5分で読める法律の豆知識

テレビや新聞などで政治から芸能スキャンダルまで幅広いニュースを見ます。しかし、法律のことについて詳しく書かれたものはあまりみません。なので自分で勉強してみました。個人的に面白いと思ったものだけ書くのであまり網羅性はありません。なので暇つぶし程度に読んでいただければ幸いです。

不法行為の損害と生存の可能性

 

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1 晴天の霹靂

 例えば、家族や大切な人が余命宣告をされたら、どのように思うでしょうか。正直想像もできないくらい悲しいですよね。それ自体を受け入るのに時間がかかりますが、それでも今生きているその人との時間を大切にしたい。非常に複雑な気持ちになりますよね。

 

 そのような中で、毎日お見舞いに行って、大切な人を勇気付けたり、それでも治療で苦しむその人の姿を見ていると辛くて、いたたまれない気持ちになるかもしれません。

 しかし、そのような入院中に医師の過失で、大切な人が死亡してしまったらどう思うでしょうか?

 

 余命が宣告され、近い将来に確実に亡くなることが予想されている場合でも、それでも納得できないですよね。

 そこで、今回は、余命宣告や不治の病で将来亡くなることが予想される状況下で、医師の過失により無くなってしまった場合に、不法行為が成立するか検討してみたいと思います。

 

 2 最判平成12年9月22日民集54巻7号2574頁

 この点について、最判平成12年9月22日民臭54巻7号2574頁は以下のように判示しました。

 

 まず、病気で亡くなった患者の治療をした医師の医療行為が、過失で、当時の医療水準にあったものではなかった場合に「右医療行為と患者の死亡との間の因果関係の存在は証明されないけれども、医療水準にかなった医療が行われていたならば患者がその死亡の時点においてなお生存していた相当程度の可能性の存在が証明されているときは、医師は、患者に対し、不法行為による損害を賠償する責任を負うものと解するのが相当である。けだし、生命を維持することは人にとって最も基本的な利益であって、右の可能性は法によって保護されるべき利益であり、医師が過失により医療水準にかなった医療を行わないことによって患者の法益が侵害されたものということができるからである。」と判示しています。

 

 当該最判は、適切な医療行為を行ったならば、死亡した時点で患者が生きている相当程度の可能性があれば良いとしているので、当該立証ができたならば、不法行為が成立することになります。

 

 そのため、患者の遺族は、患者が取得した不法行為に基づく損害賠償請求権を相続により承継し、医師あるいは病院に対して、損害賠償請求をすることができます。

* 補足

 なお、通常、病院との間で診療契約を結ぶことも多いので、不法行為ではなく債務不履行に基づいて損害賠償請求をする構成もあり得ます。

 

 

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 3 でもこれって当たり前では?

 同判決は、新しい因果関係の認定ないしは立証方法を示した画期的な判決であるとも思えます。しかし、そもそも、人はいつか必ず死にます。この命題は現状絶対的なものです。

 

 人の死がある程度予見できたとしても、そのことについて格別な差異はありません。

子供が不運にも突発的な交通事故で亡くなってしまった場合でも、非常に当たり前ですが、交通事故がなければ、死亡の時点でその子が生きていた可能性が高いです。

 

 他方、90歳の末期がんの人で余命半年の宣告を受けた場合に、その人が医師の過失で1週間後に亡くなったとしても、当然医師の過失行為がなければ、1週間後の時点で生きていた可能性は高いです。

 

 人は死ぬという絶対的な命題の下、人が生命を維持する法益を持っていることは変わりません。そうだとするよ、交通事故の子供と末期がんの90歳の人で、違いがあるとすることは違和感があります。そうだとすると、最判は、ある意味、当然のことを判示したとも読めると思います。

 

 

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債務不履行における医師の過失。要求される医療水準とは?

