そもそも、株主総会の議決権行使の代理人資格について、「株式会社の株主」という制限を置くことにどこまで意味があるのか不明です。

 

 例えば、中小企業の場合、株主が10人以下の場合も珍しくなく、他の株主との関係性が希薄で、代理人として議決権行使を依頼することが困難な場合もあると思います。

 

 また、株主総会の運営が妨げられる可能性があり、これを排除する合理的理由があるとしても、運営を妨げるおそえのある者を列挙し、これに該当する者を代理人とすることはできないという形で定款に規定する方法もありえ、かつ、その方が会社法第310条第1項の趣旨に合致すると思われます。

 

 以上のように、代理人資格の制限については、時代の変化も考慮し、どのような制限をするのが良いのか、見直していくべきだと思います。