5分で読める法律の豆知識

テレビや新聞などで政治から芸能スキャンダルまで幅広いニュースを見ます。しかし、法律のことについて詳しく書かれたものはあまりみません。なので自分で勉強してみました。個人的に面白いと思ったものだけ書くのであまり網羅性はありません。なので暇つぶし程度に読んでいただければ幸いです。

契約解除の基本的な考え方

 

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1 契約はしたけど

 例えば、ある人と売買契約を締結して、車等を購入したとします。しかし、契約をしたにもかかわらず、納期に車が来ないとかありますよね。また、建売の住宅を購入する契約を締結したにもかかわらず、その住宅は自分が買った後に、他の人に売られてしまい後に買った人が所有権移転登記をしてしまった場合など、頭に来ますよね。

 

 損害賠償請求ができることは当然だとしても、この場合契約を解除することができるのでしょうか。そこで、今回は、民法の解除制度の基本的な考え方について、検討してみたいと思います。

 

 

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 2 民法の解除とは?

 そもそも、解除とは契約締結後に生じた事情により契約関係を解消させることです。原則、契約を締結したらその約束は守られてしかるべきです。契約してみて「やっぱりやめた。」と言って契約当事者の一方が勝手に契約を解除することができるとすると、契約をする意味自体がありませんよね。

 

 そのため、契約を締結した後は、一定の事由が生じない限りは契約関係を解消することはできません。

 

 では、どのような事由があれば契約を解除することができるのでしょうか。

この点、代表的な条文を三つ見てみましょう。

 

 まず、履行不能を定めた民法第543条です。同条は「履行の全部又は一部が不能となったときは、債権者は、契約の解除をすることができる。ただし、その債務の不履行が債務者の責めに帰することができない事由によるものであるときは、この限りではない。」と規定しています。

 

 この条文中「履行の全部又は一部が不能となったとき」と定めています。

 なぜそもそも履行不能の場合に解除を認めているのでしょうか?

 

 それは、契約目的を達成できないからです。

 

 当たり前の話ですが、例えば、建売の売買契約を締結する時に買主は建物及び土地の所有権を手に入れること、売主は代金をもらうことを目的として、契約を締結します。ところが、建物が売主の過失で損壊し引き渡すことができなかったり、売主が他の人に売って登記を備え、確定的に所有権を取得できなくなったときは、もはや契約の目的を達成することができません。

 

 そのため、契約を維持する意味がないため、契約関係を解消させることを認める。これが解除制度の根本的な発想です。

 

 すごく自明のことなのですが、以下の条文に沿って考えると、非常にこれ自体が重要なことだと分かります。

 

 例えば、履行遅滞を定めた民法第541条は「当事者の一方がその債務を履行しない場合において、相手方が相当の期間を定めてその履行の催告をし、その期間内に履行がないときは、相手方は契約を解除することができる。」と定めています。

 

 弁済期に債務の履行がない以上、直ぐに解除できるような気もしますが、条文はそうなっていません。つまり、履行遅滞の場合は、債務の履行が遅れているだけであって、債務の履行自体は事実上できるのが前提です。そうだとすると、弁済期に債務の履行がなくても、履行される可能性は未だ消えていないため、未履行であることのみでは契約の解除は認めません。

 

 もっとも、「払って下さい」とか「持って来て下さい」と催告をして相当期間経過したにもかかわらず、相手方が払ったり、持参しなかったりした場合には、今後債務が履行されることはないだろうということが明らかになります。

 

 そのため、催告後相当期間経過により、履行不能とし契約目的は達成されないと判断します。

 

 ゆえに、このような相当期間経過後には、契約の解除をすることができるということになります。

 

*補足

 ちなみに、相当期間経過後、解除権行使前に債務の履行があった場合には、解除することができないという見解が有力ですが、今の説明からすると当然の見解だと思います。つまり、解除権行使前に債務の履行があれば契約目的を達成することができ、契約関係を解消させる必要がないからです。

 

 以上を踏まえて、民法第566条第1項前段を見てみましょう。

同条項前段は、「売買の目的物が地上権、永小作権、地役権、留置権又は質権の目的である場合において、買主がこれを知らず、かつ、そのために契約をした目的を達すことができないときは、買主は、契約の解除をすることができる。」と規定しています。

 

 担保責任の場合、一種の不都合な状況が生じたとしても、その不都合な状況には程度の差があり、契約目的の達成との関係で見た時に、必ずしも契約目的が達成できない場面ばかりではありません。そのため、同条項前段は「そのために契約をした目的を達することができないとき」という要件を置いたのだと言えます。

 

 また、付随的義務違反の場合に原則解除が認められないとする考え方が有力ですが、これも付随的義務の場合には、原則契約目的を達成できない場面ではないことが根本にあります。逆に言うと、契約目的を達成できない場合であれば、解除の理念に従い、付随的義務違反の場合でも、解除が認められることとなります。

 

3 考えすぎないことがコツ

 以上のように解除制度について少し考えてきましたが、意外にその理念はシンプルです。そのため、あまり考えすぎないのがコツです。

 

 

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