 

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1 医療過誤発生

 医療事件は訴訟の中でも難しいと言われますが、患者からしたらそんなことはどうでもいいですよね。正直、「医師は医療のスペシャリストである以上、失敗はしないのが当たり前」というような感覚があると思います。医者の医療ミスで病気が悪化したり、病気が治るのが遅くなったりした場合、それに見合った損害賠償をして欲しいと思うのが当然の感情だと思います。

 

 しかし、医療は日々進化しています。そのような医療技術の中で、リスクがある治療を時として選ばなくてはならず、それを選択したがために、病気が悪化したとしても、損害賠償をされなくてもやむを得ない場面もあり得るかもしれません。

 

 他方、何十年も前から当たり前にある医療行為、例えば、採血などをする場合で血管を傷つけてしまい麻痺が残ったようなケースでは、損害賠償されてしかるべきだと考える方が多いと思います。

 

 では、このような医療ミスの判断はどのように行われるのでしょうか。今回は、医療ミスの判断基準を少し考えてみたいと思います。

 

 

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 2 医療ミスの基本的な判例

 まず、治療などを受ける場合、通常病院との間で契約を締結します。この契約に基づいて、医師が負うことになる債務とは、最善を尽くす義務です。つまり、医師は、病気を治す義務ではなく、あくまでも最善を尽くす義務しか負わないのです。そのため、病気が治らなかったことだけを以て、医師の債務不履行とすることはできません。

 ではどのような場合に債務不履行となるのでしょうか。

 

 この点、最判平成7年6月9日民集49巻6号1499頁が判示しています。

まず、医師の過失の基準とし「診療当時のいわゆる臨床医学の実践における医療水準である。」と述べました。

 

その上で、「専門的研究者の間でその有効性と安全性が是認された新規の治療法が普及するには一定の時間を要し、医療機関の性格、その所在する地域の医療環境の特性、医師の専門分野等によってその普及に要する時間に差異があり、その知見の普及に要する時間と実施のための技術・設備等の普及に要する時間との間にも差異がある」と述べています。

 

 そして、「ある新規の治療法の存在を前提にして検査・診断・治療等に当たることが診療契約に基づき医療機関に要求される医療水準であるかどうか決するについては、当該医療機関の性格、所在地域の医療環境の特性等の諸般の事情を考慮すべき」であるとしています。

 

さらに続けて、すべての医療機関の医療水準を同一に考えることはできず、「新規の治療法に関する知見が当該医療機関と類似の特性を備えた医療機関に相当程度普及しており、当該医療機関において右知見を有することを期待することが相当と認められる場合には、特段の事情が存しない限り、右知見は右医療機関にとっての医療水準である」。と判示しました。

 

その上で、「当該医療機関としてはその履行補助者である医師等に右知見を獲得させておくべきであって、仮に、履行補助者である医師等が右知見を有しないかったために、右医療機関が右治療法を実施せず、又は実施可能な他の医療機関に転医をさせるなど適切な措置を採らなかったために患者に損害を与える場合には、当該医療機関は、診療契約に基づく債務不履行責任を負う」と判示しました。

 

 3 医療の地方格差の容認回避

 注意が必要なのは、この判例を基準に考えると例えば、山奥の診療所と都会の最先端を扱う大学病院では求められる水準に差異が生じるといことです。この例で差異が起きるのはやむを得ないとは思います。

 

 しかし、この論理を拡大していくと、地方と都会で医療を受けた場合の医療水準の格差を容認するような方向にもなりかねません。そのため、過度に地域格差を強調すべきではなく、原則的には、医療水準は全国一律に解釈しつつ、例外的に、個別事情を取り込んでいくような運用が望ましいと思います。 

 

 

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民事訴訟法の弁輪主義!概観。

 

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   例えば、お金を貸したけど返ってこない。マンションを貸したのに賃料を払ってくれない。はたまた、物を売ったのに代金を払ってくれない。そのようなトラブルに巻き込まれた経験のある人って意外に多いですよね。

 

 そのような場合に、話をして返してくれたり、払ってくれるなら問題はありません。むしろ、それならトラブル自体発生していないって感じですよね。しかし、残念ながら、話して分かってくれる人ばかりではないのが現実です。

 そのため、弁護士に依頼して、内容証明郵便等を送り、「払ってくれないと残念ながら、法的手段に出ます。」的な文言を付して、弁済を促すことが多いです。

 

 しかし、往生際が悪く、それでも払ってくれない人もいます。この場合、仕方がないので訴訟を提起するしかありません。

 

 このような流れで、裁判が始まることが多いと思います。

 

では、裁判を起こすとして、民事訴訟ではどのようなルールがあるのでしょか。今回は、最も基本的なルールである弁論主義について少し考えていきたいと思います。

 

 1  弁論主義とは?

