5分で読める法律の豆知識

テレビや新聞などで政治から芸能スキャンダルまで幅広いニュースを見ます。しかし、法律のことについて詳しく書かれたものはあまりみません。なので自分で勉強してみました。個人的に面白いと思ったものだけ書くのであまり網羅性はありません。なので暇つぶし程度に読んでいただければ幸いです。

しっかり押さえたい!窃盗罪の窃取と占有概念

 

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 刑法を勉強していると最初に思いつく犯罪ってなんでしょうか?

 

 殺人罪と答える人も多いと思いますが、窃盗罪と答える人も多いですよね。

 

 実際に一番多い犯罪は、窃盗罪です。

 というのも、窃盗罪って成立する範囲が広いんですよね。

 

 例えば、スリ、空き巣、万引き、これらは全て窃盗罪です。

 

 そこで、今回は、窃盗罪の「窃取」、特に他者の占有とは何かについて少し考えてみたいと思います。

 

 

1 窃盗罪の概要

 まず、窃盗罪は刑法235条に規定されている犯罪です。

 窃盗罪の構成要件は、故意、不法領得の意思、財物、窃取です。

 

 そして、窃取とは、他者が占有する財物を他者の意思に反して、自己の占有に移すことだとされています。

 

 つまり、占有をしている他者が占有移転を承諾している場合には、単なる譲渡等となるため、窃取に該当しません。

 

 また、他者の占有とはあくまでも事実上の占有のため、間接占有や法律上の占有等の概念は含みません。

 

 冒頭で挙げたスリの例だと、人込みで、他者のポケットの中に入っている財布を同人の意思に反して抜き取って、自分のポケットの中に移すというような場合に「窃取」に該当します。

 

 では、例えば、空き巣が自宅に入り、自分が存在自体を忘れていたヘソクリを盗み出した場合はどうでしょうか、また、電車の中にバッグを置き忘れて、下車後、振り返ると扉が閉まり、そのまま電車が発進してしまい次の駅に到着するまでの間に、バッグを取られてしまたった場合はどうでしょうか?

 

 すなわち、他者の占有の有無はどのように判断するべきかが問題となります。

 

 

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2 占有の判断方法

 この点、他者の占有、すなわち、事実的支配があるか否かについては、客観的な支配の事実と、支配の意思によって判断すると言われています。

 しかし、この基準、分かるようでいまいちよく分からない基準ですよね。

 

 この2つの要素は、実際のところ等しい価値をもったものではないと思われます。

 第1次的には客観的な支配の有無程度が重要なのであり、第2次的に支配の意思が重要となります。

 

 先ほどの存在を忘れていたヘソクリを空き巣に取られた場合、結論としては、窃盗罪が成立します。

 

 というのも、自宅の中にヘソクリがある以上、客観的支配は明らかにあり、たとえ、忘れていたことで、支配の意思がない、あるいは著しく減退していても、強固な支配領域内に存在する以上、他者の占有は認められることとなります。

 

 他方、電車の中にバッグを置き忘れて電車が発車してしまい第三者に窃取された場合には、おき忘れた時点場所と第三者が窃取した時点場所との接着性がどの程度あるかによって、客観的な支配の程度がまず変わります。

 

 また、おき忘れたことを全く気付かない場合には、支配の意思自体が否定される可能性があります。

 例えば、電車を降りた瞬間におき忘れに気が付いて、後ろを振り返った時にドアが閉まってしまい、かつ第三者がその時に、そのバッグを奪ったというような場合には、バッグに対する客観的支配及び支配の意思があるため、他者の占有を認め「窃取」に当たると判断してもよいと思います。

 

 他方、電車を降りて、改札を出ようとした時に、電車内にバッグを置き忘れたことに気が付き、かつ、電車は次の駅の間近まで迫っていた時に第三者がバッグを奪取した場合には、時間的場所的に隔離があり、客観的な支配が否定されるため、支配の意思が戻ったとしても、他者の占有は否定されることになると考えられます。

 その他にも、結局、電車の扉が閉まった時点で、客観的な支配が無いと考えるのも十分に合理性があると思います。

 

3 最後に

 以上のように検討をしてきましたが、基本的には他者の占有引いては「窃取」に該当するか否かは、ケースバイケースと言わざるを得ません。

 

 しかし、基本的な考え方としては、先に挙げたとおり、客観的支配に重点をおいて検討をすることが大切です。

 

 

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訴因変更はいつまで許される?訴因変更の時機的限界

 

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 刑事訴訟法第312条は、検察官の訴因変更権限を規定していますが、検察官が、いつまで訴因変更をすることができるか?についての規定はありません。

 そこで、検察官の訴因変更に時機的限界があるかが問題となります。

 

 今回は、この論点について少し検討してみたいと思います。

 

1 そもそも、訴因変更とは?

