5分で読める法律の豆知識

テレビや新聞などで政治から芸能スキャンダルまで幅広いニュースを見ます。しかし、法律のことについて詳しく書かれたものはあまりみません。なので自分で勉強してみました。個人的に面白いと思ったものだけ書くのであまり網羅性はありません。なので暇つぶし程度に読んでいただければ幸いです。

内縁の妻と生活して20年経ちました。正妻と離婚できますか?(有責配偶者から離婚請求)

 たまに聞くケースですが、20代の時に不倫をして妻と別居し、不倫相手と生活を始めて20年近く経ってしまったというケースです。この場合、かつて不倫相手であった相手は内縁の妻ではあるが、周囲からは正妻だと思われているというケースもありますよね。ところが、内縁の妻には相続権がありません。また、法律上の妻と離婚しない限り、重婚になってしまうため、内縁の妻とも結婚することができません。そこで、今回は、自分がかつて不倫をしてしまったものの20年近く経った場合に、離婚をする方法を検討してみたいと思います。

 

ちなみに、内縁の妻の権利は以下の記事を参照してください。

www.houritunomametaro.com

 

 離婚の方法

 離婚をする方法には、三つの方法があります。それは、協議離婚(離婚届を提出する方法

)、調停・審判離婚(裁判所の非公開の部屋で行う方法)、裁判離婚(公開の法廷で行う方法)です。協議離婚及び調停は当事者間の合意が必要です。審判離婚には合意は必要ではありませんが、一方の当事者に不服がある場合には異議申し立てにより裁判離婚へと移行します。

 

(詳しくは、「離婚したい!でも夫が応じてくれない。離婚するための法律上の制度」を参照して頂ければ幸いです。)

 

houritunomametaro.hatenablog.com

 そのため、問題となるケースは裁判離婚です。今回は不倫をした当事者(有責配偶者)から、離婚を申し立てた場合に認容されるかについて検討していきたいと思います。

 

 裁判離婚の認容要件

 裁判離婚で離婚が認められるための要件(離婚事由)は、民法770条1項に掲載されています。

民法770条は1号「配偶者に不貞な行為があったとき」

       2号「配偶者から悪意で遺棄されたとき」

       3号「配偶者の三年以上明らかでないとき」

       4号「配偶者が強度の精神病にかかり、回復の見込みがないとき」

       5号「その他婚姻を継続し難い重大な事由があるとき」

と定められていますが、多くの場合は、1号又は5号に当たります。

 

 有責配偶者の離婚請求

 不倫をした有責配偶者が裁判離婚を請求した場合には、どのようになるのでしょうか。形式的には、不倫をしている以上、1号の「配偶者に不貞な行為があったとき」にあたりそうですよね。または、婚姻関係を継続できないとして、5号の「その他婚姻を継続しがたい重大な事由があるとき」に当たりそうです。

 

 しかし、ここでは、不倫をした配偶者は離婚がしたくて、不倫をされた配偶者は離婚をしたくないということが前提にあります。それにもかかわらず、不倫をした配偶者が「私!不倫しました。なので、770条1号あるは5号の事由に該当し離婚できますよね。だから、早く離婚させて下さい!」と主張して、裁判所が「はい!そうですね!」と言って、すぐにその主張を認めてしまうと、裁判所に対する国民の信頼は地に落ちます。

 

 そこで、裁判所は一昔前、一切離婚を認めていませんでした。有名な判決として踏んだり蹴ったり判決(最判昭和27年2月19日民集6・2・110)というのもがあります。

 

 簡単に説明すると、この昭和27年の時代のころは、妻が家で専業主婦をしていることが多かったです。そのため、経済的収入は夫に依存している状況でした。そのような中で、夫が不倫をして裁判離婚を認めてしまうと、妻は不倫された挙句、家まで追い出され正に踏んだり蹴ったりであり、そのような不正義を認めることはできないとして、有責配偶者からの離婚請求を棄却していました。

 

 現在は?

 このように昔の判例は価値観的には今でも共感できるのですが、時代の変化と共に判例の内容も徐々に変化してきました。その背景には二つの事柄があります。一つ目は、女性の社会進出です。近年特にそうですが、女性が社会の中で結婚後も働くケースが増えました。また、専業主婦であっても就労しようと思えば就労できる環境が社会の中で整いつつあります。そのため、夫に経済的収入を現在依存している、あるいは将来にわたって依存しなくてはいけないケースが減っています。

 

 二つ目は、破綻主義が強くなったことです。離婚を認めるか否かという判断をする上で、婚姻関係が破綻していることを重んじる考え方があります。これがいわゆる破綻主義です。

 

 一昔前ならば、結婚した以上最後まで添い遂げるべきという価値判断が強かったのですが、最近は婚姻関係が破綻しているのに夫婦であることを強要するのは本人の権利を害し、あまり意味のないことなので、離婚を認めるべきではないかという意見が強いです。そのため、婚姻関係が破綻していれば、離婚を認めるべき方向性で判断されます。

 

 では、具体的にはどのように判断されるのでしょうか。原則は、今でも離婚は認められていません。ある種の不倫をした配偶者への制裁的な要素もありますが、裁判所が不正義に加担したくないというのが本音かもしれません。しかし、当然例外もあります。その要件として、裁判例が蓄積されていますが、主な要素は三つあります。

 

 一つ目は、別居して期間が長いことです。大体の裁判例では10年程度が目安になります。二つ目は、養育を必要とする未成年の子供がいないことです。この要件は、不倫をした配偶者が夫であれば父親としての役目を極力果たさせようとするためのものです。三つ目は、離婚によって他方の配偶者が苛酷な状況に置かれないことです。この要件は、離婚した場合の妻の経済的状況への配慮をするものです。

 以上の要件を満たした場合には他に特段の事情がなければ、離婚をすることができます。

 

 冒頭に戻りますが、不倫した後別居して20年経った場合には、別居期間の要件を満たします。また、20年経っていれば通常養育を必要とする子供はいないと思います。また、20年経っていれば、法律上の妻も独立して家計を維持していること多いです。

 よって、20年経っていれば高い可能性で、裁判離婚をすることができます。