 弁論主義とは、事実の主張及び証拠の提出を当事者の権能かつ責任とする主義を言います。これだけ聞いてもよく分からないですよね。

 

 そもそも、民事訴訟というものは、現在の権利や法律関係の有無を判断し、当該権利の確定を目的した制度です。そして、ここでの権利や法律関係というものは、当事者の意思によって形成されてきたものであり、かつ、当該権利等が確定されると利益を受けるのも当事者です。

 

 つまり、当事者というのは、民事訴訟の対象である権利等について、最もよく知っているので、例えば、売買契約に基づいて代金の支払いを請求する訴訟を考えてみると、「平成29年5月2日、甲さんとの間で本件土地を5000万円で売る約束をしました」。「ほら、その証拠に売買契約書があるでしょ。」とうような具合に、事実をよく知っていて、なおかつその事実を明らかにする証拠を持っているのが当事者です。裁判所は、そのような事実の主張や証拠を当事者が出さない限り知る由もありません。だから、事実の主張及び証拠提出を当事者の権能かつ責任とする主義を採用しました。名前の割に全く難しい話ではありませんね。

 

 

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 2  弁論主義のテーゼ

 では、弁論主義の具体的な中身としては、どのような原則があるのでしょうか。ここでは、一般的に3つの原則があると言われています。これを弁論主義のテーゼと言います。

 

 まず、弁論主義の第1テーゼは、裁判所は当事者が主張していない事実を判断の基礎にしてはいけないという原則です(主張原則)。

 

 例えば、マンションの賃貸借契約終了に基づいてマンションの明け渡し請求をする訴訟を考えてみます。甲が「乙は賃料を1年間払っていない債務不履行がある。解除通知も送ったから、契約はこれに基づいて解除している。」と主張し、他方、乙は、「いやいや甲が受け取らなかっただけで、毎回賃料を持っていっていたよ。」とか主張しているとします。この場合裁判所がいきなり「賃貸借契約は、期間が満了しているので終了しています。」とか認定することできないわけです。凄く当たり前ですよね。これが、弁論主義の第1テーゼのイメージです。

 

 次に、弁論主義の第2テーゼですが、これは、裁判所は、当事者間で争いのない事実は、そのまま判断の基礎にしなければならないという原則です(自白法則)。

 

 例えば、AさんとBさんの間で売買契約に基づく代金支払い請求訴訟が係属していたとします。この場合、Aさんは「Bさんに5000万円で売ったんだ」と主張し、他方、Bさんは「いや代金額は3000万円だった」と主張して、代金額を争っていたとしても、売買契約の成立自体は両当事者の間で認めていたとします。この場合、例えば、裁判所が売買契約が成立していることをそのまま認定することになります。これが弁論主義の第2テーゼです。

 

 最後に、弁論主義の第3テーゼですが、これは、裁判所は、判断をする際に当事者の申し出た証拠のみによらなければならないという原則です(職権証拠調べの禁止)。

 

 例えば、甲を売主、乙を買主とする土地売買契約の成否が争われていて、売買契約書が甲から提出されていたとします。この場合に、裁判所が勝手に法務局から登記事項証明書とかをとりよせて、これを勝手に証拠として使用してはいけませんという原則です。これも内容的にはさほど難しい原則ではありませんね。

 

 3  注意が必要なこと

 裁判を起こせば裁判官が真実を見抜き、「納得のいく判決を出してくれる」と思っている人も多いです。

 

 しかし、裁判官は公平な立場から判断をする必要があるため、弁論主義の枠外で、当事者に断りなく、勝手に証拠を集めたり、当事者が主張していない事実を勝手に「なぞは解けた。これが真実だ」などと言って、事実を認定することがそもそもできません。そのため、裁判官だからなんでも分かってくれるだろうとするのは、構造的に難しいです。自分で一生懸命やるか、弁護士に依頼して、しっかりと裁判官を説得し、自分の権利を実現する努力をすることがとても大切です。

 

 

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「被疑者確保!!」刑事訴訟法の捜査とは?