 まず、刑事訴訟法第312条第1項は、「裁判所は、検察官の請求があるときは、公訴事実の同一性を害しない限度において、起訴状に記載された訴因又は罰条の追加、撤回又は変更を許さなければならない。」と規定しています。

 同条項は、有名論点として、訴因変更の要否と可否がありますが、今回は説明を割愛し、可能かつ必要な場合に、いつでもできるかについて焦点を絞って検討します。

 

 この点、民事訴訟法のように時機に後れた攻撃防御方法のような条項は、刑事訴訟法にはありません。

 

 そもそも、刑事訴訟法の目的が、真実発見(同法1条)にあることに鑑みると、訴因変更をできないことで、真実発見ができないという事態を回避するために、無制限に許されてもよいとも思います。

 

 しかし、終盤になって訴因変更を許すとすると、被告人側から見ると、今迄の防御活動が徒労となり、訴因変更後、さらなる防御活動を強いられるという点で、被告人に過大な負担を与えることとなります。

 

 裁判例では、以下のとおり、訴因変更の時機的限界ついて判断をしました。

 

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2 裁判例等

 福岡高判昭和51年4月5日は、弁護人の防御活動が成功したかと思われる結審間際になって、検察官が訴因変更をした事案について、同請求が争点から外されていたものを改めて立証事項として審理対象としようとするものであり、被告人の防御に実質的な不利益を生じさせ、公平を損なうおそれが顕著な場合には、裁判所は、公判手続きの停止措置にとどまらず、訴因変更の請求自体を許さないことも認められる旨を判示し、訴因変更に時機的限界があることを判示しました。

 

 この点、講学上も、被告人が当初の訴因について一貫して防御を尽くしており、時機に後れて訴因変更が、被告人に不意打ちかつ新たな立証を要求するものであり、無罪の心証が形成された後に、訴因変更をすることは許されない等とされています。

 

3 注意点

 以上のように訴因変更について時機的限界があるとしても、第1回公判期日から時間が経ったものが全て、時機的限界により許されないとはなりません。

 例えば、被告人質問や証人尋問で新たな事実がでてきて、訴因変更が必要になったような場合には、第1回公判期日から時間が経過していても、訴因変更は許されると思います。

 

 つまり、経過した時間が長いという事由だけではなく、具体的な訴訟進行経過に鑑みて、審判対象について審理が尽くされた段階で、かつ裁判所が無罪の心証を形成している時に、検察官が訴因変更を請求したのか?というのが重要な要素になると考えられますので、注意が必要です。

 

 

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刑事訴訟法第110条。知っておきたい令状呈示の考え方!

 

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 テレビドラマを見ていると、いわゆる「ガサ入れ」のシーンとかありますよね。

 

 この時に、「警察だ!」等と言って、警察官が被疑者の家の中に入って行きますが、これってそもそも適法なのでしょうか?

 

 そこで、今回は、刑事訴訟法第110条の令状呈示について検討をしてみたいと思います。

 

 

1 刑事訴訟法第110条の規定

 まず、刑事訴訟法第110条は、「差押状、記録命令付差押状又は捜索状は、処分を受ける者にこれを示さなければならない。」と規定しています。

 そして、捜査機関が捜査を行う場合の準用規定である同法222条も、上記条文を引用しています。

  

 そのため、捜査機関が、令状に基づき捜索差押をする場合には、被処分者に対して令状を呈示しなければなりません。

 

 では、捜査機関は、いつまでに令状を呈示しなくてはいけなのでしょうか?

