5分で読める法律の豆知識

テレビや新聞などで政治から芸能スキャンダルまで幅広いニュースを見ます。しかし、法律のことについて詳しく書かれたものはあまりみません。なので自分で勉強してみました。個人的に面白いと思ったものだけ書くのであまり網羅性はありません。なので暇つぶし程度に読んでいただければ幸いです。

実は抜け道がある?無銭飲食の法の抜け穴

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 無銭飲食ってよく聞く言葉ですが、実際に無銭飲食をした場合刑法上どのような罪に問われるのでしょうか。気になったので調べてみました。すると、詐欺罪に該当する可能性があるということが分かったのですが、法律の抜け穴がありました

 

 無銭飲食って何?

 無銭飲食とは、飲食店で商品やサービスの提供を受けたにもかかわらず、その対価となる金銭を不法に支払わないことです。常識的に考えても悪い行為ということは明らかですが、刑法上は詐欺罪に当たる可能性があります。

 

 ですが、その構造は複雑なので少し検討したいと思います。

 

 刑法上の罪!詐欺罪

 そもそも、詐欺罪は、刑法246条に規定されています。まず1項では、「人を欺いて財物を交付させた者は、十年以下の懲役に処する」と書かれています。2項では、「前項の方法により、財産上不法の利益を得、又は他人にこれをさせた者も、同項と同様とする」と書かれています。

 

これだけみると何をいっているのかよく分りませんよね。なので、少し詳しく説明します。

 

 そもそも、人にウソをついただけでは詐欺罪は成立しません。ウソをついたことによって詐欺師が経済的な物や利益を得て初めて犯罪として成立します(未遂は除きます)。

 

 1項と2項の違いは、客体が異なることにあります。1項では、財物が客体とされ、2項では、利益が客体とされます。

 

 簡単に言うと、①人をだます行為をして(詐欺行為)、②相手がだまされて(錯誤)、③それにより財物等を交付して(処分行為)、④それにより詐欺師が取得すれば(因果関係)、晴れて詐欺罪が完成することになります。

 

 無銭飲食の場合

 無銭飲食の場合には三つのパターンに分けて考えることが大切です。一つ目は、最初からお金を払う意思がないにもかかわらず、注文した場合です。この場合は、注文をする行為自体が、上記①の詐欺行為になり、店はお金を払ってくれると誤信するので、②の錯誤に当たります。そして、「お待たせしました」と言って料理を持って来れば、③の処分行為に当たります。ご飯を食べれば④因果関係を満たし、1項詐欺罪が完成します。

 

 二つ目のパターンは、最初は支払う意思があったのですがご飯を食べ終わった後にウソを言って支払いを免れた場合です。例えば、外で少し電話してくるなどと言って、そのまま逃げてしまった場合です。この場合、最初の注文の時点では支払意思があるので、注文行為自体は詐欺行為になりません。しかし、電話をしてくる等のウソを言う行為が、①詐欺行為に当たります。また、お店はまた戻ってきて代金を支払ってくれると誤信しているため、②の錯誤に当たります。もっとも、店外というすぐに逃げられる状況に行くことを許容してしまっているため、③処分行為に当たります。そして、そのまま犯人が逃げてしまえば、代金支払い債務を一時免れるため、不法に利益を取得しており、④因果関係があるということになります。

 よって、二つ目のパターンの場合には、2項詐欺罪が完成します。

 

 では、三つ目のパターンとして、最初は支払意思があったのですが、食べ終わった後に払う気がなくなり、そのまま逃亡した場合はどうでしょうか。実はこの場合、詐欺罪は成立しません。少しびっくりするかもしれませんが、この場合、詐欺行為がないのです。

 詳説すると、一つ目のパターンは最初から支払意思がないため、注文行為が詐欺行為になります。二つ目のパターンでは、電話してくるなどのウソを言う行為が詐欺行為に当たります。しかし、三つ目のパターンでは、最初の注文時には支払意思があるので、注文行為自体は詐欺行為に当たりません。また、逃走もお店を錯誤に陥れているわけではないので、詐欺行為当たりません。

 

 したがって、三つ目のパターンでは、詐欺行為がなく詐欺罪は成立しません。

 

 でも実際は?

 このように三つ目のパターンに詐欺罪は成立しないので、法律の抜け穴と言えば抜け穴になります。しかし、実際このようなケースは稀です。そもそも、無銭飲食をする人は最初から支払意思がないことが多いので、90%は一つ目のパターンに該当します。また、残りの無銭飲食をする人も、お店にウソを言って店外に出るケースが多いので、二つ目のパターンに該当します。

 

 なので、実際に三つ目のパターンになるのはほんの数%ということになると思います。

 

 また、この記事を見て無銭飲食をしても大丈夫と思って行うと詐欺罪が成立します。というのもこの記事を注文前に見ていて無銭飲食して逃亡しようよ思って注文をする行為自体が、詐欺行為となり、一つ目のパターンに該当してしまうからです。

 

 加えて、民事上の支払義務は当然あるので逃げても店に代金を支払わなくてはいけないことに変わりはありません。加えて、逃走中に追跡した店員を暴行すると程度によっては、強盗罪(刑法236条2項)に該当するので、詐欺罪よりも罪が重いです。

 

 このように無銭飲食には三つのパターンがあることがわかりました。ニュースなどで無銭飲食の事件が報道されたら是非どのパターンに該当するか考えてみて下さい。

 

ちょっと進んで

 この記事を読んでいる人で、司法試験や国家公務員試験などを受験しており、2項詐欺の処分意思がよく分らないという人がいるかもしれません。この記事は、あまり専門的すぎる事は扱わないのですが、ここは多くの人が良くつまずくポイントですよね。なので、基本的な視点を教えます。

 

 それは、「自己の支配領域外への持ち出しを許容したかどうか」及び「支払を免除する意思を有しているか否か」です。例えば、上記二つ目のパターンの場合は、店外なのでお店としては自己の支配領域外へ出ることを許容しており、また支払いを免除する意思を有していまんせん。ゆえに、処分意思を認定できます。