 

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1 テレビなどを見ていて

 テレビドラマやドキュメンタリー番組で、警察官が「被疑者確保!!」とか、「ガサ入れだ!!」とか言いながら、被疑者の住居などに押し入って、色々と探したりやばい物が出てきたら押さえたりと、そういう場面ってよく見ますよね。

 でもその前に、そもそもこれって何をしているのでしょうか。

 今回は、警察官等が行う捜査について概観していきたいと思います。

 

2 捜査とは何か

 そもそも、捜査とは、捜査機関が公訴提起ないしは公訴維持のために、被疑者の身柄を確保したり、資料を収集する活動を言います。

 

 すごく当たり前のことのように思いますが、公訴提起ないしは公訴維持に向けられ活動のため、職務質問(警職法第2条1項)などの行政警察活動とは区別されます。

 

 ざっくり、捜査のイメージですが、ある犯罪が発生していることが分かった上で、それがどのような犯罪であり、その犯人が誰なのかを追跡していくことです。他方、職務質問の場合は、そもそも犯罪が発生しているのか否か不明な場合等に、道を歩いている人の中ですでに犯罪をしたかこれからする可能性がありそうな怪しい人などに声を掛けて、質問をするものです。そのため、捜査と職務質問では内容が異なる処分ということになります。

 

 そして、刑事訴訟法第197条1項は「捜査については、その目的を達するため必要な取調べをすることができる。但し、強制の処分は、この法律に特別の定めのある場合でなければ、これをすることができない。」と規定しています。同条項本文は、任意捜査の原則を規定し、ただし書きは、強制処分法定主義を規定しています。

 

 このような難しい単語がでてきましたが、内容はそれほど難しい話ではありません。というのも、捜査といっても、色々な種類があります。最近では、新しい手法でGPSにより位置情報を取得する方法が問題になっていますが、そのような新しい手法が日々捜査機関の努力により生まれています。

 

 また、被疑者の所在を掴むために、聞き込み調査をしたりするのも捜査活動ですよね。このように捜査活動には色々な手法がありますが、これを全部法律で規定して、できるかどうか逐一判断することは困難です。そうだとすると、原則的には、捜査活動は必要がある場合には、捜査機関の判断で行うようにできるようにしよう。これが任意捜査の原則の根本的な発想です。

 

 そうだとしても、人権に対する制限が強い活動もあります。このような活動を捜査機関の判断で行うことができるとすると、人権侵害を助長しかねません。

 そこで、類型的に見て、人権制約の強い活動ができる場合を、事前に法律に定めることとしました。これが強制処分法定主義です。

 

* 令状主義の強制処分法定主義の関係

 なお、令状主義(憲法第35条)と強制処分法定主義を同一のものと考える人もいますが、そもそも、強制処分法定主義は立法の問題であり、令状主義は司法審査の問題なので、機関が異なります。

 強制処分該当性の問題では、強制処分に該当するとした場合に、そもそも、法律上規定されている強制処分なのか(強制処分法定主義違反の審査)をし、強制処分に該当する場合に、令状が発付されているのか(令状主義違反の審査)をすることとなります。

 

 

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 3 捜査の具体的な種類

 では、捜査の根本的な理念はさておき、法律上、「強制の処分」とは、どのような捜査活動が規定されているのでしょうか。

 

 まず、逮捕(刑事訴訟法第209条以下)が規定されています。逮捕とは、強制的に被疑者の身体を拘束し身体の自由を奪う強制処分です。逮捕には、通常逮捕(第209条)、緊急逮捕(第210条)、現行犯逮捕(第212条)の三種類があります。

 