 明文上の規定がなく、問題となります。

 

2 原則論の話

 この点について、最決平成14年10月4日は、「捜索差押許可状の呈示は、手続の公正を担保するとともに、処分を受ける者の人権に配慮する趣旨に出たものであるから、令状の執行に着手する前の呈示を原則とする。」と判示しました。

  

 つまり、同判例によると、捜査機関は、原則、捜索・差押に着手する前に、令状を呈示する必要があることとなります。

 

 

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3 例外論の話

 しかし、原則があれば例外があり、上記判例は、覚せい剤取締法違反の被疑事実の捜査差押で、差押対象物件が破棄隠匿される可能性があった事案でした。

 

 そこで、上記判例は、「警察官らが令状の執行に着手して入室した上その直後に呈示を行うことは、法意にもとるものではなく、捜索差押えの実効性を確保するためにやむを得ないところであって、適法というべき」と判示しました。

 

 つまり、具体的な状況下においては、着手後に令状を呈示することも許されることとなります。

 

 そして、その具体的な状況とは、上記判例が判示している「捜索差押えの実効性を確保するためにやむを得ない」場合であるか否かという点で判断することになります。

 

 

4 刑事訴訟法111条の「その他必要な処分」との違い

 テストの問題では、刑事訴訟法111条の「その他必要な処分」も絡む形で出題をされます。

 ここで、注意すべきなのは、令状呈示の時期の論点と、「その他必要な処分」の論点は別物だということです。

 

 令状呈示の時期の論点は、あくまでも、「捜索差押えの実効性」の観点から検討をすることとなるため、対象物の破棄隠匿、被処分者の逃亡のおそれ等が判断する上で、重要な要素となります。

 

 他方、「その他必要な処分」の場合には、上記捜索差押えの実効性の観点に加えて、その方法をとるべき必要性・相当性等が判断する上で、重要な要素となります(例えば、宅配便だと虚偽を述べること、鍵を壊すこと、窓を壊すこと等)。

 

 したがって、上述の論点を検討する場合には、どの要素がどちらの論点に影響を与えるのか、しっかり意識して論述をすることが大切です。

 

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エックス線検査。刑事訴訟法の強制処分の考え方

 

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 刑事訴訟法を勉強していると、一番最初に出てくる論点が、強制処分該当性と任意捜査の限界ですよね。

 特に、最決平成21年9月28日のエックス線検査の判例等については少し理解が難しいと思います。

 

 そこで、今回は、上記判例を含めて、強制処分と任意往査限界について少し検討してみようと思います。

 

 

1 そもそも、強制処分と任意捜査の限界とは?

 まず、刑事訴訟第197条1項には、以下のとおり規定されています。

 「捜査については、その目的を達するため必要な取調べをすることができる。但し、強制の処分は、この法律に特別の定めがある場合でなければ、これをすることができない。」

 

 

 同法1項但し書きは、いわゆる強制処分法定主義を規定していると言われてます。

 ここで、間違えやすいので、令状主義との関係について簡単に説明します。

 

 そもそも、捜査機関は、原則、捜査の必要性がある限り、捜査を行うことができます。もっとも、人権侵害の程度が強い捜査手法については、予め国民の意思を反映し、法律上に規定しているものに限って、捜査を行うことができます。

 つまり、そもそも、人権侵害の程度が強い捜査については、法律上に規定がなければ行うことができません。

 これが、強制処分法定主義です。

 

 他方、令状主義というには、法律上の規定がある強制処分を行うためには、適切な裁判所のチェックを受けた上で、令状を発付(許可)してもらわなければならないという概念です。

 

 したがって、強制処分法定主義は立法上の問題で、令状主義は司法上の問題であると言えます。

 

 では、強制処分に当たるか否かは、どのように判断されるのでしょうか。

 

 これについて判示した有名判例が、最決51年3月16日判決です。

 同判決では、強制処分とは「個人の意思を制圧し、身体、住居、財産等に制約を加えて強制的に捜査目的を実現する行為など、特別の根拠規定がなければ許容することが相当でない手段を意味するもの」と判示しています。

 

 同判例の「身体」、「住居」、「財産」というのは、刑事訴訟法に規定されている逮捕、捜索、差押えの被対象者の法益を想定しているといわれていますが、ここでは説明を割愛します。

 

 以上の前提に、強制処分該当性を審査した上で、任意捜査の限界を判断していく流れになりますが、令状主義と強制処分法定主義の関係を考慮すると、以下の思考図で検討していくのが良いと考えられます。

 

 

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2 思考図式について

 強制処分該当性

     強制処分に該当する

     ①明文上の定めがない・・・・・・強制処分法定主義に違反する

     ②明文上の定めはある(例)捜索))・・・強制処分法定主義に違反せず

      しかし、令状がない・・・・・・令状主義違反

 ↓

任意捜査の限界

    必要性・緊急性VS権利侵害内容程度=全体として相当か?

