「肩ヒジ張らずに楽に」と言われても契約書にサインをする時緊張しますよね。もっとも、「そもそも内容を読みません」という人もいるかもしれません。
確かに、契約書は分厚くて小難しい言葉が羅列してあるので、読んでも読まなくても変わらない。そのため、読むだけ時間の無駄という意見は最もだと思います。
ですが、そもそも「契約」とはなんでしょうか?以外に知らないことがあるかもしれません。契約書を読まずに、サインをするとなぜ怖いのか?
そこで、今回はそもそも契約とは何か?契約書をなぜ読まなくてはいけないのか?検討してみたいと思います。
契約とその他の法律行為
そもそも、契約とは二者当事者が相互に意思表示をして合意をする法律行為です。難しいですね。違った視点で見てみましょう。
「法律行為」という言葉を使いましたが、これは法律効果や法的関係性を生じせれる行為です。このような法的効果を生じさせる方法には色々なものがあります。
例えば、遺言を考え見ます。遺言は特定の人に死後の遺産を承継させる意思表示です。
内縁の妻は相続権がないので、遺産を残してあげようと思い遺言書くことが多いです。ですが、この遺言は内縁の妻が「了解です!」と言わないと、成立しないのでしょうか。
当然違います。
遺言をする人は遺言の対象者の意思に関わらず遺言をすることが当然できます。このように一方的な意思表示により法律効果を生じさせるものを、単独行為といいます。
また、このような単独行為以外にも合同行為と言うものもあります。
例えば、会社を設立する時に色々な人が設立に向け行為します。このようなある特定の目的のために複数の人がする法律行為を合同行為と言います。
では、契約に戻りますが、契約は二人で行います。その点が、単独行為と大きく異なります。また、互いに向かって意思表示をする点で、合同行為とは異なります。
その結果、契約とは、二者当事者が相互に意思表示をして合意をする法律行為となります。
具体的な内容
では、契約について具体的に見ていきます。そもそも、契約には契約自由の原則という大原則があります。
内容は非常に簡単です。その名の通り、私たちは、強制されずに自由に契約を締結することができるということです。具体的に言うと、私たちは契約をするかしないか、また、誰と契約をするか、その内容をどのようなものにするか自由に決定することができるということです。
すごく当たり前ですよね。ですが、この契約自由の原則が契約を考える上ですごく重要になります。この点について詳しく見ていきましょう。
そもそも、民法は、13個の契約について規定しています。例えば、売買契約、請負契約、賃貸借契約等です。これらは、日常よく使う契約です。契約自由の原則がある以上、どのような内容を定めても良いはずですが、我々が、詳細に契約内容を決めることは非常に煩わしいです。また、そもそも、契約時に話合っていない場合や決めていないということが起こりえます。
例えば、売買契約を締結した時に、代金の支払い時と物の引き渡し時を決めていなかったとします。この場合、民法の規定によれば、売買契約と同時に支払請求及び引き渡し請求をすることができます(同時履行関係にはなりますが)。
しかし、民法の規定がなかった場合には、契約締結をしてから1週間後なのか、はたまた1か月後なのか、支払請求及び引き渡し請求をいつできるのかわかりません。そのため、買主と売主の間で後々法的紛争に発展してしまう可能性もあります。
このような状況を回避するために、民法は良く使う典型的な契約について規定を置いています。
この発想が非常に重要です。というのも、言い換えると民法の規定は、当事者で定めなかった場合や当事者が話合っていない場合に、適用されるものであり、話し合ってお互いで決めていた場合には、それに従うことになります。
すなわち、民法の規定よりも契約自由の原則が優位に立っているといっても良いです。
(当然、公序良俗違反や、強行法規に違反する内容は定められませんが)
実際どうゆうこと?
以上のように、契約自由の原則が民法の規定に優位すると言っても「だからなんだ!」という感じですよね。
ですが、この理解が非常に大切です。具体的に言うと、例えば、民法の規定に瑕疵担保責任というものがあります(民法570条・民法566条)。この瑕疵担保責任というのは、売買契約をする時に目的物に瑕疵がある場合に、売主が瑕疵を知っていたか否か、過失があるか否かに関係なく、買主は売主に対して損害賠償請求や解除をすることができる規定です。
ですが、この瑕疵担保責任の規定は当事者の合意によって契約内容から外すことができます。その結果、売主は目的物に瑕疵があっても責任を負わないということが可能になります。
具体的に見ますと、中古ディーラーから車を買ったとします。ところが、その車はエンジンが壊れていて100キロしか走行ができない車だったとします。この場合、売主のディーラーもそのエンジンが壊れていることを知らず、過失もなかったとします。この場合、民法の規定によれば、買った私たちは、売主であるディーラーに損害賠償請求をしたり、契約を解除することができるはずですよね。
ところが、契約書を読み返してみると、「売買の目的物につき瑕疵があった場合、それがいかなる瑕疵であっても、売主は過失がない限り責任を負わない」という条項が入っていたとします。
そうすると、瑕疵担保の規定が適用できないため、私たちは、ディーラーに対して損害賠償請求も契約の解除もできず、走行できない車をそのまま所有しなくてはいけないことになってしまい。
総括
このような状況は、非常にむかつきますよね。そもそも、「走らない車なんていらないよ」って話ですよね。
このような状況にならないためにも、契約書を読むことが重要です。また、契約書に過度に売主の免責条項が入っている場合には、契約をしないという選択も検討をした方が良いです。