 次に、捜索(刑事訴訟法第102条第222条)が規定されています。捜査とは、人の管理する住居建物等の場所に対して、強制的に立ち入り、証拠物の発見を目的として探索活動を行う強制処分です。いわゆるガサ入れです。捜索の場合には、被処分者の住居に対して行う場合には、住居の平穏などを制約することとなります。

 

 また、差押え(刑事訴訟法第99条第222条)が規定されています。差押えは、人の所有する物を強制的に奪う強制処分です。例えば、覚せい剤自己使用の被疑事実で、住居内を捜索中に、注射器や覚せい剤が発見された場合にこれを強制的に捜査機関が取り上げるのが差押さえのイメージです。

 

 そして、検証(刑事訴訟法第129条第222条)も規定されています。検証は、捜査官が五感の作用により者や人の形状などを把握する処分です。強制的に行う場合には、検証といい、任意に行う場合を実況見分と言います。

 

 最後に、領置(刑事訴訟法第221条)というものもあります。領置は、任意に提出された証拠物等を押収して、これを保管する処分です。提出段階は任意であっても、返還せずに保管継続ができる点で、強制処分としての性質を有します。

 

 以上のような強制処分が法律上規定されています。ところで、逮捕は身体の自由、捜索は住居の平穏、差押えと領置は財産権、検証はプライバシー権を侵害します。

 

 これを踏まえる、最決昭和51年3月16日(刑集30巻2号187頁)で「ここにいう強制手段とは、有形力の行使を伴う手段を意味するものではなく、個人の意思を制圧し、身体、住居、財産等に制約を加えて強制的に捜査目的を実現する行為など、特別の根拠規定がなければ許容することが相当でない手段を意味するもの」と判示しているのは、現行法の強制処分の法益侵害の類型を想定しているものと考えられます。そのため、現行法に規定されている強制処分の内容や程度を基準とし、これとの類似差異を意識しながら強制処分該当性を判断するのも有益なアプローチだと考えられます。

 

 4 捜査って難しいですね

 以上、ざっくり捜査についてみてきましたが、捜査といっても、色々な種類や程度があり非常に難しいですね。しかし、捜査機関から何等かの捜査協力などの依頼がされた場合でも、それに従わなくても良い場合もあり、かつ、あまりにも捜査活動が行きすぎであれば、それについてしっかりと抗議をすることが大切です。

 

 

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覚せい剤取締法違反。強制採尿の仕組み

 

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1 覚せい剤自己使用の場合

 芸能人や著名人が覚せい剤を使用して、有罪になるニュースとかよく見ますよね。このような覚せい剤自己使用の場合、決定的な証拠として尿及びその鑑定結果が挙げられることがよくあります。このような尿は、被疑者が自ら進んで提出する場合や捜査機関の説得に応じて、任意に提出することも多いです。任意提出の場合、あくまでも被疑者の意思に基づいて任意に提出されたものであるため、令状がなくても捜査機関は、提出された尿を押収することができます。

 

 しかし、被疑者が頑なに尿の提出を拒否した場合はどうでしょうか。この場合、通常想定される強制的に尿を採取する方法としては、尿道にカテーテルを入れて尿を体外に排出させる方法があります。このような方法をそもそも行うことができるのか、また行うとした場合にどのような令状が必要なのかが問題となっていました。

 

 

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2 最決昭和55年10月23日刑集34巻5号300頁

 では、どのような令状があれば、捜査機関は、強制採尿を行うことができるのでしょうか。この点、最決昭和55年10月23日刑集34巻5号300頁は以下のように判示しています。

 

 まず、強制採尿は、「身体に対する侵入行為であるとともに屈辱感等の精神的打撃を与える行為であるが、右採尿につき通常用いられるカテーテルを尿道に挿入して尿を採取する方法は、被採取者に対してある程度の肉体的不快感ないし抵抗感を与えるとはいえ、医師等これに習熟した技能者によって適切に行われる限り、身体上ないし健康上格別の障害をもたらす危険性は比較的乏しく、仮に障害を起こすことがあっても軽微なものにすぎないと考えられるし、また、右強制採尿が被疑者に与える屈辱感等の精神的打撃は、検証の方法としての身体検査においても同程度の場合がありうるのであるから、被疑者に対する右のような方法による強制採尿が捜査手続上の強制処分として絶対に許されないとすべき理由」はないとし、