 

3 最決平成21年9月28日について

 以上を踏まえて、エックス線検査についてはどのように考えるべきでしょうか?

 この点について、最決平成21年9月28日は、「その射影によって荷物の内容物の形状や材質をうかがい知ることができる上、内容物によってはその品物等を相当程度具体的に特定することも可能であって、荷送人や荷受人の内容物に対するプライバシー等を大きく侵害するものであるから、検証としての性質を有する強制処分に当たるものと解される。」と判示しました。

 

 そして、同判例では、検査許可状がなかったことから違法と判断しています。

 すなわち、検証である以上、強制処分法定主義には違反しませんでしたが、令状がないので令状主義に違反となると判断したと言えます。

 

4 注意点

 以上の判例では、エックス線検査の精度が高いことが判断要素として重視されています。

 そのため、エックス線検査であっても、精度の低い機器で行っていた場合には、強制処分に該当しない可能性があります(なお、任意処分の限界については論じる必要がありますが。)

 

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交通事故!経済的全損の落とし穴。解決方法

 

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 交通事故って辛いですよね。

 例えば、家族でお出かけしている時に、急に自動車にぶつけられて、警察と保険会社に電話しているうちに、何時間も経ってしまいました。自走不可能です。となり、大切な家族との休日が全てダメになってしまうなんてこともあります。

 

 幸い怪我がなくても後日相手の保険会社から電話が掛ってきて、修理費用が50万円もかかるのに、「経済的全損」と言われて、「新車価格の10%の20万円がお支払い額です」とか言われた日には、頭に来ますよね。

 

 そこで、今回は、交通事故に遭遇した時に聞く、車両損害の経済的全損とは何か?について少し検討をしてみたいと思います。

 

1 経済的全損って何?

 まず、「全損」という言葉を聞いたことがあると思いますが、「全損」には物理的全損と経済的全損の2つの種類があります。

 

 簡単に説明しますが、物理的全損というのは、いわゆる「おしゃか」の状態です。つまり、現在の技術を駆使して、車を修理することができない場合です。

 

 他方、経済的全損は、修理自体はできますが、修理額が車両時価額を著しく上回る場合こ経済的全損とされ、修理金額を相手方は賠償すべき法律上の義務を負わないこととなるため、車両損害額は、車両時価額等を基準に算定されることとなります。

 

 つまり、冒頭の例では、相手方保険会社が、経済的全損=(車両価額が車両修理費を著し上回っている)ので、新車価格の10%(車両時価額)をお支払いしますと提案してきたことになります。

 

 

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2 この場合どうするべきか?

 実は、これ、相手方の保険会社の要求をのむしかないように見えますが、大きく分けると、2つの争う方法?があります。

 

 まず、1つ目は、相手方が対物超過保険に加入しているか確認することです。

 経済的全損となった場合に、相手方は法律上の義務としては、車両時価額のみを賠償すれば足ります。当たり前ですが、被害者とかなり揉めます。

 

そこで、保険会社は対物超過保険という商品をつくり、前記車両時価額、つまり、法律上の賠償額を超えて、保険会社がお支払するという商品を作っていることが多いです。

 しかも、対物超過保険は、保険会社にもよりますが、千円以下の保険料で入ることができるので、相手方が付けていることが多いです。

 

 ただし、保険を使用するか否かについては、相手方の意思によるものなので、相手方が

 同意しない限り保険会社もこの保険を使ってお支払をすることができません。

 

 したがって、相手方の保険会社から経済的全損だと言われた場合には、まず、相手方が対物超過保険に加入しているか否か、また、加入している場合には、対物超過保険を使用してもらうように交渉をすることが大切です。

 

 

 他方、2つ目の方法は、車両時価額を争う方法です。

 

そもそも、車両時価額とは、簡潔にいと、事故にあった車と同じ車を中古車市場で取得するのに必要な金額を言います。

 また、同じかどうかについては、車種・年式・方、同程度の使用状態・走行距離等により判断をします。

 

 そして、その算定方法については、色々な考え方があり、例えば、ネット上の中古車販売サイトに載っている車両平均額で割り出すという手法も使われています。

 