 

「被疑事件の重要性、嫌疑の存在、当該証拠の重要性とその取得の必要性、適当な代替手段の不存在等の事情に照らし、犯罪の捜査上真にやむをえないと認められる場合には、最終的手段として、適切な法律上の手続きを経てこれを行うことも許されてしかるべき」と判示しています。

 

 つまり、簡単に言うと、尿道にカテーテルを入れて強制的に尿を採取すると、確かに、屈辱感等の精神的な打撃はありますが、身体検査における場合と同程度であり、基本的には障害を引き起こすものではありません(起きても軽微にとどまります)。そのため、強制処分としてできる余地があります。といような意味で判示していると考えられます。

 

 では、強制処分はどの類型に当たるとして令状が必要になるのでしょうか。

この点、同最決は以下のように判示しました。

 捜査機関が強制採尿を実施するには「捜索差押令状を必要とすると解するべきである。ただし、右行為は、人権の侵害にわたるおそれがある点では、一般の捜索・差押と異なり、検証の方法としての身体検査と共通の性質を有しているので、身体検査令状に関する刑訴法281条5項が右捜索差押令状に準用されるべきであって、令状の記載要件として、強制採尿は医師をして医学的に相当と認められる方法により行わせなければならない旨の条件の記載が不可欠である」と判示しています。

 

 つまり、尿道にカテーテルを入れて尿を体外に排出させて尿を押収することは、捜索及び差押えとしての性質を有しているので、捜索差押許可状によるべきですが、その場合、人体に対する侵襲を行うので、医師をして医学的に相当と認められる方法により行わせなければならない旨の条件の記載が必要とされました。

 

 

 

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 3 どうでもよい議論?

 このように捜索差押許可状によることが基本的な実務でも定着をしてきています。しかし、同決定がでる前までは、強制採尿がそもそもできるのか否か、できるとしても鑑定処分許可状によるべきであるという説も実際にはありました。

 このような議論は一見どうでもよいように思うのですが、かなり重要で新しい人体侵襲を伴う捜査手法があらわれた場合に、法律上規定されているどのような強制処分であると解し、どのような令状が必要になるのか真剣に考えなければなりません。そのため、強制採尿についてのロジックも、新しい捜査手法が出現した場合に実施することができるのか否かを考えるに当たりとても重要になります。

 

 

 

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勾留中!接見等禁止が付いた場合でも、家族と会いたい。

 

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1 勾留決定がされて接見等禁止が付けられた

 例えば、友人や家族恋人等が、警察に逮捕され、その後勾留されて、警察の留置施設に会いに行ったとします。警察から逮捕の経緯を告げられ、「そんなまさか」と驚愕しつつも、大切な人のことを想って、嫌な気持ちを押さえつつ、警察署に行きます。意を決して「○○に会いに来ました」と言いました。しかし、「接禁付いているので、無理ですね」なんて事を言われてしまうかもしれません。

 今回は、「接禁」すなわち、接見等禁止とは何か、またどのように対処するべきかざっくり考えてみたいと思います。

 

 2 接見等禁止の内容

 まず、被疑者段階の接見等禁止は、刑事訴訟法第81条・第207条1項に規定されています。

 刑事訴訟法第81条は「裁判所は、逃亡し又は罪証を隠滅するに疑うに足りる相当な理由があるときは、検察官の請求により又は職権で、勾留されている被告人と第三十九条第一項に規定する者以外の者との接見を禁じ、又はこれと授受すべき書類その他の物を検閲し、その授受を禁じ、若しくはこれを差し押えることができる。但し、糧食の授受を禁じ、又はこれを差し押えることはできない」と規定しています。また、刑事訴訟法第207条1項「前三条の規定による勾留の請求を受けた裁判官は、その処分に関し裁判所又は裁判長と同一の権限を有する。但し、保釈については、この限りでない。」と規定しています。

 

 そもそも、原則、刑事訴訟法は、被疑者が弁護人以外の者と接見をすることができるとしています。しかし、一定の事由がある場合に、被疑者が弁護人以外の者と接見することを禁止したり、家族や友人が物を差し入れたりすることを禁止しています。

  

 被疑者というと、罪を犯した人というイメージがありますよね。しかし、被疑者はあくまでも疑いがある人に過ぎず、裁判所が有罪判決を言い渡すまでは、罪を犯していないだろうと推定されることになります。これが前提です。

 

 そのため、被疑者は、勾留はされているものの原則、社会で暮らす一般の人と同じであり、家族や友人と好きな時に話ができる。あるいはこれに近い状況が保障されて当然という事が、根本的な発想にあります。

 

 そうだとすると、接見等禁止は被疑者が家族や友人と会ったり、自分の必要な物を受け取ったりすることを禁止する処分と言えます。そのため、被疑者に与える不利益はとても甚大であると言えます。

 では、どのような場合に接見等禁止が付されるのでしょうか。

 

 

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 3 接見等禁止の要件

 先ほど見た、刑事訴訟法第81条は、接見等禁止ができる要件として「逃亡し又は罪証を隠滅するに疑うに足りる相当な理由があるとき」を挙げています。ここで、重要なのは、接見等禁止をする場合、既に勾留されているため、「逃亡」については、実際にほとんど問題になりません。当然例外的な場合はあるにせよ、ほとんどのケースでは、「罪証を隠滅するに疑うに足りる相当な理由があるとき」という点が、接見等禁止をするかしないかのメルクマールになります。

 

 ここで、基本的な考え方としては、客観的な状況からみて、どのような証拠が想定でき、その証拠を隠滅したりすることが具体的に可能であるか、容易であるか、また、被疑者がそのような意思を有しているか否かという点が重要になります。

 

 例えば、住居侵入窃盗の被疑事実で勾留をされているとします。この場合、被疑者は一人でマンションに住んでいましたが、親や兄弟が被疑者の家の合鍵を持っていて、いつでも出入りすることができる状況にあるとします。この場合、被疑者の家に対するガサ入れが未だ終了していない場合ですと、被疑者が親や兄弟を使って、自分の家に行ってもらい、盗品を処分してほしい旨の指示を出す可能性があり、盗品を処分することが容易です。さらに、被疑者が、被疑事実につき否認しているというようなケースでは、「罪証を隠滅するに足りる相当な理由があるとき」に当たると判断される可能性が相当程度あるように思います。

 

 4 対処の方法

 実際に接見等禁止がされた場合には、準抗告を申し立てたり、全部あるいは一部解除の申立てをし、接見等禁止を解いてもらう方法が考えられます。ここで接見禁止ではなく、接見等禁止という言葉を使ってきましたが、そもそも、接見等禁止は、人と会う接見と物の受け渡しを禁止する処分を言います。

 

 そのため、全部解除の申立てを行う場合には全部と明記し、他方、一部解除の申し立てを行う場合には、親、友人、兄弟、だれとの接見禁止を解除をして欲しいのか、また、物の受け渡しについても解除を求めているのか、明記することが重要です。

 

 5 諦めないことが大切

 そもそも、被疑者というのは罪を犯した疑いがあるだけで、犯罪者であると確定したわけでは全くありません。特に冤罪事件では身に覚えのない罪により逮捕勾留をされることになります。そのような人が、逮捕勾留により味わう屈辱感は筆舌に語りがたいものがあります。ましてや、自分の家族や大切な人と会うこともできないとなると、精神的な苦痛は甚大です。接見等禁止がされたとしても、諦めずにしっかりと適切な対応をすることが大切です。

 

 

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逮捕されたら。それからどうなるの?刑訴法!逮捕の話

 

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1 日々のニュースを見ていると

 「○○容疑者が、昨日××で逮捕されました。」というようなニュースをよくみますよね。毎日このようなニュースがあるような気がして、普段は聞き流している方も多いと思います。しかし、そもそも、「〇〇容疑者」は逮捕されたら一体全体どうなってしまうのでしょうか。

 