 ところが、保険会社の多くは、初度登録から10年以上経過していた場合、新車価格の10%を車両時価額だと認定した上で、お支払をしますと言ってきます。

  

 保険会社のこの計算方法自体も間違っているものではなく、車両時価額を算定する一つの方法ではあります。

 

 しかし、大切なのはそれ以外の算定方法もあるということです。

 

 例えば、相手方保険会社から新車価格200万円の10%=20万円が車両時価額ですのでこれをお支払しますと提案されても、ネット上の中古車販売サイトを見ると、40万円くらいで取引されているならば、相手方保険会社に対して、40万円で認定をするべきである提案することもできます。

 

 

 

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3 最後に

 以上のように検討をしてきましたが、大切なことは、経済的全損ですので、車両時価額の10%を損害金としてお支払しますと言われて、直ぐに合意をしないことです。

 

 対物超過保険の加入の有無、中古車市場価格の調査をしっかり行い、適切な解決にむけて話し合うことが大切です。

 

 

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株主招集通知漏れてる!株主総会決議の取消事由

 

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 会社の方の勉強って大変ですよね。

 条文を読んでも、基本書やテキストを読んでいても、なかなか頭に入ってこないです。

 

 組織再編の章はもちろんのこと、株式の章も機関の章も難しいです。

 

 今回は、会社法上の有名論点である株主総会決議取消しの訴えにおいて、他の株主への招集通知漏れがあった場合にこれを取消し事由として主張することができるか?

 

 という問題について少し検討してみたいと思います。

 

 

1 株主総会決議取消しの訴えとは?

 まず、会社法831条1項では、各号に取消事由を規定しています。

 ①株主総会等の招集の手続又は決議の方法が法令若しくは定款に違反し、又は著しく不公正なとき

 ②株主総会の決議の内容が定款に違反するとき。

 ③株主総会の決議について特別の利害関係を有する者が議決権を行使したことによって著しく不当な決議がされたとき

 

 また、株主総会を開催する場合には、取締役は、株主に対して、原則、2週間前までに招集通知を送らなければならないとされています(会社法299条)。

 

 では、株主総会が終わった後に決議取消しの訴えを提起する際に、自分とは直接関係がない他の株主に対して、上記招集通知を送っていなかったことを取消事由として主張することができるのでしょうか?

 

 

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2 判例及び考え方

 この点について、最判昭和42年9月28日は「株主は自己に対する株主総会招集手続きに瑕疵がなくとも、他の株主に対する招集手続に瑕疵のある場合には、決議取消の訴を提起し得る」と判示しました。

 

 この判例の判示については、しっくりこない人もいるか思います。

 

 ざっくり説明します。

 

 この点、決議取消しの訴えって、他の法律と比較してかなり特殊ではあります。

ご存じのとおり行政訴訟の場合、手続き違反は原則、取消事由にならないですよね。その理由は、取消しても手続充足すれば行政処分ができるので、意味ないからです。

 

 ただ、会社法では、上記のとおり、①及び③のとおり、手続の違反を取消事由として規定しています。

 

 その趣旨は、株主総会は株式会社の最高の意思決定機関であり、同機関における意思決定プロセスを担保する点にあります。

 簡単にいうと、手続違反が取消事由にならなかった場合、取締役は手続き守らなくても、総会決議取消されないので、法令自体守らなくなり、引いては、会社の最高意思決定機関の決定プロセスが阻害され、その結果、株主が害されてしまうので、これを防止しようということです。

 

 そのような理由から、会社法では手続違反についても取消事由として規定しました。

 

 この点、他の株主への招集通知漏れについては、提訴する株主からすると一見自身と関係がないように見えますが、株主総会全体で見たときに、公正な決議が妨げられたという意味では、提訴する株主も関係があります。

 

 また、そもそも、上記訴訟自体が株主の共同意思の実現のためにやるという性質もあることに鑑みると、取消事由として主張できるというのは妥当な結論だと言えます。

 

3 最後に

 以上のように検討してきましたが、自分自身と直接関係がない手続違反について、いかなる事由であっても当然主張することができるかというと何とも言えません。

 

 また、手続違反については、取消事由とはなるとはなりますが、裁量棄却される(会社法831条2項)可能性が高いです。

 

 したがって、現実問題として、取消事由を理由に決議取消し訴訟をやる実益がある場合は限られますので、提訴する前にしっかり考えることが大切です。

 

 裁量棄却については、また別の機会に検討してみたいと思います。

 

 

 

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刑事訴訟法256条3項 訴因の特定について

 

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 刑事訴訟法の公判手続きって難しいですよね。刑事訴訟手続き自体あまり馴染みがなく、どのようなものであるかイメージが湧きにくいかと思います。

 

 そこで、今回は、公判手続きの中でも最初に出てくる、訴因の特定について少し検討してみたいと思います。

 

1 訴因とは?