 そこで、今回は、実際に逮捕された場合に、容疑者(法律上の用語では被疑者と言います。)はどうなってしまうのか、考えてみたいと思います。

 

2 逮捕されたら

 まず、映画などで、警察官が被疑者の住居に押し入り、逮捕状を示して、「分かっているな。もう調べはついているんだ。一緒にこい。」とか言いながら、手錠をかけるシーンありますよね。この警察官がやっている逮捕を通常逮捕(刑訴法第199条)と言います。

 

 この場合、警察官は被疑者に対して逮捕の被疑事実についてやったかやっていないか等を含めて弁解の機会を与えて、弁護人を選任することができる旨を説明することが義務付けられています(刑訴法第203条1項)。

 

 警察官は被疑者を逮捕した後、警察署内にある留置施設に連行をします。通常逮捕の場合、検察官ではなく警察官が行うことが多いです。この場合、警察官は48時間以内に被疑者を検察官に引致します。検察官は一致された後に24時間以内に被疑者の弁解を聞きつつ勾留するか否かを決定することになります(刑訴法第203条第1項、第205条第1項)。

 

3 勾留されたら

 検察官が勾留をしようと思った場合、裁判官に勾留請求をします(刑訴法第205条第1項)。被疑者は、約3日間、警察署の中にある留置施設で過ごして、3日目に裁判所に一度行きます。裁判所では、裁判官により勾留質問が行われます(刑訴法第61条)。勾留質問では、被疑者を勾留するか否かを被疑者の意見を聞いて裁判官が決定することになります。質問では、自分が犯罪を行ったとされる被疑事実について、意見があるか否かというようなことが聞かれます。その際に、例えば、警察官から留置施設で暴力を振るわれたとか、何か留置施設内で問題がある場合には、裁判官に話して改善してもらうように掛け合うのも大切なことです。

 

 その上で、勾留決定がされた場合、原則10日間勾留がなされ、延長がある場合には通常の場合、さらに最長10日間延長がされます(刑訴法第208条第1項第2項)(厳密には再延長があり得るのですが、ほとんど実務上はありません)。

つまり、逮捕勾留で合計23日間警察署の留置施設で寝たり起きたりご飯を食べたり歯を磨いたりすることになります。

 

 この際に、接見等禁止処分というものが付されると、弁護人以外の外部の人が接見したり、物を差し入れたりすることができないことになります。

* 意外に知らないこと

 よく逮捕や勾留されているときに、「保釈されるからすぐに出てこれるよ」などという人がいますが、それは大きな誤りです。そもそも、逮捕勾留段階では、保釈制度がありません。そのため、逮捕勾留された場合には、延長を含めて最長23日間は警察署の留置施設にいることになります。もっとも、準抗告という手続きはありますが。

 

4 起訴されたら

 他方、起訴されたら保釈請求をすることができます。つまり、法律の除外事由がない場合(刑訴法第89条各号事由)や、これがあったとしても裁判官の裁量により保釈(刑訴法第90条)が認められることがあります。保釈については、ここでも重要なのは、そもそも保釈請求が認められるのは、20%台に過ぎないということです。つまり5人に1人あるいは4人に1人ぐらいしか保釈が認められていません。そのため、起訴され弁護人が保釈請求をしたとしても、保釈が認められない可能性が高いのが現状です。

 

 しかし、例えば、初犯の暴行、傷害、窃盗等の場合で、逮捕勾留中に捜査機関の捜査がほぼ終了していて、しっかりとした住居があるような場合には、保釈が認められる可能性が高いです。他方、住居が定まっておらず、身元引受人もいない、前科が複数あるような場合ですと、保釈が認められない可能性が高いです。

 

5 他人事じゃない自分の身にも起きるかも

 このように逮捕されたらどうなるかをざっくり考えてきましたが、他人事のように思う人も多いですよね。しかし、冤罪事件などいきなり、身に覚えのない嫌疑で、逮捕勾留されて23日間も警察署で過ごすことを強いられることも現実に起こり得ます。自分の身にそのような不幸が起きた場合に冷静に対処できるように心がけることが大切です。

 

 

 

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