 まず、訴因とは何でしょうか?

 訴因とは、刑事訴訟における審判対象となる具体的な犯罪事実を言います。

 

 そもそも、刑事訴訟手続きは、ある特定の人物が罪を犯したか否かを判断する手続きです。そのため、特定の人物がどのような犯罪を行ったのかを起訴状に記載し、これにつき裁判所が判断をするため、訴因は、上記の定義となります。

 

 また、上記の理由から、訴因は、裁判所に対して、審判対象を示すという機能があります。他方、訴因が設定されると、被告人からすれば、自分が犯したとされる罪の内容が明確となり、これに対して防御をすれば良いということになるため、第2次的に被告人の防御対象を示すという機能もあります。

 

2 刑事訴訟法256条3項の訴因の特定とは?

 まず、刑事訴訟256条3項は、以下のとおり規定しています。

 

 「公訴事実は、訴因を明示してこれを記載しなければならない。訴因を明示するには、できる限り日時、場所及び方法を以て罪となるべき事実を特定してこれをしなければならない。」

 

 上記条文は、訴因の明示及び特定について定めたものです。

 

 この点、上述した訴因の機能からすれば、公訴事実に訴因を明示して、できる限り日時、場所及び方法等で特定しないさいといのは、当然の帰結であると言えます。

 

 

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3 「できる限り」の意味とは?

 裁判例等では、具体的な捜査状況等を考慮し、「できる限り」特定されていればよく、ある程度幅広、日時、場所及び方法を公訴事実に記載することも認められています(最判昭和56年4月25日等参照)。

 

 では、刑事訴訟法256条3項違反する場合とはどのような場合でしょうか?

 

 この問題については、2つの視点から分析することが大切です。

すなわち、そもそも、訴因として、「明示」されているのか?という視点と、明示されているとして特定ができているのか?という視点です。

 

 例えば、●●公園でAが死体で発見されたとします。その後、捜査上浮上したBが犯人であると捜査機関が判断し、Bを殺人罪の被告人として起訴したとします。

 この場合、「Bが、何らかの器具を使用して、Aを殴打し、死亡さた」と公訴事実に記載していた場合、2つの問題があります。

 

 すなわち、上記公訴事実の内容だけだと、傷害致死罪であるのか殺人罪であるのか判別できません。すなわち、「殺意があった」事実についての訴因の明示がないこととなります。

 したがって、この観点からは、訴因の明示がないという理由により刑事訴訟法256条3項に違反することになります。

 

 また、上記公訴事実は、「日時、場所」について記載していませんし、方法についても、「何らかの器具を使用して、Aを殴打し」としか記載されていません。

 

 この記載部分については、「日時、場所及び方法」ができる限り特定されていないと判断され、刑事訴訟法256条3項に違反する可能性があります。

 

 もっとも、あくまでも日時、場所及び方法は、具体的な捜査状況を考慮し、できる限り特定されていれば良いので、前記記載が直ちに、刑事訴訟法256条3項に違反するとまでは言えませんが、通常、日時については例えば、「令和●年12月1日から同月15日までの間に」等、幅を設けた上で記載され、かつ場所につても「東京都●区から区において」においてと、これも幅を設けた上で記載されることが多いです。

 

 したがって、誇張していうならば、記載があればできる限り特定しているとされ、刑事訴訟法256条3項に違反しないと判断される可能性が高いです(もっとも、覚せい剤自己使用罪等が公訴事実となっており、1回の使用のみが起訴されているものの、使用を複数回行っていた場合には、別途考慮が必要となります。)

 

4 最後に

 訴因は、公判手続きの一番最初に勉強する部分ですが、あまりイメージが湧かず、理解をするのが大変だと思います。

そのような場合は、判例の事案等を読んでみると学習が進むと思います。

 

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